ホンダの「Hマーク」がいよいよ刷新! ブランドロゴ刷新の経緯とホンダのねらい
2026.02.06 デイリーコラムこれが初お披露目……ではない!
ホンダが“ホンダとして”久しぶりに正式参戦する2026年シーズンのF1。同年1月20日に東京で行われた「2026 Honda×Aston Martin Aramco F1 Teamニューパートナーシップ始動発表会」では、2026年を戦うニューマシンやパワーユニットがお披露目されたわけだが、そこに参加していた筆者はあるものに驚いた。F1マシンに描かれていたホンダのエンブレム(ロゴマーク)である。率直に言うと、見慣れないヘンな(笑)デザインだったのだ。
といっても、布石は打たれていた。ちょうど1週間前となる1月13日に、「四輪事業における新たなシンボルとして、新たなデザインの『Hマーク』を採用します」(プレスリリースより、以下同)という発表がなされていたのだ(参照)。いわく「この新たなHマークは、次世代EV(電気自動車)に加え、2027年以降に投入する次世代ハイブリッド車の主力モデルへの適用を予定しています」「このHマークについて、四輪商品だけではなくお客様とのタッチポイントである販売店やコミュニケーション展開、四輪モータースポーツなど、四輪事業全体のシンボルとして適用範囲を拡大します」とも。それがF1マシン(ホンダ製パワーユニットを搭載するアストンマーティンの「AMR26」)のノーズにも描かれていたというわけである。
しかし実は、新しいHマークのはじまりはそこ(2026年1月)ではなかった。最初に公開されたのはなんと2024年1月。実に2年以上前のことだった。
次世代EV用から四輪事業全体の象徴に
この新しいHマークが初めてお披露目されたのは、次世代EV「Honda 0(ゼロ)シリーズ」の説明会の席上でのこと。「この新たなHマークは、Honda 0シリーズを含むHondaの次世代EVに採用されます」として、要は当初はEV専用のエンブレムとして公開されたのだ。
しかし、この説明会に参加していた編集部Hによると、「そもそもホンダは“将来的なEV 100%化”を掲げているので、現場では『いずれは従来ロゴはお役御免で、すべてのホンダ車のロゴが、この新Hマークに統一されるのでは?』と、みんなヒソヒソ話していた。なんなら質疑応答で突っ込んでいた人もいましたよ」とのこと。その推理が当たっていたのかどうかは知らないが、その後、2025年5月の経営戦略説明会「2025ビジネスアップデート」では、2027年以降に投入するハイブリッド車の主力モデルにも、新たなHマークを適用すると説明。EVシフトの見直しとあわせて、新Hマークの使い方も拡大方向へ軌道修正することを明らかにした。
そして今回の発表である。EVやハイブリッドといった商品だけにとどまらず、「お客様とのタッチポイントである販売店やコミュニケーション展開、四輪モータースポーツなど、四輪事業全体のシンボルとして適用範囲を拡大」と、新Hマークの役割が大きく広がったのがここまでの流れだ。
整理すると「次世代EV」「2027年以降に投入する次世代ハイブリッド車の主力モデル」「販売店やコミュニケーション展開」「四輪モータースポーツ」などには、新しいHマークが使われると読み取れる。いっぽうで、「主力以外の次世代ハイブリッド車」や「ガソリン車」などのHマークはどうなるのか? ホンダに問い合わせてみたところ、「次世代EV/HEVから順次なので、そうでないモデルは現在のHマークを使い続けます。今のところは……。ちなみにHEVの青エンブレムは、2025年の『ヴェゼル』の改良モデルを皮切りに、順次黒に変わっていきます」とのことである。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
“第二の創業期”に臨むにあたって
ところで、熱烈なホンダファンの諸氏のなかには、新しいHマークがどことなくレトロで、四輪事業草創期に使われていたものに似ていると思った人もいるに違いない。実は筆者もそう思った。そこでホンダの説明をじっくり読み込んでみたら、今回の変更に関して「知能化・電動化など大きく変革する四輪市場において“第二の創業期”の象徴」という意味が込められているのだとか。「両手を広げたようなデザインは、モビリティの可能性を拡張し、ユーザーに向き合う姿勢を示しています」なのだそうだ。なるほど、わかるような、わからないような……。
振り返ってみると、1963年に初のHマークが制定されたのち、1969年、1981年、1991年、そして2001年に改定が行われている。今使われているのは、最後の改定から四半世紀が経過しているのだから、実は“まれに見る長寿命”なのだ。そう考えれば、そろそろ変わってもおかしくない。「ヒョンデのロゴマークに似ているから変えた」というのは、きっと都市伝説だろう。
最後に、ホンダのロゴについてのトリビアをもうひとつ。多くの人はその英文字表記は「HONDA」と思っていることだろう。しかし(企業ロゴマークを除けば)正式には頭だけ大文字でほかは小文字の「Honda」なのだ。同社の公式サイトなどでも文章内は「Honda」という表記だし、最新のF1マシンにも「Powerd by Honda」と書かれている。実は市販車でも、2025年に発売された「プレリュード」や、海外で発売されているEVモデル、そしてなにを隠そう「ホンダe」のリアに貼られた車名ロゴも「Honda」の表記だったことを知っている人は、マニアを自負していいと思う。
(文=工藤貴宏/写真=本田技研工業、webCG/編集=堀田剛資)

工藤 貴宏
物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。
-
世界遺産・高野山で大型電動バス「BYD K8」の営業運行がスタート その狙いとは?NEW 2026.5.7 和歌山の南海りんかんバスが、世界遺産・高野山でBYDの大型電動バス「K8」の運行を開始した。現地にPHEV「BYDシーライオン6」で向かい、実際に高野山を巡るルートで電動バスに乗車しながら観光地における電動バスの役割を考えた。
-
バンコクモーターショー訪問記 「ランドクルーザー“FJ”」目当てに出かけた先で起きた大事件 2026.5.6 年に2度開催され、毎回盛況のバンコクモーターショーをライターの工藤貴宏が訪問。お目当てはついに正式発表&発売の「トヨタ・ランドクルーザー“FJ”」だったのだが、現地では数十年ぶりとなる大事件が起きていた。会場の様子とともにリポートする。
-
業績不振は想定内!? 名門ポルシェはこの先どうなってしまうのか? 2026.5.4 2025年から思わしくない業績が続くポルシェ。BEVの不振やMRモデルの販売終了などがその一因といわれるが……。果たして、名門に未来はあるのか? 事情をよく知る西川 淳が、現状と今後の見通しについて解説する。
-
世紀の英断か 狂気の博打か 「日産サクラ」の値下げに踏み切った日産の決断を考える 2026.5.1 日産の軽乗用電気自動車「サクラ」が、180kmの航続距離はそのままに値下げを断行! デビューから4年がたつというのに、性能はそのままで大丈夫? お手ごろ価格というだけでお客は戻ってくるのか? 電気自動車のパイオニアが下した、決断の成否を考える。
-
BMWの新世代BEV「i3」の姿からエンジン搭載の次期「3シリーズ」を予想する 2026.4.30 「iX3」に続き、完全な電気自動車として登場した新型「i3」。BMWはノイエクラッセをプロジェクトの御旗に電動化を推進しているが、同社の伝統たる内燃機関搭載車「3シリーズ」のゆくえやいかに。 i3の成り立ちからその姿を予想する。
-
NEW
第960回:レクサスは欧州人のマナーを変えた? 「ミラノ・デザインウイーク2026」の自動車ブランド出展から
2026.5.7マッキナ あらモーダ!イタリア・ミラノで世界的なデザインの祭典「デザインウイーク」が開催された。アウディ、レクサス、ルノー、イタルデザイン……と、自動車関連の出展も数多く見られた会場の様子を、伊在住の大矢アキオがリポート。今回はどんな展示が注目を集めていたのか? -
NEW
世界遺産・高野山で大型電動バス「BYD K8」の営業運行がスタート その狙いとは?
2026.5.7デイリーコラム和歌山の南海りんかんバスが、世界遺産・高野山でBYDの大型電動バス「K8」の運行を開始した。現地にPHEV「BYDシーライオン6」で向かい、実際に高野山を巡るルートで電動バスに乗車しながら観光地における電動バスの役割を考えた。 -
NEW
三菱デリカD:5 P(前編)
2026.5.7あの多田哲哉の自動車放談さまざまなクルマの開発を取りまとめてきた多田哲哉さんが今回試乗するのは、年々人気が高まりつつある三菱のミニバン「デリカD:5」。その最新型に触れて、多田さんの印象に残ったこととは? -
ジープ・アベンジャー4xeハイブリッド アップランド(4WD/6AT)【試乗記】
2026.5.6試乗記ジープのなかでも最も小柄な「アベンジャー」に、4WDのマイルドハイブリッド車「4xe」が登場。頼りになるリアモーターと高度なマルチリンク式リアサスペンションを備えた新顔は、いかなる走りを見せるのか? 悪路以外でも感じられる、その恩恵を報告する。 -
第111回:新型BMW i3(後編) ―BMWの挑戦が浮き彫りにした、BEVセダンのデザイン的課題―
2026.5.6カーデザイン曼荼羅BMWが発表した新型「i3」は、スポーツセダンの世界的ベンチマーク「3シリーズ」の電気自動車(BEV)版ともいうべきモデルだ。彼らが思い描く、BEV時代のセダンの在り方とは? そこから浮かび上がる、未来のセダンの課題とは? カーデザインの識者と考えた。 -
バンコクモーターショー訪問記 「ランドクルーザー“FJ”」目当てに出かけた先で起きた大事件
2026.5.6デイリーコラム年に2度開催され、毎回盛況のバンコクモーターショーをライターの工藤貴宏が訪問。お目当てはついに正式発表&発売の「トヨタ・ランドクルーザー“FJ”」だったのだが、現地では数十年ぶりとなる大事件が起きていた。会場の様子とともにリポートする。








































