第350回:雪の「レクサスIS F」試乗会
コイツはつくづく“トヨタ車革命”だ!
2008.02.01
小沢コージの勢いまかせ!
第350回:雪の「レクサスIS F」試乗会 コイツはつくづく“トヨタ車革命”だ!
GT-Rとはある意味、対極的
再び乗ってきましたよ「レクサスIS F」、それもわざわざ都内で雪が降った日に!
IS Fは、ミディアムセダンのISに423psの超ハイパワー5リッターV8をぶち込んだバケモンで、昨年末に富士スピードウェイでサーキット試乗会が行われたばかりなんだけど、今回車両にナンバーが付いて改めて公道試乗会を開催。2回目なんで刺激がないと思ったら……これがまたスゴいじゃないの!
改めて驚きましたねその実力。それはね。なんといっても普段の快適さ&上品さよ。まさしくスーパースポーツも真っ青な400ps級エンジン搭載車でありながら、ホントに乗り心地が良くって、建て付けから内装から音から、もうなにからなにまでコントロールされてて、非常に上品。破綻がない。
逆にいうと、同じモンスタークラスながら、予想以上に荒々しくてレーシングカーっぽかった「日産GT-R」とは対極的。期せずして、トヨタと日産の戦略の違いが浮き彫りになった感じですな。
具体的には開けたドアの手応えからしていわゆる一般高級乗用車、というかまさしくレクサスクオリティ! ドア自体が重めなだけでなく、閉じた途端、バシッっと吸い込まれるような開閉音。大人だなぁ……。
インテリアのセンターコンソールにはカーボンパネルならぬ、貝殻みたいな輝きを持つホワイトパネルが張ってあって、これまたレクサスショールームのイメージ。水割りでも出てきそうですよ。で、エンジンをかけた途端、たらららん♪と例のイメージミュージックが! 400馬力カーでもこれをやってくるとは。
それと前後してメーター中央にもうやうやしく“F”のマークが浮き出てくる。
至福の音の世界に酔う
いざ走り出す。ジマンの8段ATは洗練されまくっててシフトショックは皆無だし、ステアリングも低速では高級車っぽいフリクションがあり、ある種の過敏なトゲは完全に取り去られていて上品至極。
でもね。これがひとたび、本気になるとスゴいんだよねぇ〜。今回の試乗コースは公道とはいえ、芝浦から始まって首都高湾岸線、アクアラインと回り、千葉県の外房を走ってくる快速ルート。
俺はちょっとコースをはしょっちゃったんだけど、それでもかなりタップリ飛ばせる。
特にひとたび高速道路で前が空いた時がスゴいんだな。普段のDレンジのままでもスロットルをガバッと開けるとすぐに牙をむく! エンジン音は3000rpm付近から劇的に変化し、まさにレーシングカーも真っ青な超加速世界を見せてくれるのだ。
ステアリングもこの領域で例のフリクションの利いた手応えが活きてくる。細かい路面の反力を抑えつつ、入力も見事にコントロールし、狙ったラインをピタっとトレース。こりゃキモチええがな。GT-Rとは違った意味で。
さらにボタン一押しでスポーツモードにすると全体で鋭さが増す。ステアリングの手応え、ギアシフトの早さ、スロットルレスポンスの3つがリアルに変わっちゃって、ドライバーをその気にさせる。
それからなんといっても例のATだよね。セレクターレバーをMポジションにすると、2速以上はほぼすべての回転域でロックアップされるようになるから、細かいアクセルワークにボディがピタッとついてくるようになり、まさに5リッターV8の美味しさをすべて味わえるようになるのだ。
俺なんかマジ、高速じゃ3速か4速ホールドにして、3000から5000rpm、そこからさらに6000rpmっちゅう、IS Fジマンの至福の音の世界を何度も往復しちゃったよ。いやー、マジでキモチいいわー。
見事、オモテとウラを使い分けてる
最後に帰り道で気付いたんだけど、下の道でもこの激レスポンスモードにするとやっぱり楽しい。普通のモードでも悪くはないんだけど、比べるとちょっとオブラートに包まれすぎてる感がある。
もちろん、クルマにそれほど興味のない人はそのほうがいいんだろうけど、ぶっ飛ばすのが好きな人だったら、街中でもこのモード、オススメです。50km/h程度でも音のよさ、ピックアップのよさを結構楽しめる。
この日は雪が降ってたから、交差点でもすぐドリフトしそうになっちゃって、ヘタにやっちゃイケないんだけどね。ま、オートマでありながら、マニュアルの味も楽しめるこのモードを知らなきゃソンですよと。
ってなわけで普段はおとなしく、その気になれば超コントロールされた走りができる“ジキルとハイド”のようなIS F。ホント、オールデイ&オールナイト全面ファインティングポーズのようなGT-Rとは違って、東大卒のボクサーというか、ボルダリングが好きな博士っちゅうか、見事、オモテとウラを上手に使い分けてる気がしました。さすがは世界のトヨタ!
一説によれば某ヨーロッパメーカーがチューニングしたっていう話もなくはないけど、ホント、これはある種の“トヨタ車革命”だよね。トゲをギリギリまで取りつつ、味もタップリの贅沢なお肉料理という。
しかも見事に、400馬力級パワーを一般道でも楽しめるように仕立て上げている。あーぁ、ホント、いろいろ選べるお金持ちのクルマ好きがうらやましいですよ。ハイ!
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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