ランドローバー・ディスカバリー スポーツR-DYNAMIC SE D180(4WD/9AT)
ランドローバーは高みを目指す 2020.05.07 試乗記 ランドローバーのエントリーモデル「ディスカバリー スポーツ」がビッグマイナーチェンジ。ディーゼルエンジン搭載の「R-DYNAMIC SE D180」に試乗し、最新のプラットフォームを用いたシャシーや新たに採用された運転支援機能の仕上がりを確かめた。スタイリッシュに路線変更
「レンジローバー イヴォーク」と並ぶ横置きエンジンのコンパクトランドローバーが、ディスカバリー スポーツである。2020年モデルでプラットフォーム(車台)を新調するなどの大がかりな変更を受けた。
外観もフェイスリフトされ、現行モデルで高級路線にシフトした本家「ディスカバリー」と共通のイメージになった。ランドローバーのオフィシャルサイトでも、この2台は“ディスカバリーファミリー”としてくくられようになった。
ちなみにほかは“レンジローバーファミリー”が本家「レンジローバー」と「スポーツ」「ヴェラール」「イヴォーク」の4モデル。新しい“ディフェンダーファミリー”が「90」と「110」の2つ。このところの多産路線で品ぞろえがわかりにくくなっていたから、このカテゴライズはありがたい。
新型ディスカバリー スポーツのエンジンは、おなじみジャガー/ランドローバー開発の2リッター4気筒“インジニウム”ユニットで、ディーゼル(D180)とガソリン(P200、P250)の3つがラインナップされる。今回試乗したのはD180のR-DYNAMIC SE(660万円)。よりスポーティーな外観のR-DYNAMICが新設されたのも新型シリーズのニュースである。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
最上級のディーゼルエンジン
黒い19インチホイールを履いた深紅のディスカバリー スポーツは、カッコよかった。これまで、そっち方面はイヴォークにお任せという感じだったが、いまやこちらもなかなかのイケメンだ。
以前、ディスカバリー スポーツに試乗したのは2年前。ガソリンの「HSE」だった。新型で走りだしてすぐに気づいたのは、アシの違いだ。乗り心地がしなやかになった。ランドローバー一族らしい重厚さは健在だが、サスペンションがより“動く”ようになった。フルモデルチェンジした新型イヴォークでも感じたことだが、足まわりのテイストをコンフォート系に振ったのがプラットフォームを共用するこの2台の特徴だと思う。
品質感の高い乗り味に180PSのクリーンディーゼルもマッチしている。滑らかで静かなことは欧州ディーゼルのなかでも最上級だ。100km/h時のエンジン回転数は9段ATのトップで1500rpm。パドルでシフトダウンしていくと、5速3100rpmまで落としたところでちょっと音質が変わるかな、というくらい静かである。
コンパクトランドローバーといっても、車重は2100kgある。だが、やすやすとスピードを上げる立ち上がりの力強さはそんなヘビーウェイトを感じさせない。高速での伸びはガソリンにかなわないが、町なかではディーゼルのほうがむしろ活発に走れる。
デジタル世代のインターフェイス
今回のビッグマイナーチェンジで運転席まわりも大きく変わった。始動するとせり上がるダイヤル式ATセレクターに代わって、センターフロアにはジャガー各車と共通のシフトノブが突き出す。各種操作類の多くはダッシュボード中央のタッチスクリーンに入り、リアルなスイッチが減って、コックピットはすっきりした。四駆のモード選択も、ふだんはエアコン操作用のダイヤル/ディスプレイを切り替えて行う。
ヘッドアップディスプレイ(HUD)にはその道路の制限速度標識をリアルタイムに示すロードサインインフォメーションが出る。制限を11km/hオーバーすると点滅して鬱陶しいので、HUDを切ろうとしたが、あちこち探してもスイッチは見当たらなかった。正解は、ステアリングホイールのスイッチと計器盤のディスプレイでオンオフを選ぶ、であった。デジタル頭の若者はこのほうが使いやすいのだろうか。こういうインターフェイスにランドローバー車はどちらかというと晩熟(おくて)だと思っていたが、いまはむしろ急先鋒である。
ディスカバリー スポーツにあってイヴォークにない装備は、オプションの3列目シートだ。23cm長い全長(4610mm)を利して、2名分のイスを荷室床に格納する。ただ、つくりは非常にいいのだが、直接床に腰を落としたような体育座りになるので、大人は無理である。本格的な7人乗りがほしければ、全長5m近いディスカバリーまで貯金しましょう。
現実的に“使える”機能
通りに向かってまっすぐノーズを出す筆者の車庫で役に立ったのは360°サラウンドカメラの映像だった。ノーズをちょっと出すだけで、運転席からはまったく見えない左右前方がモニターに映し出される。この手の装備は珍しくないが、映像が鮮明なので“使える”。クルマが接近しているときは音とサインで教えてくれる。
新機軸は「クリアサイトグラウンドビュー」だ。モニターでボディー下の路面(実像)と前輪(虚像)の動きを見せてくれる。オフロードでここしかないというラインをトレースするようなときに役立つのだろう。オンロードでの快適性を高める一方、オフロードでの使い勝手向上にも努めるのはランドローバーらしい。
約370kmを走って、燃費は9.6km/リッターだった。2年前に乗ったガソリンモデルは8.4km/リッターだったから、軽油の燃料単価の安さを掛け合わせると、やはりディーゼルのメリットは大きい。
しかし、いまのランドローバーはそんなことを細かく考える人のクルマではないかもしれない。ディスカバリー スポーツは価格的に最もエコノミーなランドローバーだが、今回の試乗車はオプション込みだとおよそ960万円でした。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=郡大二郎/編集=櫻井健一/撮影協力=河口湖ステラシアター)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
テスト車のデータ
ランドローバー・ディスカバリー スポーツR-DYNAMIC SE D180
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4610×1905×1725mm
ホイールベース:2740mm
車重:2120kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:9段AT
最高出力:180PS(132kW)/4000rpm
最大トルク:430N・m(43.9kgf・m)/1750-2500rpm
タイヤ:(前)235/55R19 105W M+S/(後)235/55R19 105W M+S(ピレリ・スコーピオンゼロ オールシーズン)
燃費:12.0km/リッター(WLTCモード)
価格:660万円/テスト車=957万5000円
オプション装備:ボディーカラー<フィレンツェレッド>(8万4000円)/ライトオイスター/エボニー ウインザーレザーシート<ライトオイスターステッチ付き>(4万5000円)/パネル<グロスチャコールオーク>(1万5000円)/ホットクライメートパック(15万2000円)/プレミアムアップグレードインテリアパック(15万9000円)/クーリングベント(1万7000円)/MERIDIANサラウンドサウンドシステム(30万9000円)/スペースセーバースペアホイール(0円)/ブラックエクステリアパック(15万円)/マニュアル3列目シート(26万2000円)/固定式パノラミックルーフ(20万9000円)/プライバシーガラス(6万3000円)/フロント&リア12V電源<ラゲッジスペースUSB付き>(3000円)/フロントフォグランプ(3万1000円)/マトリックスLEDヘッドライト<シグネチャーDRL付き>(13万5000円)/キーレスエントリー(10万円)/アクティビティーキー(6万1000円)/コールドクライメートパック(9万1000円)/テクノロジーパック(18万3000円)/コントラストルーフ<ブラック>(7万8000円)/地上波デジタルTV(11万3000円)/クリック&ゴー<ベースユニット>(1万2000円)/ラゲッジスペースストレージレール<ラゲッジリテンションキット付き>(2万3000円)/ダイナミックハンドリングパック(18万2000円)/14ウェイ電動フロントシート<ヒーター&クーラー、メモリー、マッサージ機能、2ウェイマニュアルヘッドレスト付き>(43万1000円)/マニュアル2列目シート<ヒーター、スライド&リクライニング機能付き>(6万7000円)
テスト車の年式:2020年型
テスト開始時の走行距離:3865km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(7)/山岳路(1)
テスト距離:367.4km
使用燃料:38.0リッター(軽油)
参考燃費:9.6km/リッター(満タン法)/10.3km/リッター(車載燃費計計測値)

下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。
-
スバル・トレイルシーカーET-HS プロトタイプ(4WD)【試乗記】 2026.3.5 スバルから本格的な電気自動車の第2弾となる「トレイルシーカー」が登場。前後のモーターから繰り出すシステム最高出力はドーンと380PS。ただし、それをひけらかすような設定にはしていないのがスバルらしいところだ。スノードライブの印象をお届けする。
-
メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ(4WD/9AT)【試乗記】 2026.3.4 メルセデス・マイバッハから「SL680モノグラムシリーズ」が登場。ただでさえ目立つワイド&ローなボディーに、マイバッハならではのあしらいをたっぷりと加えたオープントップモデルだ。身も心もとろける「マイバッハ」モードの乗り味をリポートする。
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.3.3 「GRヤリス」の新仕様として設定された「エアロパフォーマンスパッケージ」装着車に試乗。レースフィールドでの知見を交え開発したというエアロパーツの空力・冷却性能は、リアルワールドでも体感可能なのか。高速道路を経由し、郊外のワインディングロードを目指した。
-
ドゥカティ・モンスター(6MT)【海外試乗記】 2026.3.2 ドゥカティのネイキッドスポーツ「モンスター」が5代目にモデルチェンジ。無駄をそぎ、必要なものを突き詰めてきた歴代モデルの哲学は、この新型にも受け継がれているのか? 「パニガーレV2」ゆずりのエンジンで175kgの車体を走らせる、ピュアな一台の魅力に触れた。
-
フォルクスワーゲンID.4プロ(RWD)【試乗記】 2026.2.28 フォルクスワーゲンのミッドサイズ電気自動車(BEV)「ID.4」の一部仕様変更モデルが上陸。初期導入モデルのオーナーでもあるリポーターは、その改良メニューをマイナーチェンジに匹敵するほどの内容と評価する。果たしてアップデートされた走りやいかに。
-
NEW
その魅力はパリサロンを超えた? 大矢アキオの「レトロモビル2026」
2026.3.7画像・写真フランスで催されるヒストリックカーの祭典「レトロモビル」を大矢アキオが写真でリポート! 欧州の自動車史を飾る歴代の名車や、めったに見られない往年のコンセプトモデル、併催されたスーパーカーショーのきらびやかなラグジュアリーカーを一挙紹介する。 -
NEW
ホンダCB1000F SE(6MT)【レビュー】
2026.3.7試乗記ホンダから満を持して登場した、リッタークラスの4気筒マシン「CB1000F」。往年のCBをほうふつさせるスタイルと、モダンなパフォーマンスを併せ持つネイキッドスポーツは、先行するライバルを追い落とすことができるのか? ホンダ渾身(こんしん)の一台の実力に触れた。 -
NEW
実力検証! SUV向けプレミアムタイヤ「ブリヂストンALENZA LX200」を試す
2026.3.62026 Spring webCGタイヤセレクション<AD>目指したのは、人気車種となっているSUVとのベストマッチ。ブリヂストンが開発した新プレミアムタイヤ「ALENZA(アレンザ)LX200」は、どんな乗り味をもたらすのか? モータージャーナリスト石井昌道が試乗を通して確かめた。 -
BYDシーライオン6(FF)
2026.3.6JAIA輸入車試乗会2026“中国の新興ブランド”BYDにあこがれは抱かずとも、高コスパの評判が気になる人は多いだろう。では、日本に初導入されたプラグインハイブリッド車のデキは? 初めて触れたwebCGスタッフがリポートする。 -
実に3年半ぶりのカムバック 「ホンダCR-V」はなぜ日本で復活を果たしたのか?
2026.3.6デイリーコラム5代目の販売終了から3年半のブランクを経て、日本での販売が開始された6代目「ホンダCR-V」。世界的なホンダの基幹車種は、なぜこのタイミングで日本復活を果たしたのか? CR-Vを再販に至らしめたユーザーの声と、複雑なメーカーの事情をリポートする。 -
「ジープ・アベンジャー4xeハイブリッド」発表会の会場から
2026.3.5画像・写真ジープブランドのコンパクトSUV「アベンジャー」に、4WDのハイブリッドバージョン「アベンジャー4xeハイブリッド」が追加された。その発表会(2026年3月5日開催)の場に展示された同モデルの外装・内装を写真で紹介する。
















































