第21回:8月20日「お盆を想う」
2007.06.09 「ユーラシア電送日記」再録第21回:8月20日「お盆を想う」
『10年10万キロストーリー4』刊行記念!
日本ではお盆のこの時期。「遠く離れたロシアでは関係なし」と思っていたが、イーゴリさんに連れられて、とある日本人の方々と会う。日本とロシアの過去のできごとを考えることに。
シベリア慰霊墓参団
午前10時にアクチャーブリスカヤ・ホテルに向かう。クラスノヤルスクに自宅がある、通訳のイーゴリさんと待ち合わせるのだ。
3 日ぶりに会ったイーゴリさんから、ホテルに宿泊中の、日本からの人々を紹介される。彼らは「シベリア慰霊墓参団」だという。終戦後、捕虜としてソ連軍に抑留され、亡くなった家族のために、日本から墓参りと植樹、交流に来た。イーゴリさんは自分の研究テーマと重なることもあり、数年前から彼らの手伝いをボランティアとして行っている。
ソ連時代は墓地がどこにあるのかという情報すら自由にならなかったが、ソ連崩壊後、徐々に明らかになっていった。平成3年に第1回目の墓参が行われて以来、続いている。父親や夫、兄弟などを亡くした9人が今回は日本から参加している。何カ所もの墓参を行い、桜の樹を植え、盆踊りで地元の人々と交流する。
拡大
|
拡大
|
|
異国でのお墓参り
バスでホテルを出発し、クラスノヤルスク郊外の山の中にある共同墓地に埋葬されている霊を見舞った。
「それまでも交渉を続けていましたが、“遺族が来るのなら資料を出す”と、平成12年に元KGB職員から場所を特定する資料を受け取り、ここに埋葬されていることが判明しました」(団長の村田みつさん)
ロシア人の墓は立派な墓石のものが多いが、日本人のそれは数字が記された小さな鉄製のプレートだけだ。清掃し、供物を備え、日本からあらかじめ送って、クラスノヤルスクの植物園で生育させておいたベニヤマザクラを10本植える。追悼の言葉が読み上げられ、線香を備え、僕らも合掌する。
「父は 1945年9月26日に満州でソ連人によって連行され、他の方々と一緒にクラスノヤルスクの収容所に入りました。当時、私は3歳なので何も憶えていません。生前の父からの報せは何もありませんでした。1947年に厚生省から死亡通知があっただけです。以前はとても悔しい想いを抱いていましたが、墓をつくることができ、他のロシア人と一緒に埋葬されており、父も安らかに眠っていることでしょう。今では、感謝しています」(岡田祇子さん)
僕も子供の頃は家でお盆の行事を行っていたが、最近ではやらなくなってしまっている。日本を遠く離れた旅行中だったが、思いがけずお盆らしいひとときを過ごすことができた。
(文=金子浩久/写真=田丸瑞穂/2003年8月初出)

-
最終回:「エピローグ」(後編) 2007.7.29 トヨタ「カルディナ」でユーラシア横断を終えたジャーナリストの金子浩久。東京で旅行を振り返る。 海外での日本人職員の対応や、ロシアの現状について考える。
-
第41回:「エピローグ」(前編) 2007.7.28 トヨタ「カルディナ」で、ユーラシア横断を終えたジャーナリストの金子浩久。ようやく東京に戻り、長かった旅行を振り返る。前編では、参加メンバーのその後の様子を報告。
-
第39回:9月11日「ユーロトンネル」(前編) 2007.7.22 ウラジオストクからロカ岬まで。「トヨタ・カルディナ」で、ついにユーラシア横断を果たした金子浩久。カメラマンと別れ、友人の待つロンドンまでパリ経由で向かう。「ユーラシア電送日記」のエピローグをおくります。
-
第38回:9月4日「ロカ岬」 2007.7.21 2003年7月31日に富山県を出発した、「カルディナ」と自動車ジャーナリスト金子浩久の一行は、ついにポルトガルに到着。最終目的地の、ユーラシア大陸最西端「ロカ岬」へたどり着くが、カルディナのゴールはまだ先だった!?
-
NEW
アルピーヌA110 R70(後編)
2026.3.1ミスター・スバル 辰己英治の目利き9年の歴史に幕を下ろそうとする、アルピーヌのピュアスポーツカー「A110」。“ミスター・スバル”こと辰己英治氏の目に、ディエップ流のスポーツカー哲学はどのように映るのか? スパルタンな「R70」の試乗を通し、その魅力が大いに語られた。 -
NEW
歴史に名を残す“ニッポンの迷車”特集
2026.3.1日刊!名車列伝風変わりなデザインや、聞きなれないモデル名。それでも自動車史に名を刻む、日本が生んだマイナー車を日替わりで紹介します。 -
フォルクスワーゲンID.4プロ(RWD)【試乗記】
2026.2.28試乗記フォルクスワーゲンのミッドサイズ電気自動車(BEV)「ID.4」の一部仕様変更モデルが上陸。初期導入モデルのオーナーでもあるリポーターは、その改良メニューをマイナーチェンジに匹敵するほどの内容と評価する。果たしてアップデートされた走りやいかに。 -
思考するドライバー 山野哲也の“目”――MINIジョンクーパーワークス コンバーチブル編
2026.2.27webCG Moviesレーシングドライバー山野哲也がホットなオープントップモデル「MINIジョンクーパーワークス コンバーチブル」に試乗。ワインディングロードで走らせた印象を、動画でリポートする。 -
特別な「RAYS VOLK RACING TE37」を選ぶということ
2026.2.27最高峰技術の結晶 レイズが鍛えた高性能ホイールの世界<AD>クルマ好き・運転好きの熱い視線を集める、レイズの高性能ホイール「VOLK RACING(ボルクレーシング)」。なかでも名品の誉れ高い「TE37」シリーズに設定された、必見のアニバーサリーモデルとは? その魅力に迫る。 -
2026 Spring webCGタイヤセレクション
2026.2.272026 Spring webCGタイヤセレクション<AD>春のドライブシーズンを前に、愛車のタイヤチョイスは万全か? 今回は、走りが意識されるスポーツモデルやSUV向けに開発された、話題の新タイヤをピックアップ。試走を通してわかった、それらの“実力”をリポートする。
