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新型「ホンダ・フリード」の人気グレードは? 納期は? 最新情報を報告する

2024.07.11 デイリーコラム 櫻井 健一
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充実ゆえの悩ましいラインナップ

2024年6月27日、ついにホンダのコンパクトミニバン「フリード」の新型が正式発表された。今回登場したフリードは、2008年5月にデビューした初代から数えて3代目にあたるモデル。長い間ホンダの屋台骨を支えてきた2代目は、2016年9月の登場であった。それから8年。まさに光陰矢の如しである。

詳しい情報はプロトタイプモデルの試乗リポートを含む既報(参照)に明るいので割愛するが、ここでは新型の進化ポイントをおさらいしつつ、豊富なバリエーションを展開するフリードのなかで(勝手に)注目するモデルを報告したい。

新型フリードのラインナップはご存じのように大きく2つ。標準モデルといえる「エアー」とアウトドアテイストを盛り込んだ「クロスター」である。見た目の話をするとこれだけで小一時間は語れてしまうので(笑)それは別の機会に譲るとして、まずはボディーサイズから。エアーは外寸が全長×全幅×全高=4310×1695×1755mm、ホイールベース=2740mmの5ナンバー車サイズとなる。前後フェンダーにホイールアーチプロテクターを装着するクロスターが25mm幅の広い全幅1720mmで、3ナンバー車となるのが両者の違いだ。

筆者の最寄り販売店の法定12カ月点検の料金を見ると、軽自動車/小型車(5ナンバー)/普通車(3ナンバー)/普通乗用車II(ラグジュアリー)/小型貨物車とカテゴライズされている。区分けと金額は販売店によって異なるので、その販売店がクロスターをどこに含めるのか購入前に確認するのがいいだろう。数千円ではあるが、全幅25mmの差が維持費に影響してくるかもしれない。もっとも、中身は変わらないのに幅が25mm違うだけで高い費用を請求されるという不公平感のほうがモヤモヤの原因かもしれないが。

クロスターが3ナンバー車になっても、室内の広さは同じだ。違いが出て、頭を悩ませるのはやはりシートレイアウトである。前提として、荷室容量が大きな2列シートの5人乗りを希望しているのであれば簡単だ。選択肢はクロスターに絞られる。反対にクロスターには3列シート車はあっても7人乗りがない。ここが仕様選択における最初の分岐点となろう。

2024年6月27日に正式発表されたホンダの新型「フリード」。同年6月28日に発売された。初代モデルが2008年5月に、2代目が2016年9月に登場。新型は3代目にあたり、8年ぶりのフルモデルチェンジとなる。写真は「フリード エアー」。
2024年6月27日に正式発表されたホンダの新型「フリード」。同年6月28日に発売された。初代モデルが2008年5月に、2代目が2016年9月に登場。新型は3代目にあたり、8年ぶりのフルモデルチェンジとなる。写真は「フリード エアー」。拡大
前後フェンダーにホイールアーチプロテクターを装着する「クロスター」。従来型よりもアウトドアテイストのキャラクターが、しっかりと打ち立てられている。全幅が「エアー」よりも25mm拡大され、3ナンバー車となったのも新しいクロスターの特徴だ。
前後フェンダーにホイールアーチプロテクターを装着する「クロスター」。従来型よりもアウトドアテイストのキャラクターが、しっかりと打ち立てられている。全幅が「エアー」よりも25mm拡大され、3ナンバー車となったのも新しいクロスターの特徴だ。拡大
水平基調でクリーンな視界確保を重視してデザインされた新型「フリード」のインストゥルメントパネル。従来型はダッシュボード上部に横長のメーターを配置していたが、新型では2本スポーク形状が特徴的なステアリングホイールの奥に7インチ液晶ディスプレイが置かれる。
水平基調でクリーンな視界確保を重視してデザインされた新型「フリード」のインストゥルメントパネル。従来型はダッシュボード上部に横長のメーターを配置していたが、新型では2本スポーク形状が特徴的なステアリングホイールの奥に7インチ液晶ディスプレイが置かれる。拡大
フロントシートの内側アームレストにコンビニフックが備わる。こうした日常使いで便利な機能やこだわりの工夫が新型「フリード」には数多く採用されている。
フロントシートの内側アームレストにコンビニフックが備わる。こうした日常使いで便利な機能やこだわりの工夫が新型「フリード」には数多く採用されている。拡大
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駆動方式による価格差は13万円以上

パワートレインは2種類。ホンダ自慢の2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」と純ガソリンエンジンである。前者は最高出力106PSの1.5リッター直4エンジンに最高出力123PSのモーターを組み合わせたもので、後者は最高出力118PSの1.5リッター直4となる。ガソリンエンジン車には加速ステップアップシフト制御採用のCVTが組み合わされ、これが意外にも気持ちよく走れる。

e:HEVの電動車然とした走りに魅力を感じるのなら答えはおのずと決まるが、購入車両の生涯走行距離が7年10万kmを超えない程度であれば諸説はあるがガソリン車のほうがランニングコストを含むトータル支出はお得ともいわれている。

エアーの上級グレード「EX」の7人乗り、車いすの積載に対応する「クロスター スロープ」と助手席シートが回転する「クロスター リフトアップシート」を除き、全モデルにFF車と4WD車がラインナップしている。駆動方式は居住地域や使い方で選択すればいいと思うが、その駆動方式による価格差はグレードによって異なり、最低でも13万1000円以上の差となる。クローズドコースでFFのプロトタイプモデルに試乗した印象では、FF車であってもスタビリティーに不満なし。軽快感ある走りが印象的だった。

内装は無印良品的というかユニクロ的というか、クリーンで質感の高いエアーと、ブラックとカーキの2トーンカラーでアウトドアライクなコーディネートとされたクロスターで個性が異なる。ここは好みがはっきりと分かれそうだ。いずれのモデルでもシート表皮にはっ水・はつ油機能のある「ファブテクト」が採用されるので、子育て世代やアウトドア趣味人の強い味方になってくれるだろう。

エアーは内装色がファブテクトとプライムスムースのコンビネーション表皮となるグレージュまたはブラックから選択できるのに対して、クロスターは同表皮のブラック×カーキのコンビカラーのみの設定。実車を見比べてみて、インテリアライクなグレージュを好ましく感じたが、道具としてガンガン使うのならクロスターのブラック×カーキも悪くないと思う。

3列シート6人乗り(写真)と同7人乗りのレイアウトを採用する「フリード エアー」のキャビン。内装色はグレージュとブラックから選択できる。2列目シートがベンチタイプとなる7人乗りが用意されるのはエアーのみとなる。
3列シート6人乗り(写真)と同7人乗りのレイアウトを採用する「フリード エアー」のキャビン。内装色はグレージュとブラックから選択できる。2列目シートがベンチタイプとなる7人乗りが用意されるのはエアーのみとなる。拡大
2列シート5人乗り(写真)と3列シート6人乗りが設定される「クロスター」のキャビン。内装色はアウトドアテイストを盛り込んだブラック×カーキのコンビカラーのみの設定。2列シート車の荷室には、上下を2分割して活用できるユーティリティーボードが備わっている。
2列シート5人乗り(写真)と3列シート6人乗りが設定される「クロスター」のキャビン。内装色はアウトドアテイストを盛り込んだブラック×カーキのコンビカラーのみの設定。2列シート車の荷室には、上下を2分割して活用できるユーティリティーボードが備わっている。拡大
車いすの積載に対応する「スロープ」(写真)と助手席シートが回転する「リフトアップシート」のいわゆる福祉車両は、今回「クロスター」にのみ設定される。あえてアクティブなエクステリアデザインのクロスターに福祉車両を用意したのは、「家族や仲間と自由にいろいろなところに出かけてほしい」という開発陣の強い思いからだという。
車いすの積載に対応する「スロープ」(写真)と助手席シートが回転する「リフトアップシート」のいわゆる福祉車両は、今回「クロスター」にのみ設定される。あえてアクティブなエクステリアデザインのクロスターに福祉車両を用意したのは、「家族や仲間と自由にいろいろなところに出かけてほしい」という開発陣の強い思いからだという。拡大
新型「フリード」の全モデルに、はっ水・はつ油機能のあるシート表皮「ファブテクト」が採用される。油汚れや泥汚れなどはさっとひと拭きするだけでキレイになり、シミになりにくい。子育て世代やアウトドア趣味のユーザーの強い味方になってくれるだろう。
新型「フリード」の全モデルに、はっ水・はつ油機能のあるシート表皮「ファブテクト」が採用される。油汚れや泥汚れなどはさっとひと拭きするだけでキレイになり、シミになりにくい。子育て世代やアウトドア趣味のユーザーの強い味方になってくれるだろう。拡大

人気グレードの納車待ちは長い?

新型フリードにおける個人的な注目グレードは、先に少し触れた車いすが後方から積める2列シート6人乗り(車いすの乗員含む)の「クロスター スロープ」だ。速度調整と進路補正機能が付く電動ウインチとスライド式の「スーパーフレックススロープ」は、車いすはもちろんのこと、例えばラジオフライヤーに代表されるキャリーワゴンにアウトドアグッズを満載したままクルマに積んだり、大型のベビーカーを折りたたまずにそのまま載せたりする際に、簡単・安心・安全な強い味方になる。

スロープを畳み前方に倒せば、2段収納のタップリとした容量のラゲッジスペースとして使える。新型フリードからスロープ車が型式指定車両になったので、持ち込み登録の手間が省けるようになったのもうれしいポイント。介護車両としてだけではなく、アウトドアアクティビティーでも便利に使えるはずだ。

しかも、クロスター スロープにはもれなくリアクーラーもついてくる。2列目が3人掛けとなる2列シート仕様車では、唯一のリアクーラー設定車だ。2代目フリードユーザーなら、リアクーラーのありがたみはひとしおだろう。2列目シートに冷風を送るため、真夏にエアコンの風量を全開にして1列目が凍える寒さになるようなことは回避できる。同じガソリン車の2列シート5人乗りクロスターとの価格差は16万4300円だが、クロスター スロープにはスーパーフレックススロープとリアクーラーが装備され、消費税が非課税となる。

大きく進化し、利便性も向上した新型フリードだが、懸念材料もある。それは納期だ。車両が正式発表された2024年6月27日の時点で、月販目標の6500台に対して先行受注数は約2万4000台と公表されている。

最寄りの販売店では、人気が集中している上級グレード「e:HEVエアーEX」の納車はどんなに早くとも2024年11月以降になるという。とにかく早く乗りたい人には、見込み発注で確保したエアーの7人乗りとクロスターの6人乗りのガソリン車を8月納車で数台用意できるとのこと。あくまでも同販売店での話になるが、現在までの受注ではe:HEVの人気が圧倒的で、しかもエアーEXが7割近くを占めるという。クロスター人気がイマイチというのは正直意外だったが、もしも新型フリードの走りを早めに味わいたいというのなら、クロスターのガソリン車は注目です。

(文=櫻井健一/写真=本田技研工業/編集=櫻井健一)

左が「フリード クロスター」、右が「フリード エアー」。価格はガソリンエンジンを搭載するエアー(6人乗り/FF車)の250万8000円から、「e:HEV」を搭載するクロスター(6人乗り/4WD車)の343万7500円まで。筆者の最寄り販売店によると、現在までの受注ではe:HEVの人気が圧倒的で、エアーが7割近くを占めるという。
左が「フリード クロスター」、右が「フリード エアー」。価格はガソリンエンジンを搭載するエアー(6人乗り/FF車)の250万8000円から、「e:HEV」を搭載するクロスター(6人乗り/4WD車)の343万7500円まで。筆者の最寄り販売店によると、現在までの受注ではe:HEVの人気が圧倒的で、エアーが7割近くを占めるという。拡大
速度調整と進路補正機能が付く電動ウインチとスライド式の「スーパーフレックススロープ」が搭載される2列シート6人乗り(車いすの乗員含む)の「クロスター スロープ」。展開・収納が簡単に行えるスロープの耐荷重は200kgで、電動ウインチ用のリモコンも標準で装備される。
速度調整と進路補正機能が付く電動ウインチとスライド式の「スーパーフレックススロープ」が搭載される2列シート6人乗り(車いすの乗員含む)の「クロスター スロープ」。展開・収納が簡単に行えるスロープの耐荷重は200kgで、電動ウインチ用のリモコンも標準で装備される。拡大
スロープを畳み前方に倒せば、2段収納のタップリとした容量のラゲッジスペースとして使える。新型「フリード」から「スロープ」が型式指定車両となったので、持ち込み登録の手間が省ける。誰が購入しても消費税は非課税。
スロープを畳み前方に倒せば、2段収納のタップリとした容量のラゲッジスペースとして使える。新型「フリード」から「スロープ」が型式指定車両となったので、持ち込み登録の手間が省ける。誰が購入しても消費税は非課税。拡大
2代目「フリード」のユーザーに熱望されたというリアクーラーが、「エアーEX」の6人乗り仕様などに標準で装備されたのも新型フリードのセリングポイント。暑い日に、これがあるのとないのとでは2列目以降の快適性に大きな差が生じるはずだ。
2代目「フリード」のユーザーに熱望されたというリアクーラーが、「エアーEX」の6人乗り仕様などに標準で装備されたのも新型フリードのセリングポイント。暑い日に、これがあるのとないのとでは2列目以降の快適性に大きな差が生じるはずだ。拡大
櫻井 健一

櫻井 健一

webCG編集。漫画『サーキットの狼』が巻き起こしたスーパーカーブームをリアルタイムで体験。『湾岸ミッドナイト』で愛車のカスタマイズにのめり込み、『頭文字D』で走りに目覚める。当時愛読していたチューニングカー雑誌の編集者を志すが、なぜか輸入車専門誌の編集者を経て、2018年よりwebCG編集部に在籍。

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