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【スペック】欧州仕様:全長×全幅×全高=4580×1782×1384mm/ホイールベース=2760mm/車重=1810kg/駆動方式=FR/3リッター直6DOHC24バルブ・ターボチャージャー(306ps/5800rpm、40.8kgm/1300-5000rpm)

BMW335iカブリオレ(FR/6AT)【海外試乗記】 

クーペ以上の贅沢 2007.02.09 試乗記 河村 康彦 BMW335iカブリオレ(FR/6AT)

初の直噴ツインターボを搭載した「クーペ」に続き、セダン/ワゴンも発売された「3シリーズ」。そして新たにオープンモデル「カブリオレ」が登場した。砂漠のまち、アリゾナからの最新リポート。
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クーペ・カブリオレとは違う

我々が作ったのはあくまでもオープン状態が本来の姿である真の『カブリオレ』。ルーフを閉じればクーペに変身するという、巷で流行のいわゆる”クーペ・カブリオレ”を目指したつもりは毛頭ない――

誰かがそれにまつわる質問をしたというわけではないのに、プレゼンテーションの場でことさらにそこにこだわったスピーチがなされた。今から丸々20年前の1986年にデビューした初代モデルから数えて4代目となる、新型「3シリーズ・カブリオレ」のことだ。

もっとも、BMWが強くこうしたアピールを行う理由はすぐに思い当たる。それはもちろん、現行3シリーズのバリエーションに、2006年追加されたばかりの「クーペ」の存在だ。

BMWにとって避けなければならないシナリオは、このリトラクタブル・ルーフ付きモデルのリリースによってクーペの売り行きがマイナスの影響を受けてしまうこと。
だからこそ、BMWは両者の”時差発売”を行ったわけだし、ルーフからリアエンドへと流れるラインを明確に変えて、異なるキャラクターをアピールしようと懸命に努力していたのだ。

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リトラクタブル・ルーフ式の採用

今でもおりたたみ可能なハードトップでなく、伝統的なソフトトップ式を支持するユーザーが存在するのを承知の上で、敢えてリトラクタブル式ルーフを採用した。そこには、商品戦略的な意味合いを多分に感じる。
耐候性に長け、防盗性に優れ、静粛性など快適性面でも「ソフトトップ方式以上」が期待をできるリトラクタブル・ルーフ式ボディの採用は、今や世界のオープンカーの潮流と言えるもの。特にヨーロッパではそうした動きが顕著で、主流はすでにこちらに移りつつある。

率直なところ、ライバル各車の動向もかなり気になるというのも本音だろう。なかでも、初代「メルセデス・ベンツSLK」のヒットを契機に、メルセデスがこのタイプのルーフを各車に積極採用の動きを見せているのが、新型3シリーズ・カブリオレにリトラクタブル式ルーフの採用を決断させたといえよう。

また新たなエンジン戦略

アメリカは砂漠の街、アリゾナ州フェニックスを基点に開催された国際試乗会に用意をされたのは、ディーゼルを含め様々なエンジンバリエーションのうち、3リッターの直6ガソリン・ユニットに2基のターボチャージャーをプラスした心臓を積む「335iカブリオレ」に限られた。
実はこの新型カブリオレの発表と同時に、BMWでは新たなエンジン戦略を発表。それによれば「BMWはこの先まず、3シリーズのすべての自然吸気ガソリンエンジンを基本的にリーンバーン直噴化。排ガス浄化に必要な低硫黄燃料が入手困難な市場に向けては直噴ではなく“バルブトロニック”を用いる」とする。

前述のように今回の試乗会にはそうした自然吸気モデルの用意がなかったのは残念だったが、「近いうちに乗る機会を用意する」というからこちらも楽しみだ。

クーペに負けないカブリオレ

335iカブリオレは、リアウインドウを含むルーフ周りを3分割とし、それを電動油圧パワーでおよそ22秒でトランクルーム内に収容するという凝ったシステムを採用した。そうしたルーフシステムの採用やオープン化に伴うボディ補強による重量増は200kgに及ぶ。走りの軽快感は、クーペのそれに少々及ばない。

ルーフを閉じた状態でも70km/h程度までの速度でブルブルとした比較的低周波のボディ振動が認められる。バイブレーションは、ルーフを開くとさらに大きくなる。理詰めで走りの良さを追い求めるのであれば、クーペにはやはりかなわないのがカブリオレだ。
とはいえ、低回転域では”ターボ付き”を感じさせない自然で力強いトルク感を生み出し、高回転域ではツインターボならではのパワフルさを演じてくれる3リッター直噴エンジンのおかげで、動力性能には現状でも何の不満もない。

足元がやや狭く、シートバックも直立気味とはいえ、リアシートには大人2人がそれなりの長時間を過ごすにも耐え得るスペースを確保。「リアエンドの位置ではクーペよりも13mmの低下」という低くフラットなベルトラインが、オープン時の解放感の高さをさらに後押ししてくれる。

BMWがアピールする「クーペ以上のエレガンス」がルックス上で表現されているか否かは、見る人によって評価が分かれそう。が、オープンエア・モータリングを筆頭としたクーペ以上の贅沢を求め、それを彼らが理想とする高いレベルで見事にまとめあげた。その点に関しては、異論を挟むのは難しそうだ。

(文=河村康彦/写真=BMW/2007年2月)

写真をクリックするとオープン時の荷室がみられます。
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河村 康彦

河村 康彦

フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。

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