ルノー・メガーヌ・グラスルーフ・カブリオレ“エクセプション”(FF/4AT)【ブリーフテスト】
ルノー・メガーヌ・グラスルーフ・カブリオレ“エクセプション”(FF/4AT) 2007.04.27 試乗記 ……400.0万円総合評価……★★★★
「ルノー・メガーヌ」のオープンモデル「グラスルーフ・カブリオレ」に専用の内装色を与えた特別仕様車「エクセブション」。赤いボディの限定車に試乗した。
魅力的なCC
最近、増殖が目立つ4シーターのクーペ・カブリオレのなかで、「どれか1台手許に置くなら?」と聞かれたら、わたしはきっと「ルノー・メガーヌ・グラスルーフ・カブリオレ」を選ぶだろう。こういうクルマだから、やはりエクステリアデザインが重要で、ハードトップを開けても閉めてもカッコいいのが第一条件。
その点、このメガーヌ・グラスルーフ・カブリオレは、トランクまわりのデザインがすっきりしているおかげで、クーペとしてもカブリオレとしても、実にスタイリッシュなのがいい。そのうえ、ハードトップを閉めても空が臨めるグラスルーフを備えるから、天候によらず、開放感溢れるキャビンでドライブを楽しめるのが大きな魅力である。
これでもうすこしエンジンが元気ならいうことはないが、それを差し引いても十分魅力的なクーペ・カブリオレである。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
ハッチバックモデル「メガーヌ」ベースの4座クーペ・カブリオレ。ヨーロッパでは2003年に発売され、日本には2005年に導入された。オープンボディにのる電動格納式のルーフは、メタルではなくグラスなのがユニーク。約22秒でフルオープンとなる。
エンジンは、2リッター、トランスミッションは4ATとなる。
(グレード概要)
テスト車の「エクセプション」は、2006年2月10日に発売。内外を飾った限定の特別仕様車。ダークグレーとレッドのツートンカラーの専用シートに、デザインが変えられたホワイトメーター、ダークカーボン色のセンターコンソール、新デザインの17インチアロイホイールが盛り込まれる。ボディカラーはパール・ブラックとフレーム・レッドの2色が用意される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
試乗車は“エクセプション”と呼ばれる限定車で、ホワイトメーターや“ダークカーボン”カラーのパネル、そしてツートーンのレザーシートがスポーティな雰囲気をつくりあげていた。
ご自慢のグラスルーフは、オープンカーのスペシャリストとして名高いあの「カルマン」が手がけたシステムで、2分割式のハードトップは、センターコンソールに配置されたスイッチを押し続けるだけで開閉が可能。窓を閉めた状態から操作したときの所要時間は開閉とも約20秒。操作が終わっても窓が自動的に閉まらないため、開閉スイッチの横のボタンで閉めてやるのが一手間だが、まあこれは慣れの問題だ。
(前席)……★★★★
ツートーンのレザーシートは、ブラックの部分にレッドのステッチが入り、またレッドの部分には一部パンチング加工が施されるなど、スポーティな演出がなされている。座ってみると程よいサイドサポートと、座面の張りのおかげで、身体が自然に支えられるのがいい。
クーペ・カブリオレの常で、フロントウィンドウ上部のフレームが太く、多少、圧迫感を覚えるとともに、ハードトップを開けても意識的に上を向かないかぎりあまり空が見えないのが物足りないところ。しかし、サイドウィンドウを下げれば、思い切り外気を楽しむことができるし、寒いときにはサイドウインドーを上げたり、標準で用意される“ウインドブレーカーネット”を取り付けることで、快適なオープンエアモータリングが楽しめるのはうれしい点だ。
(後席)……★★
ふたりぶんの後席は、大人が座ると前席のシートバックに膝があたり、シートバックもほぼ直立しているため、窮屈な思いはする。短距離ならば十分にガマンの範囲内。ソフトなクッションが救いである。
一方、子供にとってはオープンエアを楽しむ格好の場所で、前席とは比べものにならない開放感が魅力のようだ。
(荷室)……★★
クーペ・カブリオレとしては、トランク部の厚みが気にならないメガーヌ グラスルーフ カブリオレだが、そのぶん荷室の広さには不満がある。ハードトップを閉じていれば約55cmある高さも、ハードトップを格納すると20cmほどまで圧縮され、さらに奥行きや幅も限られてしまう。乗員が1、2名なら後席に荷物を突っ込むという手もあるが、ファミリーで泊まりがけの旅行という場合には、ハードトップを開けられないこともあるだろう。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
2リッター直列4気筒エンジンは、最高出力133ps、最大トルク19.5kgmの性能を持つが、1520kgというやや重めのボディに対しては力不足を隠せない。とくに低回転域が物足りない印象だ。回せば3500rpmあたりからトルクが盛り上がってくるが、それでも余裕は感じられない。
Dレンジ4速で100km/h巡航時のエンジン回転数は約2700rpmと高めということもあり、エンジンの音はやや気になるレベルだ。そのため、ハッチバックやツーリングワゴンは、マイナーチェンジとともに最終減速比が高められている。このグラスルーフ・カブリオレもいずれそうなるのだろうが、単純に最終減速比を変更してしまうと低速がますますつらくなるので、そのあたり、うまくギア比を設定してほしい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
ドイツ勢の最新クーペ・カブリオレと較べてしまうと、メガーヌ・グラスルーフ・カブリオレは、ハードトップを閉めたときでもボディ剛性はさほど高いとはいえない。さらに「205/50R17」のタイヤが組み合わされると、路面から受けるショックを遮断しきれず、舗装が悪いところでの快適さはいまひとつだった。見た目が重要なのはわかるが、もう1インチ小さいタイヤでもよかったのでは?
一方、高速の直進性は高く、フラット感もまずますだ。意外に頑張るのがワインディングロードで、ロールは大きめながら、しなやかにストロークするサスペンションが路面に吸い付くように動くから、下り勾配では結構なペースで飛ばすことができた。
(写真=菊池貴之)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2007年3月22日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:12186km
タイヤ:(前)205/50R17(後)同じ(いずれも ミシュランパイロットプレマシー)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(1):高速道路(7):山岳路(2)
テスト距離:350.6km
使用燃料:39.5リッター
参考燃費:8.87km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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