ロイヤルエンフィールド・ショットガン650(6MT)
気のおけない相棒 2024.08.03 試乗記 ロイヤルエンフィールドから話題のニューモデル「ショットガン650」が登場! インドの巨人がリリースする“ちょっとやんちゃ”な大型ネイキッドは、クセがなくて走りが楽しい、普段の道でもワクワクさせてくれるバイクに仕上がっていた。そのイメージ、古くない?
「フルカウルはちょっとキツいし、最近のネイキッドは虫みたいな顔ばかりだし、かといってハーレーはなんだか敷居が高い……」てなことでお悩みのリターンライダーの皆さま、ロイヤルエンフィールドはいかがでしょう?
「エッ!? RE(略してみました)って、走るより直す時間のほうが長いヤツでしょう? いまさらヴィンテージバイクはなァ……」と思った方、もしやリターン前の知識で情報が止まっていませんか?
いまやイギリスあらためインドを代表するモーターサイクルブランドのひとつになったロイヤルエンフィールドは、2015年にバイクの設計・開発を手がける英国ハリスパフォーマンスプロダクツを買収。2017年に年産60万台のキャパシティーを持つ工場を開設してからこっち、品質をバリ上げしています。世界50カ国を超えるマーケットでサービスを提供し、ハーレーダビッドソンを上回る販売台数を誇り、本国インドでは同社の「クラシック350」が本邦大人気の「ホンダGB350」(現地名:ハイネスCB350)としのぎを削っているといえば、その実力の程がわかろうというもの。エンスージアスティックな側面からだけでなく、“普通に乗って楽しむ”対象としてロイヤルエンフィールドのバイクを見てもいいのではないでしょうか?
……と前置きが長くなったのは、以前試乗したクラシック350シグナルズに続き、新しく販売が開始されたショットガン650(97万4600円~101万5300円)にも大いに好感を抱いたから。REファンの人ならご存じのように、ショットガン650は先行して輸入されたクルーザー「スーパーメテオ650」のコンポーネンツを活用して、ググっとスポーツに振ったモデル。メテオでは前:19インチ、後ろ:16インチだったタイヤが、ショットガンでは18と17インチに変更され、もちろんサスペンション関係にもあらためて手が入れられている。詳細は河野正士さんが既に報告されているので(参照)、今回は、炎天下の箱根で実車に乗った印象をお届けします。
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ムリしなくても十分楽しい
日本ブランドのバイクを見慣れた目には、いささかレトロな雰囲気のショットガン650。795mmと低めのシート高が昭和体形(←ワタシです)にはありがたい。「たしか車重240kgだったな」と脳内のメモを繰りながらサイドスタンドを払って走り始めると、アラ不思議!? ある程度“心して”臨んだせいもありましょうが、ビックリするほど乗りやすい!
まずポジションがいい。リアとは独立した革シートに座って手を伸ばすと、メテオより下げられたとはいうが、まったく自然な位置にグリップがあり、軽く足を下ろした場所にステップがある。素直な形状のタンクをヒザで挟み、ちょっと前かがみ程度の前傾姿勢をとれば、気負うことなく天下の険を目指すことができる。
シングルカムの空冷パラレルツインは、648ccの排気量から47PS/7250rpmの最高出力と52.3N・m/5650rpmの最大トルクを発生する。カタログ上のスペックはさておき、扱いやすさに全フリしたようなパワーユニットで、右手の動きそのままに、レスポンスよくトルクがまとわり付いてくる。日常使いの領域では直線的な癖のない出力特性で、そんなところも乗りやすさに貢献している。いくらも走らないうちに、見た目は「一癖ありそうな」ショットガン650が、その実「気のおけないいいヤツなのでは?」と認識をあらためる。
街なかライドで“スポーツ”の雰囲気を盛り上げてくれるのはもっぱらマフラーで、野太い音が重厚なスタイルによく合っている。山道を行くと前18インチの走りはおおらかなもので、ハンドリングはシュアだけれど、アスファルトを切り裂くようなシャープな走り……とはちょっと異なり、荷重移動を意識しながら丁寧にカーブをこなしていくのが“らしい”のではないかと思う。もちろん息を詰めて攻めれば別の顔が見えてくるのかもしれないが、そもそもそんな気にさせない、せずとも楽しいのがショットガン650だ。
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なんでもないカーブにワクワクする
「インドでは、ロイヤルエンフィールドのバイクはステータスシンボルそのものです」とは、試乗後にリモートでお話しできたアヌジ・ドゥアさん。REのアジアパシフィックを統括している。ショットガン650については、「ヴィンテージにインスパイアされ、モダンなハートを持ったモデル」とまとめてくれた。
なるほど。伝統を感じさせる外観に現代的な動力系。細かく見れば、「トリッパー」と呼ばれる簡易ナビやUSBポート、LEDヘッドランプといった今っぽいデバイスを備え、フロントには倒立フォークがおごられる。そのうえでオラつきとは無縁のスポーツライドを堪能できる。ことさらハンドリングステージを目指さなくとも、日常的にスポーツを感じられる。なんでもないカーブでワクワクさせられる。いいじゃないですか、ショットガン650!
同車には、デフォルトで弁当箱状の実用的なリアシートが装備されるが、取り外すとキャリアが現れ、それを取っ払って粋なシングルシート仕様にするのも簡単だ。「変幻自在のモンスター」というキャッチコピーにはあまり感心しないが、さらにアフターパーツを購入して「大人のカスタムライフ」を送るのもアリ。なにはともあれインポーターともども恨めしいのは、定着して久しい円安相場だな。
(文=青木禎之/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2170×820×1105mm
ホイールベース:1465mm
シート高:795mm
重量:240kg
エンジン:648cc 空冷4ストローク直列2気筒SOHC 4バルブ(1気筒あたり)
最高出力:47PS(34.6kW)/7250rpm
最大トルク:52.3N・m(5.3kgf・m)/5650rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:--km/リッター
価格:97万4600円~101万5300円

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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