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【スペック】全長×全幅×全高=4490×1730×1545mm/ホイールベース=2500mm/車重=1190kg/駆動方式=FF/1.5リッター直4DOHC16バルブ(110ps/6000rpm、14.6kgm/4000rpm)/価格=165万9000円(テスト車=同じ)

スズキSX4セダン 1.5G(FF/4AT)【試乗記】

子供が巣立ったら 2007.08.07 試乗記 青木 禎之 スズキSX4セダン1.5G(FF/4AT)
……165万9000円

5ドアのクロスオーバー「SX4」に、トランクを追加したセダンバージョンが誕生。1.5リッターを積む、ノッチバックモデルに試乗した。
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ノッチバック149万1000円から

プレス試乗会の会場となったホテルの前に「スズキSX4セダン」が並んでいるのを見て、アララ……と思った。
ずいぶんとまぁ、地味になったこと。
すぐ隣に、比較試乗車としてハッチバックの「SX4」が置かれていたから、なおさらそう感じた。

2004年に「スイフト」発売されてからこっち、「スズキ車のデザインが一皮むけた」と感じているヒトは多いだろう。続いて登場した“クロスオーバー”を謳う「SX4」もまた、なんとも若やいだ、フレッシュな5ドアモデルだった。そのノッチバック版と聞いて、勇んでやってきたのだが……。

2007年7月24日から販売が開始されたSX4セダンは、1.5リッター(110ps、14.6kgm)と4段ATを組み合わせた、コンベンショナルなFF(前輪駆動)モデルである。当面、4WDは用意されない。装備の違いで、2グレードが設定される。

1.5F:149万1000円
1.5G:165万9000円

たとえば、「日産ティーダラティオ」は132万3000〜180万8100円(1.5リッター)、「ホンダ・フィットアリア」が142万8000〜171万1500円である。スズキSX4セダンの価格は、なかなか魅力的だ。

サイズは、ベースの「SX4」(写真右)に比べて335mm長く、40mm低くなった。全幅およびホイールベースは変わらない。
サイズは、ベースの「SX4」(写真右)に比べて335mm長く、40mm低くなった。全幅およびホイールベースは変わらない。 拡大
 
スズキSX4セダン 1.5G(FF/4AT)【試乗記】の画像 拡大

意外な活躍?

廉価なコンパクトセダン「ホンダ・フィットアリア」はタイからの輸入車だが、「スズキSX4セダン」は国内で生産される。ちなみにSX4という名のクルマは、ハンガリー、インド、中国でもつくられる。インドでSX4というと、むしろノッチバック版を指すという。

SX4セダンは、前席と後席をわけるBピラーから後ろが、ハッチバックのSX4と異なる。なだらかに落ちるルーフラインを見てやや心配になり、まずはリアシートに座ってみると、やはり居住性はあまりよろしくない。
法規上は3人がけだが、実質2人用。ヘッドクリアランスに余裕がなく、ボディサイズの制約か、天井ももう一息後方にのびていてほしいところだ。ひんぱんに4人乗る予定があるヒトは、むしろルーフラインが水平に近い5ドアモデルのほうがいいかもしれない。

一方、トランクは大きくて、515リッター(VDA法)の容量を誇る。そのうえ後席背もたれを倒して荷室を拡大できるから、SX4セダン、貨物車として意外な活躍を見せるかも。トランクとキャビンをわける部分には、新たにボディ剛性確保のための補強材がわたされた。

 
スズキSX4セダン 1.5G(FF/4AT)【試乗記】の画像 拡大
 
スズキSX4セダン 1.5G(FF/4AT)【試乗記】の画像 拡大
トランク容量は、ハッチバックの270リッターから515リッターに大幅増。
(写真をクリックするとシートが倒れるさまが見られます)
トランク容量は、ハッチバックの270リッターから515リッターに大幅増。
	(写真をクリックするとシートが倒れるさまが見られます) 拡大
 
スズキSX4セダン 1.5G(FF/4AT)【試乗記】の画像 拡大
フロントのグリルやバンパーは、セダン専用デザインとなる。
フロントのグリルやバンパーは、セダン専用デザインとなる。 拡大

ミニバンの後

スズキSX4セダンの室内は、グレーが支配する地味なもの。以前はベロア調の、妙に洒落たシート地でセンスのよさを見せることもあったスズキだが、今回は、シートもまた地味。
着座位置は高めで、サイドウィンドウの下端が低いので、前方左右とずいぶん開放感がある。外からは、運転者の座高が高く見えるという欠点はあるものの(!?)、取り回しの面では楽だ。

タイヤがハッチバックのSX4より控えめな「195/65R15」になっていることもあり、ハンドルは軽め。足まわりも、和製セダンらしい柔らかさ。街なかを淡々と走るにはいいだろう。

短い試乗を終えて、エンジニアの方々と話す機会が得られた。個人的に、先代にあたる「エリオセダン」を憎からず思っていたので「エリオセダンはどのような人が買っていたんでしょう?」とうかがうと、「あまり数が出なかったので、データがありません」とのこと。アララ……。
スイフト、SX4と比較して、SX4セダンは「国内での使用に特化したクルマとして売っていきたい」とおっしゃる(前述の通り、インドでも生産・販売はしている)。

SX4セダンは、1.5リッターのみラインナップ。駆動方式はFFで、4WDは用意されない。
SX4セダンは、1.5リッターのみラインナップ。駆動方式はFFで、4WDは用意されない。 拡大
 
スズキSX4セダン 1.5G(FF/4AT)【試乗記】の画像 拡大

SX4セダンの“ウリ”をうかがったところ、「サイドエアバッグ」「ESP」「ディスチャージヘドランプ」「フォグランプ」「オートエアコン」「8スピーカー」などを標準で備えた1.5Gが、「お買い得です!」とのこと。
車体色は、白、黒、紺、銀、灰色の5種類。「ボディカラーがあまりに地味なんじゃないでしょうか」と外野の気楽さで言うと、「SX4でも、オレンジ色をカタログで見てディーラーにいらしゃっても、実際に買われるのは、やはりシルバーとかですので」と、厳しい現実が提示された。

小柄なノッチバックモデルのターゲットユーザーは、「ミニバンの時期を過ぎ、子供が手離れしたご夫婦」だそう。最近よく聞く、マーケティング用語でいうところの“エンプティ・ネスティ”の皆さまである。
若者がフロントもリアシートも埋めて、ワイワイと乗るSX4。ご年輩のカップルが前席で肩寄せ合い、穏やかに運転するSX4セダン。リポーターの貧困な想像力ゆえか、描かれる姿が、どうも、地味に、地味に、地味に……、とむかうきらいがあるようで。

(文=webCGアオキ/写真=峰昌宏)

青木 禎之

青木 禎之

15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。

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