プジョー207 GT(FF/5MT)【海外試乗記(前編)】
すべてが大人っぽくなった(前編) 2006.10.13 試乗記 プジョー207 GT(FF/5MT) 2006年のジュネーブショーでお披露目されたプジョーの新型ハッチバック「207」。世界的大ヒットとなった「206」の後継モデルだ。来春の日本導入を前に、フランスで行われた国際試乗会からのリポート。新エンジンはBMWとの共同開発
「プジョー207」は、車名の数字を見ればおわかりのように、歴代プジョーで最多生産台数を記録した「206」の後継車である。ヨーロッパでは2006年4月に販売が開始され、フランスでは「ルノー・クリオ(日本名ルーテシア)」に続く販売台数第2位の座にある。たしかに現地ではひんぱんに見かけるようになってきた。
その207の国際試乗会、彼の地でのデビュー直後に一度行われているが、それから半年後に再び開催されたのには、それなりのわけがある。PSAプジョー・シトロエンがBMWグループと共同開発した1.6リッターのガソリンターボ・エンジンが追加されたからだ。
PSA/BMW共同開発のエンジンはこれに続き、1.4リッターと1.6リッターの自然吸気も追加される予定で、206と同じエンジンを積む既存のモデルと順次入れ替わることになっている。
これらはBMW側では新型「MINI」に搭載されるが、生産は各自の工場で独自に行われる。もちろん207にはこのほか、プジョーお得意のディーゼルが3機種用意される。
2リッター自然吸気から1.6リッターターボへ
ターボには、150ps版と「MINIクーパーS」にも積まれる175ps版があり、206ではいずれも2リッターエンジン搭載の「S16」と「RC」にかわるモデルとなる。今回乗ったのは前者の150ps版。ちなみに2007年春導入予定という日本仕様は、2タイプの自然吸気を含めた4種すべてが用意されるとのことだ。
スポーツモデルのエンジンを2リッター自然吸気から1.6リッターターボに切り替えた理由は、「エンジンのダウンサイジング」にある。燃料消費と排出ガスの低減を目指した結果のターボ化であり、「BMW 335iクーペ」の3リッター直列6気筒ツインターボに近い考え方といえる。
コモンレール直噴方式を採用した点も335iと共通する。ターボはさすがにシングルだが、流入管を2本に分けたツインスクロールタイプとした。最高出力はリッター100ps以下の150psに抑えるかわり、24.5kgmの最大トルクはわずか1400rpmで発生するという、扱いやすさ重視のチューニングになっている。
「205」から206の進化では、大胆にその姿を変えたコンパクト・プジョーだったが、今回のモデルチェンジではキープコンセプトに近い進化となっている。206の大ヒットを考えれば当然だろう。
そのうえでグリルやヘッドランプには「407」や「307」のイメージが導入された。プジョーを知る人なら、ひと目見て「206の新型」と認識できるカタチだ。(後編へつづく)
(文=森口将之/写真=プジョー・ジャポン/2006年10月)
・プジョー207 GT(FF/5MT)(後編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018727.html

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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