クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック
【スペック】全長×全幅×全高=5605×1985×1580mm/ホイールベース=3320mm/車重=2680kg/駆動方式=FR/6.7リッターV12DOHC48バルブ(460ps/5350rpm、73.4kgm/3500rpm)/価格=5218万5000円(日本仕様)

ロールス・ロイス・ファントム・ドロップヘッド・クーペ(FR/6AT)【海外試乗記(前編)】

歴史と威厳(前編) 2007.08.21 試乗記 高平 高輝 ロールス・ロイス・ファントム・ドロップヘッド・クーペ(FR/6AT)

約2年ぶりの新モデルとなるロールス・ロイスのコンバーチブル「ファントム・ドロップヘッド・クーペ」。『CAR GRAPHIC』高平高輝がイタリアはトスカーナで試乗した。
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!

ひとつの頂点

見上げれば、そこにはトスカーナの抜けるような蒼い空だけ。このクルマの上には何もない。ちょうどリバイバル・ミッレミリアが行なわれる週末、トスカーナの丘を走る「ロールス・ロイス・ファントム・ドロップヘッド・クーペ」は、贅沢この上ない陽光と風に祝福されているようだった。そう感じたのは値段やサイズゆえではない。このドロップヘッド・クーペが一般的なクラスやジャンルをはるかに超えたクルマだったからである。

かつてはトスカーナ大公レオポルド2世の狩猟の館だったというホテルは、ティレニア海からの潮風がかすかに感じられる丘陵地にあった。葡萄とオリーブの畑に囲まれた丘の上に立つそのヴィラの佇まいは16世紀の頃とほとんど変わらないように見えたが、落ち着いた雰囲気の部屋の中には高速インターネットのプラグが隠されているし、最新のスパ施設もある。ちなみにアラン・デュカスが共同経営者だから、グルメ派も文句はないはずだ。

ちょっと前からトスカーナではこのように古い建物を改装した上等なホテルや別荘が目につく。その場合、外観はできる限り昔どおりに維持するのが定法で、ホテルの案内看板にしても注意していないと見過ごしてしまうほど控えめだ。

それもこれもすべては雰囲気を壊さないため。まったく新しいものを一気に建てたほうが簡単で安上がりかもしれないが、それは法で規制されていなくても愚かで尊敬されない行為である。都会のアパートメントでも、煤けた外壁が信じられないほどモダーンで快適な室内を持つものが珍しくない。クラシックとモダンの融合は宣伝文句などではなく、ヨーロッパではごく当たり前に日常生活に溶け込んでいるのだ。

遠い昔の貴族の生活を髣髴とさせながら、現代的な設備を持つ高級ホテルは、新生ロールス・ロイスにとっての3番目のニューモデル、ファントム・ドロップヘッド・クーペの国際試乗会の舞台として真に相応しく思えた。

ロールス・ロイス ファントム の中古車webCG中古車検索

テクノロジーの使い方

ベントレーが市販型には結局「アズール」という名を与えたのに対して、ロールス・ロイスはファントムをベースとした超弩級コンバーチブルに、古風で英国的な「ドロップヘッド・クーペ」という名称を冠することにした。もっとも、現代のロールス・ロイスはその名前とは裏腹に最新テクノロジーの塊だ。

何しろエンジンはバルブトロニックとダブルVANOS付き6.75リッターV12、ボディ構造はアルミニウムのスペースフレーム、さらには電子制御エアサスペンションにランフラットタイヤ、iDriveまで備えているのだ。にもかかわらず、傍から見ればファントムにそんな“ハイテク臭”は感じられない。むしろ細かい部分まで徹底的に隠そうとしている。

たとえば、ナビゲーション用モニターは丸いアナログ時計が嵌め込まれたウッドパネルの背面に隠されており、必要な時にはクルリと回って現われる。そのスイッチのあしらいにしても、無粋な開閉ボタンが美しいウッドパネルに付いているわけではなく、ベンチレーション・アウトレット用のクロームのレバーがもう1本付いており、それを引くとパネルが回ってモニターが現われるという具合だ。

自慢のiDriveダイヤルや、シートとミラーの調整、さらにはソフトトップの開閉スイッチもセンターアームレストの中に収納され、雰囲気を殺ぐコントロール類はすべて、徹底的に隠してしまおうという意図が見て取れる。もちろん記号や文字はなし、わかる人だけわかれば、という潔さは英国的謙虚さというよりBMW流と言えるかもしれない。

ちなみにベンチレーションのエアフラップもノブによって直接動かすのではなく開閉は電動である。細部の滑らかさのためにそこまで手をかけられるのは、コストを言い訳にしなくて済む、あるいはその弁解が通用しないロールス・ロイスならではだ。

ダッシュボード周りはファントムとほぼ同じだが、ドロップヘッド・クーペでは多少の雨に濡れても構わないように、フロアマットは毛足の長いカーペットではなくサイザル麻のマットに代えられ、レザートリムにも耐候処理を施してあるという。(後編へつづく)

(文=高平高輝/写真=Rolls-Royce Motor Cars/『CAR GRAPHIC』2007年8月号)

インストゥルメントはファントムとほとんど変わらないが、インテリアのトリムは少々の雨にも耐える処理が施されている。
インストゥルメントはファントムとほとんど変わらないが、インテリアのトリムは少々の雨にも耐える処理が施されている。 拡大
三角窓の脇には大きく開くコーチドアを閉めるためのクローズボタンがある。
三角窓の脇には大きく開くコーチドアを閉めるためのクローズボタンがある。 拡大
リアシートはソフトトップを閉めても余裕充分で完全な4シーターとして使えるが、屋根を閉めた際の斜め後方視界は大きく制限される。
リアシートはソフトトップを閉めても余裕充分で完全な4シーターとして使えるが、屋根を閉めた際の斜め後方視界は大きく制限される。 拡大
試乗記の新着記事
  • トヨタRAV4 Z(4WD/CVT)【試乗記】 2026.8.12 トヨタの人気SUV「RAV4」が6代目へと進化。どれくらい人気なのかは本文をご覧いただきたいが、日本だけでなく約180もの国と地域で愛されているモデルゆえに、その仕上がりはとにかく手堅く、そして隙がない。街から高速道路、さらに山道まで走り回って、気になったのはわずか1カ所のみだった。
  • ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.8.11 新型電気自動車「ES90」は、ボルボが「フラッグシップクロスオーバー」と紹介する新種の5ドアハッチバックモデル。「SPA2」プラットフォームによるゆとりあるボディーと、ボルボの次世代電気自動車アーキテクチャーの織りなす走りを報告する。
  • テスラ・モデルY Lプレミアム(4WD)【試乗記】 2026.8.10 日本でも好評を博す、テスラのSUVタイプの電気自動車「モデルY」。その6人乗り・ロングボディー仕様が「モデルY L」だ。実際に機能性や走りに触れてみると、決して「補助金頼み」とは言えない、同車の人気の理由が分かってきた。
  • アウディQ3 TFSI 110kWアドバンスト(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.8 アウディのミドルサイズSUV「Q3」の新型が日本に上陸。デザインやインターフェイスは新しくなっているが、さまざまな事情によってクルマとしての基本コンポーネンツは先代を踏襲しているのが3代目の実情だ。果たしてそれが吉と出るか凶と出るか。FWDのエントリーグレードを試す。
  • スズキDR-Z4SM(5MT)【レビュー】 2026.8.7 スズキ久々のスーパーモタードである「DR-Z4SM」に試乗! 最新の400cc級デュアルパーパスモデルをベースに、タイヤを17インチ化してオンロードでの機動性を突き詰めた一台は、今どき珍しいほどにアグレッシブで、強烈な個性を放つマシンに仕上がっていた。
試乗記の記事をもっとみる
ロールス・ロイス ファントム の中古車webCG中古車検索
関連キーワード
新着記事
新着記事をもっとみる

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。