ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)/CR-V e:HEV RS(4WD)
自信持っていこう 2026.04.01 試乗記 ホンダの「CR-V」が日本市場に帰ってきた。先代モデルの発売時(2018年)も2年ぶりの復活で(少し)盛り上がっていたが、今回もまた3年半ぶりの復活である。モデルライフが途切れ途切れなところは気になるものの、新型のすっきりと上質な乗り味はまぎれもなくプレミアムな領域に達している。家の都合であっちこっちへ
新型CR-Vの開発担当の皆さんの顔はやはり晴れやかには見えなかった。せっかくの新型車、そのお披露目の試乗会だというのに、2026年2月末の発売直後にホンダEV戦略の根本的見直しと赤字転落が発表されたせいで、すっかり話題をさらわれてしまった。何ともタイミングが悪いというか、不運なスタートというしかない。
いまさら繰り返すまでもないがCR-V(初代は1995年デビュー)はホンダの基幹車種である。グローバルでは今や最も台数が出ているモデルであり、北米市場だけで年間ざっと40万台も売れている稼ぎ頭である。それなのに日本では家庭の事情で転校を繰り返す生徒のように、出たり入ったりとまことに気の毒な立場に置かれていた。6代目となる新型CR-Vも2022年に発売されていたが、当初は日本市場には投入しない方針だった(その代わりの日本向け上級SUVが「ZR-V」。ただしリース販売のFCEV仕様は存在した)。
というわけで、新型CR-Vは3年半ぶりの日本復活である。ホンダの場合は他のモデルでも似たようなブランクがあるのでいまさら驚きはしないが、ここ10年ほどはどうしても右往左往している印象が拭えない。威勢のいいことを言っても、どうせまたすぐやめちゃうんでしょ? と思われても仕方がないのが現状だが、そういう話題は別の機会に譲る。商品そのものと現場のエンジニアには関わりのないことだからである。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
慎重な品ぞろえ
久しぶりの日本向けCR-Vはホンダ自慢のハイブリッド「e:HEV」のみとなる。グレードも「RS」(FWDと4WD仕様あり)と、コスメティックスがより精悍(せいかん)な仕立ての「RSブラックエディション」(4WDのみ)の2種に限られ、月販計画はわずか400台である。新型CR-Vは「アコード」同様タイ工場製の輸入車だから、最初から思いどおりにはならないのかもしれないが、今や稼ぎ所ともいえる(そのぶん競争は激しいが)ミドルクラスのSUVセグメントでこの数字はちょっと控えめにすぎるのではないだろうか。RSという、どう見てもスポーティーを連想させるグレードのみのラインナップもちょっと心配だ。500万円台のプレミアムといっていいSUVに、いまだに汗臭いスポーティーさを求める人がどれほどいるのかという疑念も拭えない。
新型CR-Vは先代モデルよりもひと回り大きくなっており、全長4700mm(先代比+95mm)×全幅1865mm(+10mm)×全高1680mm(変化なし)、ホイールベース2700mm(+40mm)のボディーサイズは、「トヨタRAV4」や「スバル・フォレスター」などのライバルと真っ向勝負の位置づけだ。それを思うと、またも繰り言になるがもう少し早く、せめて新型RAV4やフォレスターよりも先に導入できなかったのかと残念に思う。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
乗るといい、は間違いない
前述のとおりパワートレインは最高出力148PSと最大トルク183N・mを生み出す2リッター4気筒直噴ガソリンエンジン(アトキンソンサイクル)に2モーター内蔵電気式CVTを組み合わせたe:HEVのみ。アコードと同じ2軸タイプ(平行軸それぞれに駆動用と発電用モーターを備える)の最新式で、さらに駆動用モーターは184PSの最高出力は不変だが最大トルクは335N・m(アコードは315N・m)に強化されている。
ホンダのe:HEVは基本的にエンジンで発電してモーターで駆動するシリーズハイブリッドだが、高速巡航時などエンジン走行のほうが効率がいい場合にはエンジン直結駆動モードで走行する。CR-Vでは高速側に加えて「ロックアップLow」と称する低速側の直結ギアを追加。緩加速時や上り坂でもエンジン直接駆動で走る場面があるという。北米などでは必須のトレーラーけん引要求に応えるものだが、燃費にも貢献するという。
走りだしてすぐに感じたのは「プレリュード」そっくりということだった。e:HEVだからということではなく、新型プレリュードと同じく、すっきり爽快にすがすがしく走る。試乗車はAWDだったから車重は1830kgとそれなりに重いが、実用域では軽快敏しょうかつ滑らかだ。ホンダのe:HEVの美点はスロットルペダルを踏み込んでエンジンが始動しても途端にやかましくならないところ。新型CR-VにはANC(アクティブノイズコントロール)をはじめ、入念な遮音対策が施されているらしいが(サイドウィンドウのアコースティックガラス装着やドアミラーの取り付け方変更など)、そもそもこのシリーズのエンジンは回しても耳障りではないうえに、ステップシフトのように加速に応じてエンジン回転数が変化するリニアシフトコントロールが採用されている。エンジンがかかった途端に興ざめということがない。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
すっきり上質
すがすがしいと感じるのはもちろん乗り心地も上々であるからだ。電子制御ダンパーほどの飛び道具は備わらないが(周波数感応型ダンパーを装着)、フロントのサブフレームのアルミ化や各部のフリクション低減と剛性アップなどを積み重ねた結果、粗野なバイブレーションなどを感じさせない、しなやかで滑らかな乗り心地を実現している。公道での試乗会ゆえに、電子制御カップリングを使用するリアルタイムAWD(新型はドライブモードに「インディビジュアル」と「スノー」が追加された)のトルク配分が前後60:40から50:50~60:40に変更された効果までは確認できなかったが、ハンドリングも穏当でリニアである。総じてとげとげしい部分がなく、すっきりプレミアムなSUVといっていい。
広々とした室内に加え、ブラックエディションではシートヒーター&ベンチレーション、ヘッドアップディスプレイ、パノラマサンルーフなども標準装備されるなど、500万円級にふさわしい充実装備が盛り込まれている。例によって黒一色のインテリアと「シビック」などと変わらないインストゥルメントパネルが残念だが、静かで上質な走行性能に加え、ホンダ随一ともいえるこの充実装備ぶりなら、もっと堂々と勝負できるはずだ。
(文=高平高輝/写真=向後一宏/編集=藤沢 勝)
テスト車のデータ
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4700×1865×1690mm
ホイールベース:2700mm
車重:1830kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
エンジン最高出力:148PS(109kW)/6100rpm
エンジン最大トルク:183N・m(18.7kgf・m)/4500rpm
モーター最高出力:184PS(135kW)/5000-8000rpm
モーター最大トルク:335N・m(34.2kgf・m)/0-2000rpm
タイヤ:(前)235/55R19 101Y XL/(後)235/55R19 101Y XL(ミシュラン・ラティチュード スポーツ3)
燃費:18.0km/リッター(WLTCモード)
価格:577万9400円/テスト車=597万7400円
オプション装備:ボディーカラー<プラチナホワイトパール>(4万4000円) ※以下、販売店オプション フロアマットカーペット<プレミアム>(5万9400円)/ドライブレコーダー2カメラ(5万9400円)/発話型ETC2.0車載器(3万0800円)/取り付けアタッチメント(4400円)
テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:1264km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
ホンダCR-V e:HEV RS
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4700×1865×1690mm
ホイールベース:2700mm
車重:1800kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
エンジン最高出力:148PS(109kW)/6100rpm
エンジン最大トルク:183N・m(18.7kgf・m)/4500rpm
モーター最高出力:184PS(135kW)/5000-8000rpm
モーター最大トルク:335N・m(34.2kgf・m)/0-2000rpm
タイヤ:(前)235/55R19 101Y XL/(後)235/55R19 101Y XL(ミシュラン・ラティチュード スポーツ3)
燃費:18.0km/リッター(WLTCモード)
価格:539万2200円/テスト車=559万0200円
オプション装備:ボディーカラー<キャニオンリバーブルーメタリック>(4万4000円) ※以下、販売店オプション フロアマットカーペット<プレミアム>(5万9400円)/ドライブレコーダー2カメラ(5万9400円)/発話型ETC2.0車載器(3万0800円)/取り付けアタッチメント(4400円)
テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:962km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

高平 高輝
-
ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.8.11 新型電気自動車「ES90」は、ボルボが「フラッグシップクロスオーバー」と紹介する新種の5ドアハッチバックモデル。「SPA2」プラットフォームによるゆとりあるボディーと、ボルボの次世代電気自動車アーキテクチャーの織りなす走りを報告する。
-
テスラ・モデルY Lプレミアム(4WD)【試乗記】 2026.8.10 日本でも好評を博す、テスラのSUVタイプの電気自動車「モデルY」。その6人乗り・ロングボディー仕様が「モデルY L」だ。実際に機能性や走りに触れてみると、決して「補助金頼み」とは言えない、同車の人気の理由が分かってきた。
-
アウディQ3 TFSI 110kWアドバンスト(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.8 アウディのミドルサイズSUV「Q3」の新型が日本に上陸。デザインやインターフェイスは新しくなっているが、さまざまな事情によってクルマとしての基本コンポーネンツは先代を踏襲しているのが3代目の実情だ。果たしてそれが吉と出るか凶と出るか。FWDのエントリーグレードを試す。
-
スズキDR-Z4SM(5MT)【レビュー】 2026.8.7 スズキ久々のスーパーモタードである「DR-Z4SM」に試乗! 最新の400cc級デュアルパーパスモデルをベースに、タイヤを17インチ化してオンロードでの機動性を突き詰めた一台は、今どき珍しいほどにアグレッシブで、強烈な個性を放つマシンに仕上がっていた。
-
アウディA6 TDIクワトロ150kW(4WD/7AT)【試乗記】 2026.8.5 歴史的にも車格的にも、アウディの中核に位置している「A6」。その最新モデルが日本に導入された。往年の「100」から数えて9代目となる新型は、いかなる走りを備えているのか? 既存の車種とは一味違う、新時代のアウディのドライブフィールを報告する。
-
NEW
ボルボのフラッグシップ電気自動車「EX90」が上陸 軌道修正された電動化戦略の今を探る
2026.8.13デイリーコラムボルボのフラッグシップ電気自動車(BEV)「EX90」と「ES90」が日本に上陸。2030年までに完全BEVブランドになるという目標は軌道修正したが、2040年までに温室効果ガス排出ゼロ企業を目指す方針に変わりはない。ボルボの電動化戦略の今を探る。 -
NEW
第974回:「民生用」と「軍用」をまたぐクルマたち――ルノーの最新戦術車両に思う
2026.8.13マッキナ あらモーダ!ルノーのクロスオーバーSUV「ラファール」がまさかの軍用車に? ルノーと軍需との第1次大戦にまでさかのぼるつながりと、彼らが今ふたたび防衛産業と距離を詰め始めた理由、世界的に見られる軍用と民生用の垣根を超えたクルマの歴史を、大矢アキオが解説する。 -
「スバルBRZ」が採用した「新しいシフトレバー構造」とは何か?
2026.8.12デイリーコラム2026年7月31日に発表された「スバルBRZ」の最新モデルでは6段MTへの「新しいシフトレバー構造」の採用がうたわれている。すでに熟成し切った技術のように思われるマニュアルトランスミッションだが、2026年にもなってどんな構造を取り入れたのだろうか。スバルに聞いてみた。 -
第124回:「日産エルグランド」と「メルセデス・ベンツVLE」(前編) ―絶対王者に戦いを挑む、次世代高級ミニバンのカーデザイン―
2026.8.12カーデザイン曼荼羅日産が新型「エルグランド」を発売し、海の向こうではメルセデス・ベンツが「VLE」を発表するなど、いまにわかに盛り上がりを見せている高級ミニバンのかいわい。新興勢力は王者「トヨタ・アルファード」の存在を超えられるのか? カーデザイン視点で考えた。 -
トヨタRAV4 Z(4WD/CVT)【試乗記】
2026.8.12試乗記トヨタの人気SUV「RAV4」が6代目へと進化。どれくらい人気なのかは本文をご覧いただきたいが、日本だけでなく約180もの国と地域で愛されているモデルゆえに、その仕上がりはとにかく手堅く、そして隙がない。街から高速道路、さらに山道まで走り回って、気になったのはわずか1カ所のみだった。 -
ネジやボルトの“締め付け”ひとつでクルマの乗り心地やハンドリングがよくなるって本当?
2026.8.11あの多田哲哉のクルマQ&A車体の組み上げに使われる、無数のネジやボルト。その締め方次第でよりよい走りを実現できるというのは本当なのか? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いてみた。


























































