ハードはそのまま 制御ソフトのアップデートだけで「スバルBRZ」の走りが変わるってホント?
2025.03.13 デイリーコラム「e-Tune」シリーズの第2弾が登場
スバルは現行型「スバルBRZ」に向けたアップデートサービス「SUBARU Sport Drive e-Tune」を間もなくリリースする予定だ。
SUBARU Sport Drive e-Tuneは、現行型BRZの「D型」(2024年7月発表)に採用されているMT車のスロットルセッティングやAT車のトランスミッション制御を、ソフトウエアアップデートによって「A型」(2021年7月発表)と「B型」(2022年5月発表)、そして「C型」(2023年9月発表)の現行型BRZに組み込むことで、動的性能をよりスポーティーに、より意のままに車両を操りやすくすることができるというサービスである。
MT車ではD型の「SPORT」モードで採用されているスロットルセッティングをA~C型に移植。スーパー耐久シリーズに参戦するTeam SDA Engineeringが、レース活動を通じて得た知見を生かし開発した「全回転域でアクセル操作に対してエンジンがダイレクトに反応するスロットルセッティング」によって、アクセルのコントロール性が如実に向上するという。
そしてAT車も、D型のAT車と同様のマニュアルダウンシフト制御に変更することで、ドライバーの操作や路面状況などから総合的に回転数制限範囲を判定する設定とし、オーバーレブの危険性がない状況ではドライバーの意思でダウンシフトができるよう、変速回転数の領域が拡大される。
SUBARU Sport Drive e-Tuneの価格(予価)は、MT車向けが5万5000円(工賃別)で、AT車向けが3万3000円(工賃別)である。施工時間は1時間程度とのこと。
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A~C型では常時臨戦態勢に
ディーラーでのサービス展開前ともあって残念ながらSUBARU Sport Drive e-Tuneを適用したBRZの走りは未体験だが、すでに試乗したジャーナリスト諸氏のコメントを聞く限りでは、MT車用もAT車用も「アップデートの効果が明確に体感できる!」という仕上がりであるようだ。つまり、MT車においてはどの回転域からアクセルペダルを踏んでも水平対向エンジンはビンビンに反応し、AT車においても変速制御が変更されることで、より加速感が強くなるという。
またAT車の場合、ドライバーが車両にダウンシフトを命じたとしても、回転数制限の関係で車両側が変速を制限する場合もある。それがAT車でスポーツドライビングを行う際の不満点のひとつなわけだが、SUBARU Sport Drive e-Tuneでプログラムをアップデートすれば、もちろん「オーバーレブの危険性がない状況では」というただし書きつきではあるが、前述のとおりドライバーの意思でダウンシフトができる領域が大幅に広がることになる。これはもうAT派というか、「自分はATでもいいかな?」と思っているドライバーにとっては、福音以外の何物でもないだろう。
とはいえ少し気になるのは、A~C型のMT車でSUBARU Sport Drive e-Tuneを行うと「エンジンとアクセルのレスポンスが常にD型のSPORTモードと同じ状態になる」ということだ。つまり、のんびりゆったりと走りたい気分のときでも、SUBARU Sport Drive e-Tuneが施されたA~C型MT車のエンジンとアクセルのレスポンスは、常時臨戦態勢に保たれてしまうのである。ここが、ドライブモードを切り替えることができるD型のMT車と、ドライブモード切り替えスイッチのないSUBARU Sport Drive e-Tuneを施したA~C型MT車の大きな違いだ。
そのためA~C型のMT車にSUBARU Sport Drive e-Tuneを行いたいと考えるユーザーは、実施前にD型MT車にとりあえず試乗し、SPORTモードに入れたうえで「エンジンとアクセルが常時この状態だったとして、果たして自分はどう感じるだろうか?」ということを確認しておくべきだろう。
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足まわりに明確な変化を感じ取れる
今回登場したSUBARU Sport Drive e-Tuneは、スバルのe-Tuneシリーズにおける第2弾である。その第1弾は2023年4月にリリースされた「スバル・レヴォーグSTI Sport」用の「SUBARU Active Damper e-Tune」だった。
SUBARU Active Damper e-Tuneは現行型レヴォーグSTI SportのA型からC型を対象とする、電子制御ダンパーのプログラムアップデートサービス。レヴォーグSTI Sportに採用されているZF製電子制御ダンパーの制御プログラムをバージョンアップすることで、ドライブモードセレクトの「Comfort」と「Sport+」のサスペンション特性を変更するというものだ。
アップデート後は、Comfortモード時は乗員全員がさらにリラックスしてゆったり過ごせる快適な乗り心地になり、Sport+モード時には、操舵に対する追従性がさらに高まった刺激的な走りに変化するとスバルは紹介している。
こちらについては筆者も試乗したが、「もっと激しく変化させたほうがいいのでは?」との印象を得た。つまりせっかくe-Tuneを行うのであれば、Comfortモード時には乗り心地がウルトラ超絶コンフォートになり、逆にSport+モード時には、乗るのが嫌になるぐらいの(?)硬い足に変化したほうが、選びがいとありがたみがあっていいのではないか、と感じたのだ。
とはいえそれでも明確な変化を感じ取ることはできるし、そもそもさほど高額なチューンでもない(価格は3万3880円)。せっかく手にしているZF製電子制御ダンパーの真価をさらに引き出すという意味でも、前向きに検討してみる価値はあるだろう。
(文=玉川ニコ/写真=スバル/編集=櫻井健一)
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玉川 ニコ
自動車ライター。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、自動車出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。愛車は「スバル・レヴォーグSTI Sport R EX Black Interior Selection」。
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