第37回:9月3日「パリからスペインへ」
2007.07.16 「ユーラシア電送日記」再録第37回:9月3日「パリからスペインへ」
『10年10万キロストーリー4』刊行記念!
フェリーを下船後、ドイツはリューベックから一気にパリまで移動したカルディナとその一行。今日の目標はスペインまで。不調のカルディナもゴールまであと一歩!
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都会と渋滞
午前7時に、シャルル・ド・ゴール空港脇のibisホテルを出発。高速道路「A1」から、パリ市街を1周するペリフェリック(環状線)に入り、北から南へ時計回りにほぼ半周し、「A10」で南西に向かう。ペリフェリックでは朝の渋滞が始まっていたが、ズルズル進むクルマの列が、都市の内蔵部を様々な方向から貫くようにして進んでいく。実に久しぶりの“都会の光景”が妙に心地よい。
新旧さまざまなビルのなかには、表側であるオフィシャルな顔付きを向けているものもあるし、裏側の倉庫や配管を剥き出しにしているものもある。花の都パリ(古い?)とはいっても、人間が暮らしていることに変わりはない。アパルトマンの裏窓には洗濯物が干してあったり、ゴミを出している人もいる。
渋滞はクルマの観察にももってこいで、今年3月のジュネーブショーで発表された新型の車種を、何台も目にすることができた。シトロエンC2、同プルリエール、プジョー 307CC等々。ルノーメガーヌIIは、昨年夏の発表以来好調なセールスを続けているらしく、たくさん見た。その独特の格好も整合性が高く、新奇なだけでなく形が力をもっている。
「A10」を南下し、オルレアン、トゥール、ポワティエ、ボルドーと進み、その先のバイヨンヌを抜ければ、スペインとの国境だ。
咳き込むカルディナ
パリ周辺を外れれば交通量も減り、高い山や曲がりくねった道もないから、ほぼ平坦で直線が主体の高速道路がずっと続いている。カルディナは、制限速度の130km/hプラスアルファで流れている周囲のクルマに溶け込みながら、快調に走っている。……と、書きたい。
しかし実際は、快調とは言えない。ロシア以来発生している、エンジンの咳き込みが直っていないのだ。不思議なことに、ロシアでは咳き込みの発生する回転数が 1700から2100にかけてだったのが、現在は3100前後に変わっている。3100回転前後でスロットルペダルをすこし緩めると、エンジンを中心としてボディ全体がガクガクと揺れる。そこからすこしペダルを踏み込んで加速していくと収まる。ノッキング時のような異常ではない。
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スペインで生ハムを
スペイン国境を越えてもまだ陽は高く、先へ進むことにする。ロカ岬への最短ルート上にある、バリャドリードという大きな街を今晩の宿泊地に決めた。
国境ではかつての検問所の建物が残っており、警官が1台ずつ通過するクルマをチェックしている。しかし止められているクルマはいない。リューベックに上陸以来、ドイツ、ベルギー、フランス、スペインと国を越えてきたが、どこの国境も変わることはない。なかには、パスポートなり免許証などをチェックされているドライバーもいたが、僕らは一度も止められなかった。
スペインに入り、サンセバスチャン、ブルゴスと通過して、バリャドリードに到着したのが午後7時すぎ。大きな街だが、観光地ではない。情報はゼロなので、cetro(中心地)の周囲をカルディナで3周廻って、ホテルを探しながら様子を掴む。
「ウォルフガング」という4つ星ホテルと背中合わせに、別の「モーツァルト」という3つ星が隣接していた。名前がおもしろかったので、どちらかに泊まろうかと思ったのだが、結局近くの「フェリペ4世」にした。4つ星で72.5ユーロ(約9,500円)だが、地下に専用駐車場があるのが僕らにはありがたい。
ホテルを出て広場に向かう。レストランやバールが集中している一角があり、そのうちの一軒でハモン・セラーノ(生ハム)をたらふく食べる。ようやくうまいものにありつけた気がした。
(文=金子浩久/写真=田丸瑞穂/2003年8月初出)

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