レクサスLS600h(4WD/CVT)【海外試乗記(後編)】
こたえられないLS(後編) 2007.04.24 試乗記 レクサスLS600h(4WD/CVT)最新鋭のハイブリッドシステムを搭載する「レクサスLS600h」。高級車としての狙いはどこにあるのだろうか? ドイツはフランクフルトから小沢コージがリポートする。
より地に足が着いたエアサス
アクセルをベタ踏みする必要が出てくるのは、実際は200km/h(!)以上の速度域を求める時ぐらいだ。オーバー200km/hの世界でようやくエンジン+モーターの力を両方使い切るという、そのスケール感は凄い。
その凄さを普段感じさせないところが、なんともレクサスっぽいといえるのではないか。「奥ゆかしいけど、凄い!」という点に関しては、間違いなくメルセデス、BMW以上と感じた。
モニターによる燃費計算では平均約6km/リッター。しかしこれはアウトバーンで時おり200km/h以上で走行てのこと。相当、燃費はいいだろう。日本でゆっくり乗ったら10km近くになりそうだ。
一方、足まわりも研ぎ澄まされた。基本はLS460と同じエアサスだが、特有の浮遊感はかなり減り、より地に足が着いた走りになっている。聞けばフロントサスに多少の設計変更があり、LSでは初のアクティブスタビライザーを装着したことで、より自然な味わいになっているという。
ブレーキのフィーリングに関しても、かなり好感触。これが本当にハイブリッド車用の回生ブレーキかと思うほどで、コントロール性がよく、なおかつハイスピード領域でも安心して踏める。これは今までの国産車ではあり得なかったぐらいの攻撃性の高いブレーキパッドを使ってことによるそうで、ヨーロッパ車に近い設定がされているのだ。
メルセデス、BMWとまったく違う高級車
試乗して、主査の吉田さんがいうところの「ハイブリッドに気づかせないハイブリッド」という意味がわかった。試乗前に勝手に予想した、電気自動車的テイストを前面に押し出した新世代のガソリン高級車ではなかった。
それはレクサスのお客さんが保守的だということもあるんだろうけど、高級車の世界全体がそういうものであるともいえる。つまり、新しいもの、新しいテイストは受けつけないという文化があるのだ。
つまりレクサスとしては「他とは全然違う」という新しいテイストを狙ってはいない。「あれ、このクルマなんかいいなぁ」と思って乗り出したら、その軽快さと速さに魅了される。その上燃費はもちろん、環境にもいいから、さらに深い愛着が……。「もうハイブリッドの味が手放せなくなる」のが理想の展開なのだろう。
やはりレクサスは、メルセデス、BMWとは全く違う高級車像を提示しているように思う。
もっと未来的でもいい
インテリアはトヨタ&レクサス車としては始めてとなる、本革張りのインパネ&ドアトリムを持つ。エンブレム、ヘッドライト等は微妙にブルーを織り交ぜて、他のクルマとの違いを作りだした。さらにヘッドライトの中味もよく見ると3連プロジェクターになっており、今までのハイブリッドに比べて、外観には“このクルマはハイブリッドだ”という主張が見られる。個人的にはもっと未来的にしてもいいと思うのだが。
お金があって新し物好きで、さらに国産車好きのナショナリストにはこたえられないであろうLSハイブリッド。このクルマで日本を走るにあたっては、後方からの真っ赤ライトとサイレンに注意しなければならないだろう。
(文=小沢コージ/写真=小沢コージ(O)、トヨタ自動車(T)/2007年4月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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