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【スペック】全長×全幅×全高=4895×1880×1720mm/ホイールベース=2890mm/車重=1830kg/駆動方式=FF/2.7リッターV6DOHC24バルブ(185ps/5500rpm、26.1kgm/4000rpm)/価格=362万2500円(テスト車=同じ)

ダッジJC SXT(FF/6AT)【試乗速報】

オイシイとこ取り!? 2009.02.06 試乗記 生方 聡 ダッジJC SXT(FF/6AT)
……362万2500円
ダッジブランドの、新しい7人乗り3列シート車「ダッジJC」が日本に上陸。SUV×ミニバン×セダンのクロスオーバーモデルに試乗した。
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SUV×ミニバン×セダン=JC?

「ダッジJC」と聞いて、すぐにピンとくる人はまだまだ少ない。というのもこのクルマ、「ダッジ・ジャーニー」として2007年のフランクフルトショーでデビューしたブランニューモデルであるうえ、日本では商標の関係でコードネームの「JC」を名乗るのだから。馴染みが薄いのも無理はない。

では、いったいどんなクルマなのか?ダッジJCを導入したクライスラー日本によると、SUVとミニバン、そして、セダンの特徴を持つ“トリプルクロスオーバー”なのだそうだ。SUVのスタイリングと実用性、ミニバンの多様性と実用性、セダンの乗り心地、ハンドリング、バランスを“いいとこ取り”する、なんとも欲張りなコンセプトの持ち主というわけだ。

JCは、同じダッジのミッドサイズサルーン「アベンジャー」のプラットフォームを利用してつくりあげた7シーター・クロスオーバー。全長4895×全幅1880×全高1720mm、ホイールベース2890mmのボディは、アベンジャーを上回るものの「クライスラー・グランドボイジャー」に比べるとはるかに扱いやすいサイズである。

そのノーズには、2.7リッターV6DOHCエンジン(185ps/5500rpm、26.1kgm/4000rpm)を搭載。これもアベンジャーと共用だが、アベンジャーでは4段オートマチックが組み合わされるのに対し、JCではよりスムーズな変速を可能にする6段になるのがうれしいところ。駆動方式は前輪駆動である。

そんなJCは、果たして能書きどおりのクルマなのか? さっそく試乗してチェックすることにしよう。


ダッジJC SXT(FF/6AT)【試乗速報】の画像 拡大

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2列目シートフロア下の収納ボックス。350ミリ缶が1ダース収納でき、取り外しも可能だ。
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外はSUV、中はミニバン

生で見るJCは、都会的なデザインのSUVという印象だ。クロスヘアグリルを持つフロントマスクに「ナイトロ」や「チャージャー」のワルっぽさはなく、むしろさわやかさを感じるほど。すっきりとまとめられたボディとのバランスもよく、誰からも好かれるデザインだろう。実際はファミリーカーなのに、ミニバンほど所帯じみていないのもいい。

ところがその中身は、れっきとしたミニバンだった。キャビンにはツートーンのファブリックシートが3列収まり、ミニバンらしくさまざまなシートアレンジが可能だ。たとえば、セカンドシートは左右独立のスライドやリクラインはもちろん、中央部だけを倒せばアームレストの代わりにもなる。足もとや頭上のスペースは十分。ヒップポイントが1列目より高いので、見晴らしも良好だ。

一方、サードシートは、比較的乗り降りが容易で、ヘッドルームも十分ながら、前席下のスペースが狭いため足の置き場に困るほど。大人にはやや窮屈に感じられる。だから、ひんぱんに大人6、7人を乗せるユーザーには向かないが、そうでない(たぶん大多数の)ユーザーにとっては、広く便利な荷室として重宝するに違いない。

豊富な収納スペースも魅力的で、セカンドシートの足もとには取り外して丸洗い可能な収納ボックスが隠されているし、助手席のクッションを跳ね上げれば手荷物や買い物袋を安心して収めることもできる。もちろん、サード、セカンド、さらには助手席のシートバックを倒して、たくさんの荷物を積み込むという手もある。ミッドサイズミニバンとしての機能は十分に備えている。

2列目シートには、シートバックにあるレバーでシートクッションが跳ね上がり、シートを前方にスライドさせることで、3列目シートへの乗降がスムーズにおこなえる“Tilt'n Slide”機能が備わる。
写真をクリックすると、“Tilt'n Slide”が見られます。
2列目シートには、シートバックにあるレバーでシートクッションが跳ね上がり、シートを前方にスライドさせることで、3列目シートへの乗降がスムーズにおこなえる“Tilt'n Slide”機能が備わる。写真をクリックすると、“Tilt'n Slide”が見られます。 拡大

ダッジJC SXT(FF/6AT)【試乗速報】の画像 拡大
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ダッジJC SXT(FF/6AT)【試乗速報】

セダンのような心地よさ

運転した印象も悪くない。優しい座り心地のファブリックシートに収まり、美しい自光式メーターに灯りをともしたのちにエンジンスタート。車両重量が1830kgとそう軽くはないので、スッと発進する感じこそないが、走り出してしまえば、低回転時のトルクは必要十分というレベルで、もどかしさを覚えるほどではない。そして、3000rpm後半に至れば、トルクの盛り上がりが感じられるようになる。

2列目、3列目シートを畳んでフラットにすると、1451リッターの荷室空間が現れる。
写真をクリックするとシートアレンジが見られます。
ダッジJC SXT(FF/6AT)【試乗速報】

内製の6段オートマチックは実にスムーズ。面白いのは4速のギア比で、通常は1.452なのに、キックダウンのときはやや3速寄りの1.570になる。おかげで、高速走行中に追い越しをかけようというときに、すぐに吹けきる3速と、もう少し力強い加速がほしい4速のギャップを埋めてくれる。100km/hの回転数は、3速が5500rpmで4速が3700rpm。これに対してキックダウン時の4速は4100rpmで、数字の上ではわずかながら、体感上はひとまわり力強い加速が味わえるのだ。

乗り心地は比較的ソフトだが、SUVやミニバンとしては挙動は落ち着いている。高速では、直進安定性に優れ、十分フラットさが感じられる。また、コーナーでもロールは控えめと、SUVやミニバンよりもむしろセダンに近い感覚だ。長距離ドライブの運転手役を買って出ても退屈とは無縁だし、疲労も少なそうだ。


ダッジJC SXT(FF/6AT)【試乗速報】

というわけで、セダンやステーションワゴンよりも便利で楽しいファミリーカーを探している人には、なかなかお勧めのダッジJC。内容を考えると、362万2500円という価格も魅力的。クライスラーおよびダッジのラインアップのなかで、このJCが一番の人気モデルになるのではないかと、私は勝手に予想しているのだが?

(文=生方聡/写真=峰昌宏)

生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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