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第731回:全国から282台が参加! オーテックの「湘南里帰りミーティング」に見た優しい世界

2022.11.25 エディターから一言 鈴木 ケンイチ
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開会式の直後には、参加者全員でオーテックの「A」のポーズで記念撮影。今回は全国から282台の車両が参加。来場者は約600人を数えた。
開会式の直後には、参加者全員でオーテックの「A」のポーズで記念撮影。今回は全国から282台の車両が参加。来場者は約600人を数えた。拡大

日産の純正コンプリートカーとして根強い人気を誇るAUTECHとNISMO。これらのクルマのオーナーイベントが、「オーテックオーナーズグループ(A.O.G)湘南里帰りミーティング」だ。毎回300台近いクルマが集う“恒例行事”の、人気の秘密に迫る。

開場は西湘バイパスに面する大磯ロングビーチの第一駐車場。当日はご覧のとおりの晴天に恵まれた。
開場は西湘バイパスに面する大磯ロングビーチの第一駐車場。当日はご覧のとおりの晴天に恵まれた。拡大
会場の一角には、AUTECHとNISMOのコンプリートカーや、福祉車両のライフケアビークルなど14台が展示されていた。
会場の一角には、AUTECHとNISMOのコンプリートカーや、福祉車両のライフケアビークルなど14台が展示されていた。拡大
スポーティーなNISMOの各車と、SUPER GTで活躍した「MOTUL AUTECH GT-R」。
スポーティーなNISMOの各車と、SUPER GTで活躍した「MOTUL AUTECH GT-R」。拡大

全国津々浦々からオーテック車が“里帰り”

2022年11月12日、神奈川・大磯ロングビーチの第一駐車場において、「オーテックオーナーズグループ湘南里帰りミーティング2022」が開催された。会場となった駐車場は、西湘バイパスの向こうに湘南の海を臨むというロケーション。すでに初冬とも呼べる時期にもかかわらず、日差しは暖かく、海からの風は穏やか。絶好のイベント日和に恵まれた。

その名前からも分かるとおり、このイベントは日産車ベースの特装車やコンプリートカスタマイズカーを手がけるオーテックジャパンのモデル(AUTECHとNISMO)のオーナーが、愛車と共にオーテックの工場がある湘南に“里帰り”するというものだ。ちなみにオーテックは、2022年4月よりニッサン・モータースポーツ・インターナショナルと合併。今は「日産モータースポーツ&カスタマイズ(略称:NMC)」となっている。

この里帰りイベント、初開催は2004年のことで、当時の参加台数は100台強だったという。それが年を経るごとに参加台数が増え、5回目となる2009年には300台を突破。その後は常に参加が300台を超える大人気イベントとなり、近年は抽選制となるほどだった。2020年と2021年はコロナ禍によって中止となったため、2022年は3年ぶり、15回目の開催となる。久しぶりの実施となった今回は、全国から282台、約600人が“里帰り”を果たしたのだ。

イベントは朝の8時に開場となり、続々とAUTECHとNISMOの車両が駐車場に入場。開会式が始まる10時ごろには、300台近い車両が会場を埋める壮観な眺めが出来上がっていた。

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東は北海道、西は鹿児島からオーナーが集結

開会式では、毎回恒例の3つの“賞”が発表された。東と西の最も遠くから参加した2台と、参加車両のうち最も走行距離の多い1台に与えられるものだ。最遠方からの参加者&参加車は、東側は北海道から駆けつけたというハンドルネーム「工場長」さんと「エクストレイルAUTECH」、西側は鹿児島の「K」さんと「シルビア オーテックバージョン」だ。そして最多走行は、東京都の「壁田」さんの「セドリック ブロアムVIP L」で、走行距離は実に50万8600kmだった。

今回は参加者の代表として、その3名に話を聞いてみた。まずは北海道から来たエクストレイルAUTECHの工場長さんだ。

「このクルマを買ったのは3年半前です。その前は普通のエクストレイルでした。もともとAUTECHを買ったらこの里帰りミーティングに参加したかったんですけど、コロナ禍で中止になっていたんですね。ようやく念願かなって参加できました。小樽から新潟までフェリーで、その後は関越から圏央です。初めて来られて、感動です。同行した奥さんも旅行ができたと喜んでいます。奥さんもクルマが好きで、本当はこのクルマは奥さん所有なんですよ(笑)」

ちょうど工場長さんのクルマの隣には、同じエクストレイルAUTECHが並んでいたこともあり、オーナー同士、クルマ談義で大いに盛り上がったようだ。

続いては、最も西となる鹿児島から駆けつけたKさん。29歳の若者である。

「このシルビア オーテックバージョンは9年前、自分が20歳のときに中古で買いました。その前は普通の『シルビア スペックS』のATに乗っていて、MTに載せ替えるのではなくオーテックに乗り換えました。前オーナーさんのSNSを発見したのですが、たぶん僕で2オーナー目だと思います。そして前オーナーさんも里帰りミーティングに参加していたので、僕もクルマを帰してあげたいなと思って参加しました。鹿児島を一昨日の晩に出て、寄り道もしたんですけど、1300kmちょいを自走しました。今日来てみると、皆さんクルマをきれいにしていて、すごいなあと。同じ車種で気になるクルマもありますしね(笑)」

イベントは、日産モータースポーツ&カスタマイズの片桐隆夫社長のあいさつでスタート。
イベントは、日産モータースポーツ&カスタマイズの片桐隆夫社長のあいさつでスタート。拡大
開会式では、遠方からの参加者2人と、最多走行のクルマのオーナー1人が表彰された。湘南里帰りミーティングでは恒例の表彰だ。
開会式では、遠方からの参加者2人と、最多走行のクルマのオーナー1人が表彰された。湘南里帰りミーティングでは恒例の表彰だ。拡大
東方面で最も遠いところから参加したのが、「エクストレイルAUTECH」のオーナー「工場長」さん。北海道から駆けつけたという。
東方面で最も遠いところから参加したのが、「エクストレイルAUTECH」のオーナー「工場長」さん。北海道から駆けつけたという。拡大
西方面で最も遠方からの参加者となったのが、鹿児島から来た「シルビア オーテックバージョン」の「K」さん。約1300kmの距離を自走したという。
西方面で最も遠方からの参加者となったのが、鹿児島から来た「シルビア オーテックバージョン」の「K」さん。約1300kmの距離を自走したという。拡大
自ら用意したテーブルやイスでくつろぐ参加者たち。皆、思い思いのやり方でイベントを楽しんでいるようだ。
自ら用意したテーブルやイスでくつろぐ参加者たち。皆、思い思いのやり方でイベントを楽しんでいるようだ。拡大

ロングボディーの「セドリック」はまさかのタクシー

最後は走行距離50万kmを突破する壁田さん。なんとロングボディーのセドリック、それもトランスミッションをMTに載せ替えた個体を、タクシーに使っているという。

「多走行は個人タクシーに使っているからなんです。反則ですよね(笑)。手に入れたのは9年前です。購入したときは12万kmくらいで、買ってからトランスミッションをマニュアルにしました。『個人タクシーをやるときは、ぜひこのクルマで』と探していたんです。このクルマならマニュアルミッションに載せ替えるのも楽なんで。お客さんのほとんどは、なにも気づいていないと思いますよ(笑)。法人タクシーのころはセドリックに乗っていると、お客さんから『狭い』と言われましたけど、このクルマ(ストレッチリムジン仕様)で言われたことはありませんね」

かようにクルマ好きでこだわりのある壁田さんだが、「MTは悪いことだらけですね(笑)」とも。「お客さんを乗せてエンストさせちゃったこともありますよ。恥ずかしい。でも、MTが好きなんです。普段は36年落ちの『AE86』に乗ってますから。こんなに皆の注目を集めるとは思っていなかったので、参加してびっくりしてます」とのことだった。

実際、壁田さんは里帰りミーティングは初参加だというが、タクシー仕様は珍しいからか、ひっきりなしに他の参加者に話しかけられていた。

開会式の後は、昼過ぎのトークショーまではステージイベントはなく、オーナー同士の交流の時間となる。見ていると、クルマを前にあちらこちらで話の輪が広がっている。グループでの参加もあるようだが、1台で参加して、初対面同士で声をかけあっているところも多いようだ。それにしても「エルグランド」「エクストレイル」「シルビア」「ノート オーラ」「リーフ」……と車種の幅広いこと! ちなみに約300台の参加車のうち、最も数が多かったのが約70台の「ノート」、次いで50台強の「マーチ」、そして僅差で約50台の「セレナ」だったという。またオーテックの30周年記念車で、30台限定生産の「ボレロA30」も、7台ほどが参加していた。

参加車のなかでも最も走行距離が多かったのは、オドメーターが50万kmを突破していた「壁田」さんの「セドリック ブロアムVIP L」。まさかの個人タクシー、しかもトランスミッションをMTに換装したクルマだというから驚きである。
参加車のなかでも最も走行距離が多かったのは、オドメーターが50万kmを突破していた「壁田」さんの「セドリック ブロアムVIP L」。まさかの個人タクシー、しかもトランスミッションをMTに換装したクルマだというから驚きである。拡大
クラブハウス内では、タレントの伊藤かずえさんの「シーマ」をレストアした際の様子も展示されていた。
クラブハウス内では、タレントの伊藤かずえさんの「シーマ」をレストアした際の様子も展示されていた。拡大
会場では、ステージイベント以外にもユニークな催しを多数用意。こちらは湘南で行われる「ビーサン飛ばし」をアレンジした「スリッパ飛ばし」のコーナー。もちろん参加費は無料だ。
会場では、ステージイベント以外にもユニークな催しを多数用意。こちらは湘南で行われる「ビーサン飛ばし」をアレンジした「スリッパ飛ばし」のコーナー。もちろん参加費は無料だ。拡大
会場には「リーフ」「ノート」「マーチ」「エクストレイル」「エルグランド」……と、さまざまな車種の姿が。オーテックがどれほど多くのモデルを手がけてきたかがよく分かる。
会場には「リーフ」「ノート」「マーチ」「エクストレイル」「エルグランド」……と、さまざまな車種の姿が。オーテックがどれほど多くのモデルを手がけてきたかがよく分かる。拡大

どこまでも雰囲気のいいイベントの秘密

正午を過ぎ、参加者がキッチンカーなどで食事を済ませた頃合いの13時半ごろから、ステージではトークショーが始まった。ゲストはSUPER GTのGT500クラスで「REALIZE CORPORATION ADVAN Z」のドライバーを務める平手晃平選手と、2022AUTECHレースクイーンの美すずさんだ。平手選手も、実はオーテック車である「マーチ12SR」のオーナー。ステージは今年のレース活動の振り返りなど、さまざまな話題で盛り上がった。

そしてこのトークショーが終われば、すぐに閉会式だ。NMCのスタッフが並んで手を振る前を、1台ずつ参加車が退出してゆく。300台近いクルマがすべて出るまでには1時間以上かかるが、皆のんびりと順番を待ち、見送られていく。

「このミーティングは、私たちにとって非常に大切なイベントです。そもそもNMCはお客さまとのコミュニケーションを大事にしていて、展示会などにも参加して、その声を耳にするようにしているんですよ」と、本イベントを担当するNMCの広報スタッフは語る。

「もともとは、オーナーさん限定のSNSの運用が始まりでした。そこでオーナーさんたちがネットでつながって、リアルでも会いたいねとなって、場所を提供するので皆さんコミュニケーションをとってくださいというかたちで、このイベントは始まりました。ですから、最初からオーナーさん同士、すごく仲がよかったですね! クルマを乗り換えてもまたオーテック車を選んでいただき、参加を続ける方もいらっしゃいます。またこのイベントは18年も続いているので、最初のころは幼稚園に通っていたオーナーさんの子どもが、もう就職しているとか、そんなこともあります(笑)。参加される方を見ると、そうしたリピーターさんが約7割で、あとの3割ほどが新しい方でしょうか。常連の方だけではなくて、少しずつ広がっているんですよ」

一日を振り返れば、全体に漂っていたのはゆったりとした優しい雰囲気だ。AUTECH&NISMOが好きという者同士、親近感があるのだろう。改造度やレア度などを競うわけではないのも、雰囲気がいい理由に違いない。“里帰り”と名づけられたとおり、気取らず、そして家庭的なイベントだった。

(文と写真=鈴木ケンイチ/編集=堀田剛資)

昼過ぎには、SUPER GTドライバーの平手晃平選手と2022AUTECHレースクイーンの美すずさんのトークショーが行われた。
昼過ぎには、SUPER GTドライバーの平手晃平選手と2022AUTECHレースクイーンの美すずさんのトークショーが行われた。拡大
会場では、12月4日に開催される「ニスモフェスティバル」のチケットを含む、プレゼントをかけたじゃんけん大会も行われた。……それにしても、この参加者の数の多さよ。
会場では、12月4日に開催される「ニスモフェスティバル」のチケットを含む、プレゼントをかけたじゃんけん大会も行われた。……それにしても、この参加者の数の多さよ。拡大
イベント終了後は、日産モータースポーツ&カスタマイズのスタッフが参加者をお見送り。「湘南里帰りミーティング」ではお約束の光景だ。
イベント終了後は、日産モータースポーツ&カスタマイズのスタッフが参加者をお見送り。「湘南里帰りミーティング」ではお約束の光景だ。拡大
NMCのスタッフが手を振って見送るなか、会場を後にする参加車両。次回も多くのクルマが、湘南(厳密には大磯だけど)に帰ってくることだろう。
NMCのスタッフが手を振って見送るなか、会場を後にする参加車両。次回も多くのクルマが、湘南(厳密には大磯だけど)に帰ってくることだろう。拡大
鈴木 ケンイチ

鈴木 ケンイチ

1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

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