三菱アウトランダーP(前編)

2022.09.29 あの多田哲哉の自動車放談 多田 哲哉 元トヨタのチーフエンジニア多田哲哉さんが今回試乗したのは、三菱の顔ともいえるSUV「アウトランダー」。持てる技術を満載したプラグインハイブリッド車に対する、専門家の評価やいかに?
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技術の差よりも思想の違い

アウトランダーをひとしきり走らせた多田さんは、笑顔で降りてきた。アウトランダー独自の「ターマックモード」も堪能した様子である。ターマックモードとは、その名のとおり、グリップの高い舗装路で最大限のコーナリング性能を発揮する4WDモードだ。

「これはこれで確かに面白い。例えばサーキット試乗会なんかで走ったら、もっともっと、単純に楽しめると思います」

まずはそう評した多田さんが語りはじめたのは三菱の4WD技術についてだ。
「『ギャラン』で始まったころの三菱4WD制御は、確かに非常に進んでいました」

ここで多田さんの言うギャランは1987年に発売された6代目のこと。ギャランで初めてFFレイアウトを採用して、同時に最高出力200PS超のターボエンジンとフルタイム4WDを搭載した「VR-4」を設定したモデルだ。

当時の日本車といえば、ギャランに限らず「トヨタ・セリカGT-FOUR」に「日産ブルーバードSSSアテーサ」「マツダ・ファミリアGT-X」、そしてスバルも初代「レガシィ」を発売するなど、フルタイム4WDのスポーツモデルが百花繚乱(りょうらん)の時代だった。当時は世界ラリー選手権(WRC)も市販車ベースのグループAマシンで争われており、これらの日本車もこぞってWRCに参戦していた。

「ただ、その後は各社もどんどん追いついていきました。ESCにABS、トラクションコントロールなどを統合制御してクルマを曲げるような技術も、今では大なり小なり、すべてのメーカーがやっています。松・竹・梅……と3種類くらいの4WD制御は各社とも取りそろえていて、各社の松=トップエンド4WDともなれば、メーカーごとの技術レベルの差はほとんどないといっていいでしょう」

 
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