ホンダ・プレリュード(FF)

懐かしい未来 2025.10.09 試乗記 鈴木 真人 24年ぶりに復活したホンダの2ドアクーペ「プレリュード」。6代目となる新型のターゲットは、ズバリ1980年代にプレリュードが巻き起こしたデートカーブームをリアルタイムで体験・記憶している世代である。そんな筆者が公道での走りを報告する。
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!

ノーマル走行モードを「GT」と呼ぶ

ホンダが用意した推奨コースは、新型プレリュードの実力を味わい尽くすための設定だった。静岡・御殿場から高速道路で沼津を通り、国道1号で箱根峠までの長い坂を上り、芦ノ湖スカイラインと箱根スカイラインでクライマックスを迎える。「どこまでも行きたくなる気持ちよさ」「非日常のときめき」というコンセプトを体感できるように工夫された道のりだ。試乗時間は150分。報道関係者向けの試乗イベントにあって異例の長さになっているのは意気込みの表れだろう。

プレリュードには「SPORT」「GT」「COMFORT」「INDIVIDUAL」という4つのドライブモードがある。SPORTと後の2つはよく見かけるが、GTには意表を突かれた。種明かしをすれば、これはノーマルモードのこと。ひねった名称にしたのは、グランドツーリングカーの性格を持っていることを強調したかったかららしい。「どこまでも行きたくなる気持ちよさ」は、言い換えれば「グランドツーリング=大旅行」ということになろう。

というわけで、まずはGTモードで高速道路を走る。プレリュードのパワーユニットはホンダが誇る2モーターハイブリッドの「e:HEV」で、エンジンの最高出力は141PS。184PSのモーターとの組み合わせは強力で、普通に走っていれば静かで快適だ。グランドコンセプトとして「UNLIMITED GLIDE(アンリミテッドグライド)」を掲げていて、グライダーの滑空する様子をイメージして走りを磨いたという。クリーンでスムーズ、しかもレスポンシブルな乗り味を目指したのだ。

グライダー感を高めるのは、ホンダ初というコースティング制御だ。構造的には無段だが疑似的に7段の変速制御が行われており、ステアリングホイールのパドルを使って減速セレクターを操作する。減速Gを最小にするのがコースティングモードで、回生ブレーキは働かない。こういった機構はすでにいろいろなクルマで採用されている。ただ、これまではアクセルを踏んだ瞬間にクラッチをつなぐことでどうしてもショックが生じていた。モーターの精密な制御でショックをゼロにしたのが新しい、ということのようだ。

2025年9月4日に発売されたホンダの新型「プレリュード」。「UNLIMITED GLIDE(アンリミテッドグライド)」をグランドコンセプトに掲げて開発された2ドアクーペで、今回のモデルは6代目にあたる。5代目モデルの販売終了から実に24年ぶりの登場となった。
2025年9月4日に発売されたホンダの新型「プレリュード」。「UNLIMITED GLIDE(アンリミテッドグライド)」をグランドコンセプトに掲げて開発された2ドアクーペで、今回のモデルは6代目にあたる。5代目モデルの販売終了から実に24年ぶりの登場となった。拡大
新型「ホンダ・プレリュード」は4人乗りのモノグレード設定。リアに備わるエンブレムのデザインは、4代目プレリュードのエンブレムがベースになっている。車両本体価格は617万9800円。
新型「ホンダ・プレリュード」は4人乗りのモノグレード設定。リアに備わるエンブレムのデザインは、4代目プレリュードのエンブレムがベースになっている。車両本体価格は617万9800円。拡大
立体的でシャープな造形が特徴的な新型「プレリュード」のフロントフェイス。薄型のヘッドランプには、マルチファンクションライトとアダプティブドライビングビームに加え、アクティブコーナリングランプが組み込まれている。
立体的でシャープな造形が特徴的な新型「プレリュード」のフロントフェイス。薄型のヘッドランプには、マルチファンクションライトとアダプティブドライビングビームに加え、アクティブコーナリングランプが組み込まれている。拡大
トレッドとホイールベースの比率を、直進安定性と旋回性をバランスさせた1:1.6のアスペクトレシオに設定。ロー&ワイドのフォルムと滑らかなルーフラインは印象的だが、外観デザインにノッチバックスタイルを採用していた従来型との共通点は見当たらない。
トレッドとホイールベースの比率を、直進安定性と旋回性をバランスさせた1:1.6のアスペクトレシオに設定。ロー&ワイドのフォルムと滑らかなルーフラインは印象的だが、外観デザインにノッチバックスタイルを採用していた従来型との共通点は見当たらない。拡大