ボルボV50 2.0e パワーシフト(FF/6AT)【ブリーフテスト】
ボルボV50 2.0e パワーシフト(FF/6AT) 2009.04.01 試乗記 ……307.0万円総合評価……★★★★
これまでボルボワゴンに食指を動かされながらも、345万円からという価格をネックと感じていたユーザーにとって、本命といえそうなモデルが登場した。
300万円を切った
北欧のプレミアムブランドがグンと身近になってきた。手頃なサイズのエステートモデルとして人気を集めるV50に、2リッター直列4気筒エンジンとデュアルクラッチギアボックスの6段「パワーシフト」を搭載し、300万円をギリギリ切る値段のエントリーグレードが追加されたからだ。
エントリーグレードといってもそこはボルボ、安全装備に手抜きはない。肝心の走りっぷりも不満を感じるどころか、これで十分と思わせる性能。上級グレードに比べると装備などに見劣りする部分は確かにあるが、ボルボのある生活を手軽に始めたいという人には、魅力的な選択肢といえるのではないか。このV50 2.0eパワーシフトがボルボ・ファンの裾野を広げるのは確実だろう。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
現行モデルの国内発表は、2004年5月。セダンの「S40」とともに、ボルボのエントリーシリーズに位置づけられる。2007年6月にはクーペ版「C30」も加わり、ボディバリエーションが3種類に増えた。2009年3月の仕様変更ではラインナップを刷新。ボルボのワゴンとしてはじめて300万円を切る、2リッターエンジン+6段ギアトロニック付きパワーシフトトランスミッション搭載車が追加された。あわせて2.4リッターエンジン搭載の「2.4i SE」には、価格据え置きのまま約25万円相当の装備を標準採用するなど、実質的な値下げに踏み切った。
(グレード概要)
「2.0e パワーシフト」は、現行モデルで初めて4気筒エンジンを搭載したモデルで、トランスミッションもボルボ初採用のデュアルクラッチ式を採用する。その結果、従来の2.4リッター5気筒モデルと比べると、燃費が約22%アップした。
装備は、パワーシートやシートヒーター、ラゲッジカバー、ルーフレールが省かれるほか、シートがテキスタイル地になるなど一部装備の簡素化によって、上級グレードとの差別化が図られている。ただし、安全装備については、上級グレードと遜色ない内容を持つ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
V50のインテリアといえば、浮き上がったセンタークラスターが特徴的で、上級グレードならウッドやアルミのパネルがおごられるところだが、この2.0eパワーシフトでは“ボーキサイトグレー”と呼ばれる少し地味なパネルが施されている。ドアやセンターコンソールのパネルにも同じ素材が用いられていて、華やかさには欠けるものの、インテリア全体の雰囲気はシックにまとまっているし、ダッシュボードなどの質感もなかなかの出来映え。これはこれで悪くない。
(前席)……★★★
本来、V50 2.0eパワーシフトにはポジション調節が手動のファブリックシートが装着されるはずだが、試乗車は先行生産車両であるため、カタログとは異なる仕様だった。手動調整はそのままだが、シート地が「2.0e アクティブ」用のタイプだったのだ。というわけで、あくまで参考にしかならないが、"T-Tec"と呼ばれる光沢のある素材とクロスとの組み合わせは見映えが良く、一見硬そうだが、実際に座ってみるとセンター部分は低反発クッションのようなフィット感とサポートを兼ね備えていて座り心地は良好だった。ただ、座面はセンターのクロス部分が狭いせいか、腿(もも)のあたりが窮屈に思えることも。ポジション調節は手動ながら、リフトと座面の傾きを別々に調節できるのがいい。
ステアリングホイールはウレタンが標準で、本革巻仕様はアクセサリーとして用意される。価格は5万9115円(取付費用が別途必要となる)。300万円を切るにはやむを得なかったのだろうが、シフトレバー(同2万2円)とともにオーダーすると、それなりの金額になるのが痛い。
(後席)……★★★
前席同様、「2.0e アクティブ」用のシート地が施されている試乗車の後席は、シートバックがやや硬めである一方、シートクッションはソフトな印象で、サポート性はまずまずといったところ。スペースに関しては、頭上、膝まわりとも余裕は十分。しかし、足をあまり前に出せないので、スペースのわりには窮屈な感じがした。
(荷室)……★★
バンパーとフロアに段差がないV50のラゲッジルームは、荷物の積み降ろしはラクにできそうだが、このサイズのステーションワゴンとしてはスペースが不足気味だ。奥行き、幅とも狭いうえ、フロアからシートバック上部までの高さが低い。このグレードではラゲッジカバーが備わらないのも不満のひとつ。荷室を広げるときは、シートクッションを起こしたのちにシートバックを倒すことになるが、その際にヘッドレストを外す必要があるのも、ボルボのエステートらしからぬ点だ。
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【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
注目の2リッター直列4気筒エンジンとパワーシフトの組み合わせは、車両重量1430kgのV50を走らせるのに十分な性能を有するだけでなく、トルコンタイプのオートマチックから乗り換えてもほとんど違和感のないのがうれしい点だ。発進時はデュアルクラッチギアボックスとしては強めのクリープがあり、もたつくことなくスタート。シフトアップもスムーズである。シフトダウンはとりたてて素早くはないが、実用上は困らない。エンジンは1500rpmほどの低回転でもネをあげない柔軟性を備え、2000rpm後半ともなると力強さを見せ始める。そして、3500rpm以上を保ってやれば、高速の追い越し加速や山道の登りといった場面でも不満のない加速を示した。燃費は、このクラスとしては驚くほどの数字ではないが、2.4リッターを積む上級グレードに比べれば確実に有利だから、あえてこのベーシックグレードを選ぶというのも"あり"だと思う。
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(乗り心地+ハンドリング)……★★★
やや硬めに仕立てられた足まわりは、スピード域を問わずフラットな動きをもたらす。205/55R16と控えめなサイズのタイヤを履くおかげで乗り心地もおおむね快適だ。ただ、前席に比べると後席は上下の動きや、ロードノイズや排気音の"こもり"が気になることがあった。
高速走行時の安定感は十分。ワインディングロードでも落ち着きを見せるが、コーナリングの際、ステアリングを操作してからワンテンポ遅れてロールが始まるような動きには馴染めなかった。
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2009年3月24日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2009年型
テスト車の走行距離:3103km
タイヤ:(前)205/55R16(後)同じ(いずれも、ミシュラン・パイロットプライマシーHP)
オプション装備:オプションカラー=8.0万円
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(6):山岳路(2)
テスト距離:300km
使用燃料:34.0リッター
参考燃費:8.82km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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