日産フェアレディZ バージョンST(FR/6MT)/ロードスター バージョンST(FR/5AT)【試乗記】
安い買い物 2007.02.21 試乗記 日産フェアレディZ バージョンST(FR/6MT)/ロードスター バージョンST(FR/5AT)……431万5500円
2002年7月に現行型が発表された「フェアレディZ」。イヤーモデル制を採用し、毎年“粗さ”を削り落としているという。ハイレスポンスのニューエンジンを搭載した07モデルに早速試乗した。
パワーバルジ復活
フェアレディZが一部改良された。カルロス・ゴーンの肝入りで再生を計った新制日産の象徴的存在である「Z」は、概ね好評をもって迎え入れられている。
今回の改良は変更点の規模こそ小さいが、“粗さ”をとり、より洗練された乗り物とすることに主眼がおかれた。
主な変更点はエンジンフードの意匠変更、「スカイライン」で先行採用しているVQ35HRエンジンへの換装などである。
ロードスターの幌や外装色に新色が設定されたり、アクティブヘッドレストの採用やタイヤの銘柄が変更されるなど、リリースに表記される目に見える部分ばかりではなく、実は見えないところも細部にわたって改良されている。
エンジンフードのデザイン変更により、従来の2本線プレスは廃され、初代「S30」のモチーフであった「パワーバルジ」が復活した。より力強さが強調され、ふっくらした丸味が加わるとともに、室内からの景色はノーズが伸びたようにも感じられる。
新色のプレミアムパッションオレンジは、Zのイメージを確立したサファリラリーの土色を背景にしても映えるオレンジにしてある。
飛び跳ねることなく接地する
走り出してまず最初に感じるのは、乗り心地が大きく洗練されたことだ。
北米試乗会において初めて乗ったZは、競合車のサンプルのなかにあった初期生産型であったが、まるでジムカーナ仕様のような硬さで、ワイルドなものを好む、一部のアメリカ人の趣味を反映させた代物であった。
その後あまりZに乗るチャンスはなかったが、メーカー試乗会などで乗せてもらった実験車はまずまず改良されていた。
今回のZは、欧州市場を含む世界統一スペックといわれ、もちろん日本仕様も同じものらしいが、これは十分に満足すべきレベルにある。
スポーツカーはスパルタンで当然とする説もあるが、彼等の言い分を聞いてみると、ロールやピッチ方向の姿勢変化を嫌い、ステアリングの応答性を求める傾向にある。
決してビシビシくる乗り心地の悪さを要求するのではなく、操縦安定性の見地からソフト感のあるものを好まないだけだ。
今度のZは目地段差などのハーシュネスも間接的入力となるし、大きなうねりなどもダンピングよく煽らず、ボディは水平な姿勢を保とうとする。コーナー途中にある舗装の荒れなどでも飛び跳ねることなくよく接地し、ラインを乱される傾向は大きく減少した。
ラック&ピニオン式を採るステアリングのパワーアシストも順当で、操舵フィールはまずまず。現代のスポーツカーの標準をもってすれば、ステアリングギア比はもうすこし速くてもいいような気もするが、信頼感は十分といえる。
クラッチに小さな不満はあるが……
テスト車は6MT車。換装されたVQ35HRの野太い排気音を心地よく響かせながら、大排気量MT車特有の伸びのある加速を味わうことができる。2、3速のギア比がことさらクロースしているわけではないが、5000rpm程度でテンポよくシフトしていく分には、気持ちよい吹け上がりに満足する。
MT仕様での小さな不満は、エンジン回転のレスポンスとギアシフトの良好な感触に対して、クラッチのストロークが大きめなことと、繋がりが緩慢なこと。
ロードスターは5AT仕様で試したが、今や若干ワイドなステップアップ比となる5ATでも、排気量の余裕もあって各段階それぞれの加速感として楽しむことが可能。レバーを左に寄せてホールドすれば、低位ギアでは7000rpm超えの高回転まで引っ張る楽しみも待っている。
オープンで走ると、2シーターロードスターなりの爽快さを、もちろん満喫できる。特別な防風対策などなさそうにみえても、実際にはさほど風による髪などの乱れは体験されず、シートヒーターを効かせるだけで快適だった。
思うに、フェアレディでは、スポーツカーボディと3.5リッターエンジン、快適装備、タイヤ/アルミホイール、そして動力性能や操縦性能など、総合的にみて欧米の第一級スポーツカーに決して見劣りしない内容を備えるに至った。
基本グレードで337万円は安い買い物ではないだろうか。
(文=笹目二朗/写真=郡大二郎/2007月2月)

笹目 二朗
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