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【スペック】全長×全幅×全高=4775×1820×1605mm/ホイールベース=2745mm/車重=1580kg/駆動方式=4WD/3.6リッター水平対向6DOHC24バルブ(260ps/6000rpm、34.2kgm/4400rpm)/価格=346万5000円(テスト車=392万1750円)

スバル・レガシィアウトバック3.6R(4WD/5AT)【ブリーフテスト】

スバル・レガシィアウトバック3.6R(4WD/5AT) 2009.08.28 試乗記 生方 聡 ……392万1750円
総合評価……★★★★

「ツーリングワゴン」「B4」と同時に全面改良を受けたクロスオーバーモデル「アウトバック」。プラットフォームが一新された新型の実力は? 国産唯一の水平対向6気筒エンジンを搭載する3.6リッターモデルを試した。
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アメリカにジェラシー

レガシィというと、真っ先に思い浮かぶのは「ツーリングワゴン」だけれど、それはあくまで日本での話であって、日本の倍以上を販売する北米では「アウトバック」が圧倒的な人気を誇る。日本と北米を合わせても、アウトバックの販売台数が半数以上を占めるという。ちなみに、北米市場にツーリングワゴンはない。

好き嫌いはともかく、今度のレガシィで一番サマになっているのはアウトバックだと私は思うのだが、これはスバルの狙い通りなのだろう。“クロスオーバー”のパイオニアとして、アメリカでは根強い人気を誇るアウトバックを、これまで以上に押し出しが強く、存在感の高いモデルにしたい……。そんなデザイナーの意図が伝わってくるスタイリングだ。

それだけに、海の向こうのお得意様にはウケは良さそうだし、走りやパッケージングも余裕十分なのだが、一方、日本で使うには、やはりサイズはもう少しコンパクトなほうがいいし、エンジンもここまで贅沢である必要はない。これをゆとりと見るか、過剰と取るかは人それぞれだと思うが、アウトバックを含め、アメリカ色を強めたレガシィに戸惑いを覚えるのは、おそらく私だけではないだろう。クルマの出来がいいだけに、アメリカにレガシィを奪われた“嫉妬心”が、そんな思いにさせるのかもしれないが。

先代アウトバックと比べ、ボディは全長が45mm、全幅は50mm、全高は85mm大きくなった。
先代アウトバックと比べ、ボディは全長が45mm、全幅は50mm、全高は85mm大きくなった。 拡大
静粛性が向上したキャビン。エンジンは低回転域から力強いトルクを発生し、全体に静かな印象。
静粛性が向上したキャビン。エンジンは低回転域から力強いトルクを発生し、全体に静かな印象。 拡大
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【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
“クロスオーバー”の草分け的存在。1995年にデビューした「レガシィグランドワゴン」を起源とし、その後「ランカスター」「アウトバック」と名前を変えながら、アクティブなライフスタイルをおくるユーザーを中心に支持されてきた。

5代目レガシィとベースを同じくする現行モデルは、2.5リッター4気筒SOHCと3.6リッター6気筒DOHC、ふたつの水平対向エンジンが用意される。後者はもともと北米向けに開発されたもので、現地ではレガシィセダンにも搭載されるが、日本ではアウトバック専用ユニットとなる。トランスミッションは、2.5リッターにはCVT、3.6リッターには5ATが組み合わされる。なお、アウトバックにはMTの設定はない。

(グレード概要)
「3.6R」は、アウトバックの上級グレードであると同時に、レガシィシリーズでもっとも排気量の大きなモデルとなる。搭載する3.6リッター6気筒は、水平対向エンジンのフラッグシップユニット。北米ではアウトバックより約300kgも重い「トライベッカ」にも積まれるエンジンだから、余裕シャクシャクな走りを見せるのも当然だ。

2.5リッターとは4WDのシステムも異なる。2.5リッターには「アクティブトルクスプリットAWD」が組み合わされるのに対し、3.6リッターには、4輪のトルク配分をより積極的に行い、回頭性を高める「VTD-AWD」が組み合わされる。

バンパー下部とサイドシルをブラックアウトしたアウトバック専用カラーリングが、車高を高く見せる視覚効果を生み出している。
バンパー下部とサイドシルをブラックアウトしたアウトバック専用カラーリングが、車高を高く見せる視覚効果を生み出している。 拡大
3.6Rの心臓部。レギュラーガソリンに対応する。
3.6Rの心臓部。レギュラーガソリンに対応する。 拡大

【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ)……★★★★
真っ先に目に入るのが立派なセンターパネル。手前への張り出しが大きく、ドライバー側を向かないデザインが、ゆったりしたコクピットを演出し、SUVのような雰囲気を漂わせる。エクステリアだけでなく、インテリアについても、このアウトバックを中心にデザインされたことが容易に想像できる。センターパネルやダッシュボードの質感はまずまず。シンプルで見やすいデザインのメーターにも好感が持てる。

(前席)……★★★★
上質なクロス地のシートは、最近のスバル車同様、包み込むようにじわっと身体を支えるのが特徴で、これがなかなか心地いい。新型になって、座面が少し高くなったうえ、アウトバックということで地上高も上がっているから、運転席は開放的で、眺めも良好だ。

電動パーキングブレーキの採用により、センターコンソールまわりがすっきりし、ゆとりあるキャビンを印象づけている。邪魔モノがいなくなったセンターコンソールには、横に並ぶドリンクホルダーや大型のコンソールボックスが配置されて、使い勝手が向上している。

その一方で、ステアリングコラム右側に配置されるパーキングブレーキのスイッチは、他社のようにセンターコンソールに配置される場合に比べて、使いにくく感じた。大きなセレクターレバーも、私の手には大きすぎて握りやすいとはいえなかった。

(後席)……★★★★★
全長の増加分以上にホイールベースが延ばされたおかげで、後席の余裕はたっぷり。レッグルームは足が組めるほどの広さが確保され、爪先が前席下にすんなり入るため、着座姿勢も自然。ヘッドクリアランスも、身長168cmの私の場合で15cmほどあるから、よほど大柄な人でないかぎりは快適に過ごせるはずだ。シートの座り心地は、前席に比べると少しソフトだが、サポートは悪くない。シートのリクライニング機能も便利だ。

(トランク)……★★★★
旧型よりも奥行きが若干短くなったとはいえ、幅や高さが増したおかげで以前より広く見えるラゲッジスペース。実際、数字の上でも61リッター増の520リッターが確保されている。分割可倒式の後席は、荷室のレバー操作で倒せるのが便利。標準のトノカバーは簡単に取り外しができて、使わないときには床下に収納可能。トノカバーの前端が後席のリクライニングに対応するのもいいが、あまり見映えが良くないのが玉にキズだ。

 
スバル・レガシィアウトバック3.6R(4WD/5AT)【ブリーフテスト】の画像 拡大
 
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写真をクリックすると、シートアレンジのさまが見られます。
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【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
旧型から一気に2割も排気量がアップし、3.6リッターになった新型の水平対向6気筒エンジンは、大排気量自然吸気エンジンらしく、低回転から豊かなトルクを絞り出すのが特徴。3とおりのスロットルレスポンスが選べる「SI-DRIVE」を、最も穏やかなインテリジェントにセットしても、余裕あるトルクと自然なレスポンスが楽しめる。

アクセルペダルを強く踏み込めば、4000rpmを超えたあたりから、以前に比べればずっと控えめになったボクサーサウンドをキャビンに洩らしながら、スムーズに回転を上げ、大柄なボディを気持ちよく加速させていく。

このパフォーマンスを考えると、燃費は納得のいくもので、レギュラーガソリン仕様というのもオーナーにはうれしいところだ。アイドリングから高速巡航まで、エンジンのノイズや振動が抑えられているのも、新型の見どころである。

(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
ツーリングワゴンに比べて50mm高い最低地上高を持つアウトバックだけに、その挙動にはSUV的な部分が垣間見られるものの、それでもSUVかステーションワゴンかと問われれば、ステーションワゴンに近いというのがアウトバックの性格だ。だから、路面や走行状況によっては、緩やかなピッチングが見られたり、225/60R17サイズのオールシーズンタイヤが細かいショックを伝えてくることはあるが、決して不快ではなく、むしろゆったりと乗るにはこのくらいがちょうどいいのかもしれない。

ステアリング中立付近のレスポンスが多少あいまいに思えるものの、高速走行時の直進安定性は高く、長距離の移動も快適だった。

(写真=菊池貴之)

【テストデータ】

報告者:生方聡
テスト日:2009年7月29日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2009年式
テスト車の走行距離:7008km
タイヤ:(前後)225/60R17(いずれも、ヨコハマ GEOLANDAR)
オプション装備:クリアビューパック+濃色ガラス+オールウェザーパック+LEGACYプレミアムサウンドシステム&HDDナビ/サンルーフ=42万5250円/サテンホワイトパール=3万1500円
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(8)
テスト距離:194.6km
使用燃料:28.0リッター
参考燃費:6.95km/リッター

生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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