トヨタもスバルもマツダも いまなぜ2.5リッターエンジンなのか?
2026.09.24 デイリーコラム国内の主要メーカーが2.5リッターエンジンを採用
2.5リッター直列4気筒自然吸気ガソリンエンジンの採用例が増えている。筆者の認識では、先鞭をつけたのはトヨタのA25A型だ。開発、生産、サプライチェーンまで含めた構造改革を指すTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の第1弾エンジンで、2017年に「カムリ」のハイブリッドモデルに搭載されたのが最初。最大熱効率41%を達成した(つまり低燃費が期待できる)高効率エンジンである。
その後、「クラウン」「ハリアー」「アルファード/ヴェルファイア」「RAV4」、レクサスブレンドでは「NX」や「RX」などがハイブリッド仕様を中心にA25A型の2.5リッター直4自然吸気エンジンを搭載している。トヨタ/レクサスの主力エンジンのひとつといっていい。
マツダが2026年5月に販売を開始した新型「CX-5」は、「e-SKYACTIV-G 2.5」の2.5リッター直4自然吸気ガソリンエンジン(正確にはオルタネーターでエネルギー回生を行うマイルドハイブリッド)のみを設定する。先代で設定のあった「SKYACTIV-D 2.2」のディーゼルエンジンは廃止された。2027年には2.5リッター直4自然吸気の高効率エンジン「SKYACTIV-Z」を組み合わせる、独自開発のハイブリッドシステムを搭載した仕様の追加が予告されている。
「Z」の前身である「SKYACTIV-X」は2リッター直4エンジンに「エアサプライ」と呼ぶ機械式スーパーチャージャーを組み合わせたユニットだ。その進化版であるSKYACTIV-Zは空気を強制的に供給する装置の搭載をやめ、排気量を増やすことでシリンダー内に取り込む空気量を増やす考えだ。
スバルが2025年に発売した6代目「フォレスター」は、ハイブリッド仕様と純エンジン仕様の2本立てで構成。純エンジン仕様はCB18型1.8リッター水平対向4気筒ターボ、ハイブリッド仕様はFB25型の2.5リッター水平対向4気筒自然吸気エンジンを電動パワートレインと組み合わせる。
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ストロングハイブリッドとの相性がいい?
なぜ2.5リッター直4の自然吸気ガソリンエンジンが増えているのだろうか。日本では自動車税が排気量に応じて定められている。排気量が1500cc超2000cc以下なら年額3万6000円が基本だが、2.5リッターエンジンの場合、実際の排気量は2.5リッター以下なので2000cc超2500cc以下の区分にあてはまり、自動車税は年額4万3500円となる。
かつてのように排気量が2000ccを超えて3ナンバー車になった途端に自動車税が跳ね上がるようなことはなくなったが、排気量の区分は残っており、かつての5ナンバー車枠に収まる排気量2000cc以下に収めるのがメーカーの良心のようなムードは残っている。
だが、そんなムードも変わりつつあるようだ。エンジンの熱効率とトータルコストのバランスを考えると自動車税の枠が上がることによる影響は無視したくなる。その思いが勝り、ストロングハイブリッドシステムとの組み合わせを中心に、2.5リッター直4自然吸気ガソリンエンジンの増加を後押ししているのだろう。
フォレスターの1.8リッター水平対向4気筒ターボは「過給ダウンサイジング」の典型だ。このコンセプトを最初に採用したのはフォルクスワーゲンで、2005年に2リッター直4自然吸気ユニットを置き換えるかっこうで1.4リッター直4直噴ターボ+スーパーチャージャーを投入した(後にスーパーチャージャーを廃止。日本へは2007年に「ゴルフ」で初導入)。排気量を小さくして機械損失を低減する一方、空気は過給器によって補い、排気量の大きなエンジンと同等の出力を得ながら、燃費を向上させる技術である。
ダウンサイジングエンジンは過給の効果で低回転域から力強い走りが可能になるし、とくに市街地中心の走行では燃費面のメリットが大きく出る。また、とくに日本では税制面で恩恵を受けられるため、一部の国産メーカーはこの流れに追随。海外では当時隆盛を極めていたディーゼルエンジンに近い力強い走りが得られることからやはりトレンドとなり、現在でもこの流れは続いている。最新事例のひとつはメルセデス・ベンツが2026年7月に国内で発売した新型「CLA」が搭載するM252型の1.5リッター直4ターボである。
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マツダのSKYACTIV-Zに期待?
排気量を減らし、過給器で空気量を補うのがダウンサイジングなら、排気量を増やして十分な空気量を確保する考え方がアップサイジングである。最初から余裕のある吸気量を確保できているので、低速域でも十分なトルクが期待できる。高回転まで回さずとも、ゆとりある走りが味わえる。これがアップサイジングの特徴で、そのため回転上昇にともなって二次曲線的に大きくなる機械損失が抑えられ、熱効率(=燃費)の向上に寄与する。出力を確保するには高回転まで回す必要があるが、排気量に見合った車重のクルマに搭載するならその必要はないし、ストロングハイブリッドとの組み合わせならモーターで補完できるため相性がいい。
ストロングハイブリッドの場合は走行用と発電用の2つのモーターに減速機等のメカものやインバーターなどの電子機器をエンジンルームに収めなければならない。スペース効率の観点からも、ターボチャージャーやインタークーラーが必要になる過給エンジンより、シンプルな自然吸気エンジンのほうがありがたい。制御面でもコスト面でもやはり、つくりがシンプルな自然吸気エンジンが好都合だ。
それが、主にストロングハイブリッドとの組み合わせで2.5リッター直4自然吸気ガソリンエンジンの採用例が増えている理由だろう。自動車税の年額は増えるが、燃費向上によって燃料代が抑えられることを考えれば、税金の負担増が100%ユーザーのコストアップになるわけでもなさそう。それに、過給エンジンでないぶん車両コストは抑えられ、それが販売価格に転嫁されているだろうし……(綿密に計算したわけではありません。悪しからず)。
e-SKYACTIV-G 2.5を搭載するCX-5の場合は、排気量増を効率に振り向けたアップサイジングとは言いがたく、2.5リッターの排気量を目一杯使っている印象(動力性能面でも燃費面でも)。2026年7月の商品改良でe-SKYACTIV-G 2.5が新たに設定された「CX-30」と「マツダ3」は、多少なりともアップサイジングの恩恵が得られるだろうか。アップサイジング本来の効果は、SKYACTIV-Zの登場まで待つ必要がありそうだ。
(文=世良耕太/写真=マツダ、トヨタ自動車、スバル、フォルクスワーゲン/編集=櫻井健一)
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webCG 編集部
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