国産スポーツモデルが続々登場! “走りのクルマ”との付き合い方を考える
2022.07.25 デイリーコラム激アツのマニア車が豊作だが……
先日、「シビックe:HEV」に試乗して大変感銘を受けました。こりゃあメチャメチャ走りが楽しい! そのうえ燃費もかなりいい! おっさんカーマニアのラストワンにちょうどいい!
シビックには「タイプR」も登場している。そりゃあタイプRの走りはすごいだろう。でも私ならe:HEVを選ぶ。だって普段の足はATが圧倒的にイイから! ATがつまんないなんてこと、絶対ないよね! よくできたAT車は運転も楽しいしラクチンだし、言うことナス!
……てなことを言えるのは、私がMTのフェラーリ(328GTS)を持っているからです。乗るのは年に8回くらいですが、それくらい乗れば十分。そっちに関しても、免許を取って以来ほぼずっとMT車を所有していて、イヤってほど堪能したからなんだけど。
最近、MTのスポーツモデルが猛烈にアツいことになってます。シビック タイプRだけじゃなく、「フェアレディZ」とか「スープラ」とか「GRMNヤリス」とか。少し前まで、一部のカーマニアだけが喜んでいたような超マニアックなスポーツモデルが、今は出るたびに大きなニュースになって、注文が殺到、長い長い納車待ちになりますね。
考えてみれば不思議ですが、カーマニア的には大変うれしく、おめでたいことです。
ただ正直自分には、どういう方々がお買いになるのか、はっきりとは見えません。どこにそんなにマニアが隠れてたんだ?
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使い切らなくてもいいじゃない!?
現在のスポーツモデルはとてもとても速くて、公道でそのパフォーマンスをフルに引き出すのはムリ。モラルの観点からも、“アツい走り”は、昔のようには楽しめません。最新のスポーツモデルを買う皆さんは、ホントのところ、何を求めているんだろう。
「たぶんあんまり乗らないけど、もともとスポーツモデルにあこがれていたし、値段が下がらないんだから買っておこう」という人が多いんだろうな、とは想像できます。特別なスポーツモデルは、ごくたまに乗って、あとは眺めているだけでも十分満足できるから。自分のフェラーリのように。
なかには、「これでサーキットを攻める!」という方もいるんでしょう。それこそ究極の模範解答ですが、数は多くはないでしょう。サーキットを走るとクルマが傷むし、MTモデルの場合、ヒール&トウができないと、サーキットをまともに走るのはムリ。果たして今、ヒール&トウができる人って、どれくらいいるんだろう。昔必死に練習したおっさんくらいではないか……という気がするのですが。あ、自動ブリッピング装置が付いてるモデルもあるのか。でも、それ使ってサーキットを走ろうって人は、1000人に一人くらいのような。
私のように、カーマニアとしてやりたいことはだいたいやったという中高年なら、最新のスポーツモデルを買って、たま~に乗って、あとは眺めて、気が済んだら高値で売るという方向性で、すべて丸くおさまると思います。でも、最新のスポーツモデルを買っているのは、おっさんカーマニアだけじゃない。若い層も結構いるらしい。若い人はどういう風に接するのかな。かつてのわれわれのように、「もっとうまくなりたい!」とか、「もっともっと速く走りたい!」っていう激しい欲望を抱いている人はあんまりいないように思えるし、公道じゃそもそもムリなんだから。
でもたぶん、それは余計なお世話なんでしょう。最新のスポーツモデルは、最新のロレックスみたいなもの、ってことでいいんだと思います。普通の時計よりちょっと面倒くさいけど、そこがいい。そのぶん本物感はケタ外れ! って感じで。
ロレックスの「水深300mの防水性能」を使い切ってる人なんていないでしょう。それでいいんですよね! 難しいことを考えるのはヤメにします! さあ、最新のスポーツモデルにアツく燃えろ~~~~~!!
(文=清水草一/写真=本田技研工業、トヨタ自動車、荒川正幸、webCG/編集=関 顕也)
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清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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