日産初の軽はこうして生まれた!
「デイズ」開発の裏事情を関係者に聞く
2019.04.19
デイリーコラム
使われ方がわからない
2019年3月28日、日産の軽自動車「デイズ」がフルモデルチェンジを果たし、発売された。初代デイズは「三菱eK」シリーズの姉妹車で、両車は三菱主導で開発された。ところが、2代目となる今回は、日産が企画・開発を担当したという。
具体的には、どのようなカタチで開発が進められたのか? 日産、三菱、そして両社が軽自動車開発のために設立した合弁会社「NMKV」との関係は? 新型デイズの開発を取りまとめた、日産自動車 Nissan第一製品開発本部の國分 均さんにお話をうかがった(以下、敬称略)。
――新型デイズは日産が全面的に企画・開発したと聞いています。これまで日産が単独で軽自動車を開発したことはありませんよね?
國分:そうです。まず実験部が、現行の軽自動車を徹底的に調べました。具体的には、「スズキ・ワゴンR」「ダイハツ・ムーヴ」「ホンダN-WGN」。そして、お客さまの声を積極的に吸い上げました。新型デイズの基本コンセプトは「次の軽のベンチマークになる」でした。「すべてを良くする」と。
――「マーチ」「ノート」といった小型車の開発との違いで苦労されたことは?
國分:一番は、「お客さまがわからなかった」ということですね。日産は、登録車のユーザーしか見てきませんでしたから。それと、軽自動車は女性のユーザーが非常に多い。
――女性ユーザーの、クルマの使い方がわからない?
國分:例えば女性ドライバーは、エンジンの回転数が上がると「クルマが壊れちゃうんじゃないか!?」と心配になるわけです。それで、アクセルをあまり踏まない。
――踏めない。
國分:アクセル開度が少ないと、必然的に「走らないクルマ」という評価になってしまいます。そこで、走り始め、そうっと踏んだときから「ちゃんと走る」ようにしないといけない。
――なるほど。
國分:前のデイズ(eKシリーズ)のエンジンは、「三菱i(アイ)」のもので、これが超ショートストロークなのです。
――RRレイアウトゆえ、リアの狭いスペースに収めないといけないから。
國分:そうです。ちゃんと踏めばキチンと力が出るエンジンなのに、女性ユーザーは、踏まない。
――そこで今回は、トルクを出しやすいロングストローク型にした、と。ちなみに、「ルノー由来のエンジン」だそうですが?
國分:ボア・ピッチといった基本部分はそうですが、部品は全部新設計です。すべて日産、愛知機械が図面を引き直しています。
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やっぱり本気度が違う
――初代eKシリーズ/デイズが発表されたとき、日産と三菱が軽自動車専門の合弁会社「NMKV」をつくったことが話題になりました。今回、NMKVはどのような役割を果たしたのですか?
國分:NMKVは開発会社です。NMKVがイニシアチブを取って、開発を日産に、生産を三菱に委託しています。
――國部さんの立場は?
國分:兼務です。日産と、NMKVの「商品プロジェクトグループ」との。
――プロジェクトグループの内訳はどのようなものだったのですか?
國分:NMKVは全体で70人くらいの会社です。今回のデイズの開発は日産がメインですから、NMKVから開発委託され、実際に動いている人員は全部日産です。
――三菱からは?
國分:三菱の人は数人でした。彼らはデザインの三菱部分、つまりデイズとの差別化を担当しました。
――クルマの顔つき、ですね?
國分:そうです。それと、色。前回は、実質的に三菱車でしたが、今回は反対に日産車となったわけです。
――日産としては「初めての軽」にもかかわらず、新型デイズは素晴らしいデキです。先代と、何が違ったのでしょう?
國分:日産社内でいえば「本気度」ではないでしょうか。初めて自分たちのやりかたで軽自動車をつくることになったのですから。といっても、日産の人間がNMKVに入って、約9年。さまざまなフィードバックを受けてきました。また、軽自動車を「いかに安くつくるか?」といった部分は、三菱の協力がなければできませんでした。
――新型の生産は三菱ですね。
國分:日産の工場には軽自動車用のラインがありません。一方、三菱の水島工場はもともと軽自動車を手がけてきましたから、新たな投資が必要ない。新しいデイズ/eKシリーズは、両社のアライアンスが「最もうまくいった例」といえるのではないでしょうか。
(文=青木禎之/写真=郡大二郎/編集=関 顕也)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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