アルファ・ロメオ・アルファ・スパイダー2.2JTSセレスピード ディスティンクティブ(FF/6AT)【ブリーフテスト】
アルファ・ロメオ・アルファ・スパイダー2.2JTSセレスピード ディスティンクティブ(FF/6AT) 2008.04.09 試乗記 ……521.0万円総合評価……★★★★
アルファ・ロメオの2シーターオープン「アルファ・スパイダー」。2.2リッターモデルの2ペダル式6段MTセレスピードに試乗。その乗り心地とは。
カッコ良さ命
「アルファ・スパイダー」――言ってしまえば“カッコ付けモデルの最右翼”のようなクルマ。「無理が通れば道理が引っ込む」は言い過ぎかもしれないが、おそらくはその位の心意気をもってデザイン開発されたのが歴代のアルファ・スパイダーだ。
朝一番でドアを開いた瞬間、夜露をシカと溜めた撥水性のソフトトップから大量の水がシート上へとながれ落ちるのを目のあたりにしながら、まずはそんなことを考えた。やはり、2006年にモデルチェンジして2代目になっても、アルファ・スパイダーの「まずはカッコ良さこそ命」という姿勢には何の淀みもないのだ。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1996年に日本に上陸した「アルファ・スパイダー」が、長いライフスパンにピリオドを打ち、2006年一新されたのが現行モデル。
当初のラインナップは、2.2リッターJTSエンジン+6MT仕様の「プログレッション」と、上級装備を謳った「ディスティンクティブ」、そして3.2リッター直噴JTSのV6ユニット+6段MTに4WD「Q4」を組み合わせた「3.2 JTS Q4ディスティンクティブ」の計3車種。
その後、3.2リッターに「Q-トロニック」ことトルコン式6AT仕様が、2.2リッターの各グレードにセレスピード仕様がラインナップされた。2007年12月にエントリーグレードの「2.2JTS セレスピード」が追加され、計7車種となった。
(グレード概要)
テスト車は、2.2リッターの最上級となる「ディスティンクティブ」に2ペダル式6段MTの「セレスピード」が組み合わされるモデル。
プログレッションに較べ、オートライト、ヘッドライトウォッシャー、運転席メモリー機能付きパワーシート、調節式シートヒーター、クルーズコントロールなどが標準装備される。
また、ディスティンクティブには、ポルトローナフラウ社製レザーシートとホールスタイリング56Jアロイホイール+235/45R18タイヤがオプションで選べる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
アルファ・スパイダーのディテール・デザインは「丸型3連」がキーワード。フロントのライトも丸型3連デザインならリアのランプもまた同様。そしてそれは、インテリアでも反復される。何ともドライバー・オリエンテッドな造形のセンターパネル内にこれ見よがしにレイアウトされた、空調ベントと補助メーターが見事に丸型3連なのだ。正直言って、そんな補助メーターの視認性などたかが知れたものだが、しかしここまで徹底されるともはや気持ち良さが先に立つ。イタリア車、と聞くとどこか樹脂部分の質感が低そうに思えるが、このクルマの場合はそんなこともない。
(前席)……★★★★
日本のアルファ・スパイダーのシートは、ブラック/グレーの2トーンカラーによるチベットレザー製が標準仕様。その他にポルトローナフラウ社製のレザーがオプションで選べる。カラーバリエーションも豊富。特に、ブルー/タバコ色のコンビネーションなどは間違っても日本車が真似のできないだろう粋なもの。7色が用意されるエクステリアと共に、こうして「自分だけの1台」を創れるのも大きな魅力。テスト車は、オプションのポルトローナフラウ社製のレザーシートが装備されていた。
シートサイズはゆったりとしていてかけ心地は上々。ステアリングコラムにはチルトと共にテレスコピック機構が付き、右ハンドルでもドライビングポジションに文句ナシ。
(荷室)……★★
容量は235リッター。「ふたり分の荷物を収納できる」とカタログにはそうあるが、それでも1週間単位の旅行は苦しそう。リッドの開口位置が高いのは、ボディ剛性云々というよりは「妙な位置に開口見切り線を付けたくなかったから」というのが本音か? 左右シートの後部にキー付きの小物入れが用意されるものの、容量、位置ともに使いやすいとは言えない。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
1.6トンを超える重量に2.2リッターの4気筒エンジン……と、そんなスペックからは、特に活発な動力性能などは期待できないもの。が、実際に走り出してみればそんな「ちょっと控え目」なパワーフィールがむしろなかなか好ましい。2ペダル式のMT“セレスピード”が行うシフトワークは最新のDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)のスムーズさに及ぶべくもないが、逆にそうしたパワーフローの断続による加速Gのメリハリが、いかにもスポーティなテイストに繋がっている。ステップ比の小さな6段仕様であることも好印象の一助に。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
ハッキリ言ってボディの剛性感は、オープン・モデルとして多くのライバルに勝っているとは言えない。しかも、ルーフのオープンとクローズでその印象がかなり明確に変化する。そんな現象も、やはり「ボディの弱さ感」を目立たせるひとつの要因になっている。
けれども、そんなユルサがまったくウイークポイントとは思えないのは、やはりアルファならではの“役得”か。むしろ全般的な走りのしっかり感は事前の期待度を超えていて、それが「コレってなかなかイイじゃん!」という好意的なイメージにつながるのだ。ちなみに、オープン時の爽快感が高いのはフロントのウインドフレームが前寄りで、直上の視界が開けているから。小さな透明樹脂パネルによるウインド・ディフレクターは効果大。後方からの不快な風の巻き込みを最小限に抑える。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:河村康彦
テスト日:2008年2月14日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2008年式
テスト車の走行距離:4240km
タイヤ:(前)235/45R18(後)同じ
オプション装備:パッラペッレフラウ(ポルトローナフラウ社製レザーシート+ホールスタイリング56Jアロイホイール+235/45R18タイヤ/16.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(8)
テスト距離:132.4km
使用燃料:17.1リッター
参考燃費:7.74km/リッター

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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