第77回:クルマ好きを夢中にさせる、ペブルビーチでの一週間
2008.09.20 エディターから一言第77回:クルマ好きを夢中にさせる、ペブルビーチでの一週間
日本からも名誉審査員が
クラシックカー好きなら誰もが憧れるイベント「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」が、今年2008年も例年どおり8月第3週の日曜日、17日に開催された。アメリカはカリフォルニア州モントレーにある、あの全米オープンも行なわれる名門ゴルフコースを舞台に、世界中から集まった貴重なクルマ達が、美しさを競い合うこのイベントを、初めて体験してきたので報告したい。
第1回の開催は1950年という、このコンクール・デレガンスで競われるのは、前述の通り美しさである。しかしながら難しいのは、単に美しいというだけではいけないということ。いかにオリジナルに可能な限り近い状態であるかが、そこでは問われることになる。ようするに最新技術を駆使してピカピカに仕上げたり、あるいは今の素材に置き換えたりというのは御法度。新車として世に出た時に限りなく近い状態こそが理想なのである。
実際、参加した175台ものクルマ達は、どれも眩いばかりの美しさ。それらは全24のカテゴリーに分けられ、その美しさやオリジナル度などが徹底的に審査される。名誉審査員としては、BMWチーフデザイナーのクリス・バングル氏、日産自動車の中村史郎氏、さらには今年から加わった、ゲームソフト「グランツーリスモ」シリーズでお馴染み、ポリフォニーデジタルの山内一典氏などの錚々たる面々が顔を揃える。しかし歴史的なクルマ達の厳正な審査にあたるのは、歴史的なクルマ達の現役時代にまで豊富な知識を誇る、まさに自動車界の生き字引というべきメンバーで、ボンネットの中や下まわりを覗くのなどは当たり前。ウインカーのクリック音まで判断して、オリジナル度を検定しているのには驚かされた。
クラシックカー好きじゃなくても
また、毎年設定されるテーマ車として、今回はランチア、ランボルギーニなどが大々的にフィーチャーされていたが、その中でも特に注目を集めていたのは、GMの「モトラマ・コンセプト」だ。これは1940年代から1960年代にかけて開催されたGMだけのモーターショーといえるもので、そこでは自動車の未来を探る斬新なドリームカーが多数発表された。今回、何とその一部が再現され、一連のFirebirdシリーズなどが大々的に展示されたのである。
そして最高の栄誉である“ベスト・オブ・ショー”には、1938年モデルの「アルファ・ロメオ8C 2900B」が選ばれた。ロードユースに供されたのは、わずか33台という貴重なモデルだ。
しかしペブルビーチの見所はそれだけではない。その週には、モントレーでは他にも実に様々なイベントが開催されている。ラグナセカ・レースウェイで行なわれるお馴染み「モントレー・ヒストリック・オートレース」や、スポーツモデルとレーシングカーを中心にフィーチャーした「クウェイル・モータースポーツ・ギャザリング」、さらにはボーナムス&バターフィールド、グッディング&カンパニーなどのオークションと、まさに例を挙げればキリがないほど。とてもじゃないが、1度の訪問で全部回るのは不可能である。
冒頭に「クラシックカー好きならば」と書いたが、前言撤回。ペブルビーチ・コンクール・デレガンスは、その周辺で行なわれる数々のイベントを含めて、クルマ好きなら誰でも絶対に楽しめること請け合いである。興味をもたれた方は、来年は是非訪れてみてはいかがだろうか? もちろん僕は行くつもりだ。
(文=島下泰久/写真=ジャガー&ランドローバージャパン)

島下 泰久
モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。
-
第875回:キモは氷上性能! ダンロップの新しいスタッドレスタイヤ「ウインターマックス アイスプロ」を試す 2026.7.1 違いは氷の上で表れる! ダンロップの新しいスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX ICE-Pro(ウインターマックス アイスプロ)」に、冬の北海道で試乗。氷上性能を徹底的に追求したという新製品の、パフォーマンスの一端に触れた。
-
第874回:自動運転からワイパーまで! 自動車を支えるメガサプライヤー ボッシュのあくなき挑戦 2026.6.27 世界屈指のメガサプライヤー、ボッシュが開発中の新技術を披露! 市街地での高度な運転支援技術に、日本の方言にも対応した対話型AI、サーキット走行のノウハウを教えてくれるコーチング機能等々……興味深いその中身をリポートする。
-
第873回:ウエット路面に強み ミシュランの新タイヤ「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」を試す 2026.6.19 2026年1月29日に導入が発表されたミシュランの新製品「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」。これまでの特徴に加え、低燃費性能や耐摩耗性、ウエットグリップ性能のアップをうたう両モデルの走りを、クローズドコースで確かめた。
-
第872回:「フォレスター」がJNCAPで最高評価を獲得! “安全”に対するスバルの不断の取り組みに迫る 2026.6.6 相対速度100km/hの衝突後でも、普通にドアが開く!? 人気のSUV「スバル・フォレスター」が、日本の自動車アセスメントで最高評価を獲得した。安全なクルマづくりを第一とするスバルの取り組みを、群馬製作所で行われた衝突試験デモの様子とともにリポートする。
-
第871回:今年もグリーンヘルは熱かった! ニュルブルクリンク24時間レース観戦記 2026.5.27 “世界一過酷な草レース”として知られ、今年も波乱が巻き起こったニュルブルクリンク24時間レース。F1王者のフェルスタッペンも参戦するとあって、大いに盛り上がったその様子を、世界を飛び回るモータースポーツカメラマンが臨場感満点でリポートする。
-
NEW
第340回:一にエンジン、二にカッコ
2026.7.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。マツダ渾身(こんしん)のラージ商品群を応援するカーマニアのひとりとして、「CX-60」と「CX-80」の動向は常に気になっている。3列シートSUV、CX-80の最新モデルにあらためて試乗して感じたこととは? -
NEW
日産は“再挑戦”でホンダは“終了” 新型「エルグランド」発売に見る、プレミアムミニバンの今
2026.7.20デイリーコラムトヨタが圧倒的なシェアを占める上級ミニバンの世界において、新型「エルグランド」で復権をねらう日産。しかし、なぜフルモデルチェンジは16年ぶりになったのか? ホンダはどうするのか? この市場の今を考察する。 -
NEW
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.7.20試乗記3000台の限定で販売される新型「インサイト」は、クロスオーバー風のフォルムと、これまでのホンダ車にはなかった内外装のデザインテイストが新鮮だ。中国で生産され、日本独自の名前が与えられた新型電気自動車の走りと仕上がりを、ロングドライブで確かめた。 -
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。