ルノー・ラグナ2.0 dCi 150(FF/6AT)【海外試乗記】
コージーな部屋 2007.12.28 試乗記 ルノー・ラグナ2.0 dCi 150(FF/6AT)ルノーのミドル級モデル「ラグナ」が3代目にバトンタッチ。日本未導入の新型を、さっそくフランス本国で試した。
家庭的プレミアム
1994年1月のデビュー以来、230万台をセールスしたルノーの代表的ミドルクラス「ラグナ」の3世代目が2007年10月中旬にフランスで発売された。
このクラスでは、「BMW3シリーズ」「メルセデス・ベンツCクラス」「アウディA4」などのドイツ製プレミアムセダン、さらに母国の「プジョー407」や「シトロエンC5」がライバルとなる。
サイズアップし中身が豪華になるなど、ますますプレミアム化される激戦セグメントに、6年ぶりに投入されたニューラグナ。その実力は、いかがなものだろうか?
ニューラグナには、5ドアハッチバックとワゴンがある。今回試乗したのは、5ドアのハッチバックモデル「2.0 dCi 6AT」(150ps)。一目でルノーとわかるエクテリアデザインはより洗練された感じがする。ダイナミックでエレガントなフォルム、フロントからリアにかけて流れるようなエアロライン。
一方、パワートレインは、2リッター直4ディーゼル+6AT。結論を先に述べれば、まさに非の打ちどころのないドライビングフィールを味合わせてくれた。
走りのテイストは、あくまでもゆったりした乗り心地。フランス車らしく出来のよいシートは、ロングドライブをものともしない。
エンジンは、トルキーでスムーズ、かつ経済的。「いかにプレミアム化されてもフランスでのターゲットはファミリーユース」。そんな使い勝手のよさを改めて感じさせてくれたのだった。
主役はディーゼル
ニューラグナのデザインコンセプトでもある「ダイナミック&エレガント」を象徴するように、ボディサイズは全長×全幅×全高=4695×1811×1445mmと、先代「ラグナ2」に比べて115mm長く、21mm幅広く、10mm高くなった。フロントからリアにかけてのラインが強調されてスポーティさも醸し出しだされた。後方視界があまりよくないのが残念。
エンジンのラインナップには、過去の日本仕様にあった3リッターV6(207ps)がない。
世界的な原油高でフランスでのガソリン価格は、ハイオク1リッター1.4ユーロ(約240円)と異常な高値。ドライバーが財布のひもを堅くしている状況を考えれば、必要以上のエンジンは時代に合わなくなってきたといえるわけで、ガソリン仕様車は「2.0 16V」(140ps)とターボ仕様の「2.0 T」(170ps)の2タイプのみとなった。
経済的に、はるかに有利なディーゼル(1リッターあたり1.14ユーロ=約198円)は、「2.0 dCi」(130ps、150ps、175ps)が出力に応じて3タイプ。より経済的な「1.5 dCi」 (110ps)もラインナップする。
特に1.5 dciは、19.6km/リッターの驚くべき燃費を実現しており、このクラスでは最も経済的だ。
今回試乗したディーゼルモデル「2.0 dCi 150」の2リッターユニットには、「AJOトランスミッション」と呼ばれる新しい6段ATが組み合わされる。エンジンは、かなりスム―ズだ。最大トルクを2000rpmで発生するスペックから想定されるように、上まで回す必要はない。
6ATの恩恵で、先代モデルの5ATで感じたもたつき感など、ほとんど感じられない。「シフトアップしたいとき」「エンジンブレーキをもっと必要だと感じたとき」、的確なシフトをすでに終えているプログラムのよさも驚きだった。
安楽すぎる!?
先代ラグナは、欧州の衝突安全試験「ユーロNCAP」で、最高ランクの5ツ星を世界で初めて獲得したクルマだ。
新世代のエアバッグ、フェード耐性に優れたブレーキなど、ニューラグナも高い安全性が継承されている。
なお、ニューラグナでは、2世代目となるマルチファンクションカードが採用された。ドア、フューエルリッド、リアトランクの開閉は全てボタン操作で行なわれる。
エンジンスタートは、ダッシュボードの挿入口にカードを差し込み、カードリーダーがカードを認証するとスタート準備OKとなる。
「マルチファンクションカード」を差し込み、スタ―トボタンを押してエンジンがかかった時の静寂感、走り出し直後のきめ細かなサスペンションの動き……ロードノイズはごく軽く、キャビンは“移動する部屋”となる。快適さが印象的だ。
控え目で質感の高いインストゥルメントパネル。今回のテスト車には、カーナビが装備されていた。操作は、日本のようなリモコンやタッチパネルではなく、センターコンソールのコントローラーで行なう。
分厚い取説を見ても理解するまで時間がかかるカーナビが多いなか、モードを選んでコントローラー一つで操作できるこのナビは秀逸。刻々と届くリアルタイムな交通情報を表示してくれる。
グローブボックスは、GPSとカーナビ用のモージュールが積まれ容量が半減しているが、iPodやUSBのMP3プレーヤーを接続できるから、ドライブミュージックの幅は広がる。
わたしが普段乗っている最新の「プジョー207 1.6 HDI」も快適だが、2つセグメントを上げたラグナの快適さは驚くほどだった。
ただ、快適過ぎるこのコンピューター任せのクルマには一抹の不安を覚える。アナログ世代の哀しい性なのかもしれないが。
(文と写真=沼口高幸)

沼口 高幸
-
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】 2026.7.18 ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
NEW
第340回:一にエンジン、二にカッコ
2026.7.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。マツダ渾身(こんしん)のラージ商品群を応援するカーマニアのひとりとして、「CX-60」と「CX-80」の動向は常に気になっている。3列シートSUV、CX-80の最新モデルにあらためて試乗して感じたこととは? -
NEW
日産は“再挑戦”でホンダは“終了” 新型「エルグランド」発売に見る、プレミアムミニバンの今
2026.7.20デイリーコラムトヨタが圧倒的なシェアを占める上級ミニバンの世界において、新型「エルグランド」で復権をねらう日産。しかし、なぜフルモデルチェンジは16年ぶりになったのか? ホンダはどうするのか? この市場の今を考察する。 -
NEW
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.7.20試乗記3000台の限定で販売される新型「インサイト」は、クロスオーバー風のフォルムと、これまでのホンダ車にはなかった内外装のデザインテイストが新鮮だ。中国で生産され、日本独自の名前が与えられた新型電気自動車の走りと仕上がりを、ロングドライブで確かめた。 -
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。

