マツダにガソリンターボ車が復活!
「CX-5」の2.5リッターターボはどこがスゴイ?
2018.10.24
デイリーコラム
2.5リッターガソリンターボエンジンを追加設定
今のマツダは、クルマ好きが注目する自動車メーカーといえるだろう。マツダのほぼ全車が採用する「魂動デザイン」と名付けられた外観は、チーターが疾走する時の躍動感をモチーフに形づくられた。
メカニズムはエンジンからプラットフォームまで「スカイアクティブ技術」で統一。走りは「人馬一体」をテーマに、クルマが自分の手足のように動く感覚を重視する。
そしてエンジンやプラットフォームの種類を抑え、すべてを同じ考え方に基づいて開発するから、マツダ車同士で技術を共有しやすい。新型車が新しいメカニズムを採用すれば、時間を置かずにほかの車種にも搭載できる。開発者は「手間がかかって大変」と言うが、改良を頻繁に行って常に最先端の技術を採用できることは、今のマツダ車の大切なメリットだ。ユーザーはいつでも最新版のマツダ車を購入できる。
このマツダ車に、国内仕様では新しいエンジンとして、直列4気筒2.5リッターガソリンターボが加わった。2018年10月11日に、「CX-5」に搭載すると発表された(生産と納車を伴う発売は同年11月22日)。
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新規技術がてんこ盛り
2.5リッターのガソリンターボは、もともと北米で売られる「CX-9」などが搭載していたもの。同じエンジンを国内で販売するCX-5にも採用したわけだ。
今になってガソリンターボを搭載する理由を開発者に尋ねると「従来設定のあったクリーンディーゼルターボは、効率は高いが運転感覚の好みも分かれていた。欧州車の好きなお客さまには、ガソリンターボを好む傾向も見られる。市街地から高速道路まで、幅広い場面で使いやすいことがメリットだ」と言う。
ちなみに以前のマツダは、排気量を抑えたダウンサイジングターボには慎重であった。低回転域の過給効果と実用燃費が悪化しやすく、また、部品点数が増えることで、自然吸気のノーマルエンジンに比べて価格が上昇するからだ。
つまり、2.5リッターのターボエンジンを実現できた背景には、これらの欠点の解消があったということだ。
最も注目されるのは、ダイナミックプレッシャーターボ技術だ。排気系には、4本のシリンダーから出ている排気管を3本にまとめ、さらに1本に集約する4-3-1排気マニホールドを採用する。
この排ガスが通る経路に、シャッターバルブを装着した。低速域ではバルブを閉じることで、排気ポートを狭めてタービンの駆動力を高く確保する。水が流れ出るホースの口を狭めると、流速を高められるのと同じ理屈だ。これにより低速域での過給能力も向上して、残留する排ガスを押し出す掃気効果も生じるから、充填(じゅうてん)効率を高めることも可能になった。
また、排ガスの一部を吸気に再循環させるEGRには、クーラーを装着するクールドEGRを採用した。この機能によって燃焼温度が下がり、ノッキング(自然着火)を抑制できる。低燃費領域を拡大できることも特徴だ。
スポーティーさよりも実用性を重視
これらの効果は実際に運転すると理解しやすい。最高出力は230ps/4250rpm、最大トルクは420Nm/2000rpmとされるが、ターボ車でありながら、1400rpm前後でも駆動力の落ち込みをほとんど感じない。高速巡航中にアクセルペダルを緩く踏み増した時も反応の鈍さはなく、ドライバーの意図に合った加速をする。この運転感覚は、ターボを装着しない自然吸気の大排気量エンジンにかなり近い。実用回転域の駆動力を自然吸気エンジンに当てはめると、4リッタークラスにも匹敵する。
最高出力の発生点は、ガソリンエンジンでありながら、マツダの2.2リッタークリーンディーゼルターボの4500rpmを下回る。従って高回転域の吹け上がりが鈍く、スポーティーな印象には乏しいが、何よりも運転しやすい。
北米で販売されるCX-9にはエンジンが1種類しか用意されないため、オールマイティーな性格を持たせる必要があった。そのため2.5リッターガソリンターボは、2.5リッターのノーマルガソリンエンジンと、クリーンディーゼルターボを掛け合わせたような性格になっている。
日本のマツダ車にはクリーンディーゼルターボが幅広く用意されるから、日本で求められるガソリンターボは、6000rpm付近で250~280psを発生するような、スポーティーなタイプだろう。このようなハイパワーのターボを求めるユーザーには、追加されたガソリンターボは物足りないかもしれないが、市街地から高速道路まで幅広い場面に適している。
実用志向のガソリンターボだから、これを搭載する「25T Lパッケージ」や「25Tエクスクルーシブモード」は、スポーティーなグレードというわけではない。足まわりのセッティングや装備は、基本的にほかのグレードに準じており、ガソリン自然吸気とガソリンターボ、クリーンディーゼルターボを並列に選べるようになっている。エンジンなどのメカニズムに上下関係を設けないラインナップも、技術志向のマツダらしさだろう。
(文=渡辺陽一郎/写真=マツダ/編集=藤沢 勝)
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渡辺 陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆さまにけがを負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。特にクルマには、交通事故を発生させる甚大な欠点がある。今はボディーが大きく、後方視界の悪い車種も増えており、必ずしも安全性が向上したとは限らない。常にメーカーや行政と対峙(たいじ)する心を忘れず、お客さまの不利益になることは、迅速かつ正確に報道せねばならない。 従って執筆の対象も、試乗記をはじめとする車両の紹介、メカニズムや装備の解説、価格やグレード構成、買い得な車種やグレードの見分け方、リセールバリュー、値引き、保険、税金、取り締まりなど、カーライフに関する全般の事柄に及ぶ。 1985年に出版社に入社して、担当した雑誌が自動車の購入ガイド誌であった。そのために、価格やグレード構成、買い得な車種やグレードの見分け方、リセールバリュー、値引き、保険、税金、車買取、カーリースなどの取材・編集経験は、約40年間に及ぶ。また編集長を約10年間務めた自動車雑誌も、購入ガイド誌であった。その過程では新車販売店、中古車販売店などの取材も行っており、新車、中古車を問わず、自動車販売に関する沿革も把握している。 クルマ好きの視点から、ヒストリー関連の執筆も手がけている。
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