レクサスGS430/IS350バージョンS/IS250バージョンL/SC430【試乗記(前編)】
やり残した宿題をかたづけたレクサス(前編) 2006.09.13 試乗記 レクサスGS430/IS350バージョンS/IS250バージョンL/SC430 ……814万1750円/572万7000円/500万1000円/704万円 顧客の満足度を高めるため、使い勝手の向上などをタイムリーに行ったという今回のレクサス3車種マイナーチェンジ。装備の充実だけと思われたが、実はレクサスブランドにとって意味のある変更だったという。小規模な変更ながら、意味は大きい
日本での本格展開開始から1年が過ぎ、いよいよ真打ち「LS」の発表を間近に控えたレクサスが、「SC」「GS」「IS」の既存3モデルに一部改良を行なった。その内容は、項目を抜き出すだけなら数行で終わるほど小規模。しかし、意味するところは非常に大きかったというのが、試乗しての結論である。その意味は最後にまとめて触れることとして、まずは早速モデルごとに改良の中味についてお伝えしたい。
プレス資料を見る限り、ISの改良点は、これまで夜間見にくくて不便だったトランク&フューエルリッドオープナーのスイッチ形状を変更、照明付きとしたこと。さらにスポーツシート&トリム、本革シート&トリム、18インチアルミホイールといった装備の、グレードごとの選択自由度が広がったこと程度だ。しかし、実は何より変わったのは、その乗り味である。
乗り心地が変わった原因は……
端的に言えば、俄然しなやかさが向上したのだ。これまでISは俊敏なフットワークの代償として乗り心地の硬さが指摘されていたが、今度のISはそれを見事に払拭している。まず乗ったIS350バージョンSで、僕はそのあまりの変わりように言葉を失ってしまった。
硬くはあるが初期の突っ張り感が消えて、路面との当たりがグッと上質になっていたのだ。おかげで飛ばした時にも、ステアリング切り始めの神経質さが消えて、より自信をもって切り込んでいけるよう進化していた。しかも持ち前の鋭いレスポンスは不変なのだから、これは随分手が入れられたのだろう……と思いきや、チーフエンジニアの福里健氏はこう言い放った。
「変えたのは電動パワーステアリングのチューニングだけなんですよ」
何だって!? 具体的には、切り始めの領域でのアシスト量をわずかに減らすことで初期応答の過敏さを減らしているのだという。
「走らせやすくなったのは、これでキュッと切れ込まなくなったからです。しかも不思議なもので、これが乗り心地まで良くなったように感じさせるんですよ」
冷静に振り返ると、確かに目地段差を超えた時の入力の感じなどは、これまでと変わっていない。しかし、うーん、人間の感覚とは不思議なものだ。
“トヨタ”にはないスイッチ
ただし、生産立ち上がりから1年以上が経過して、精度が向上したせいでもあるだろうと福里氏は言う。何万点もの部品を組み合わせて生み出される自動車だけに、それは十分あり得る話である。
ちなみにバージョンLは、より大きく変化。こちらは明らかに突き上げが減って、変わらずスポーティでありながら、しなやかさもハッキリ感じさせるようになったのだ。
「他のグレードはステアリングのほかにダンパーの減衰力も見直しました」
これでバージョンSとそれ以外のグレードの差は、より明確になった。今まで乗り心地でISを敬遠していた人にも、自信を持って勧めることができそうだ。
IS、そしてGSに関しては、VDIMのカットスイッチが付いたことも報告しておこう。これに関しては議論のあるところだろうが、レクサスは大人のブランド。他人に迷惑をかけない限り、あらゆる選択は自己責任とすべきという、トヨタにはできなかったろう判断は、大いに尊重したいと思う。(後編へつづく)
(文=島下泰久/写真=高橋信宏/2006年9月)
・レクサスGS430/IS350バージョンS/IS250バージョンL/SC430(後編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018625.html
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

島下 泰久
モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。
-
フィアット500トリノ ハイブリッド(FF/6MT)【試乗記】 2026.10.13 電気自動車からエンジン搭載車へと華麗に変身! 日本では珍しい、4代目「フィアット500」のマイルドハイブリッドモデルに試乗。1リッターの自然吸気エンジンを6段MTで駆るイタリアンコンパクトは、今のクルマが忘れてしまった楽しさに満ちていた。
-
ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.10.12 ボルボの電気自動車(BEV)「ES90」のトップモデル「ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を駆り、東京から初秋の新潟へ。往復700kmを超えるロングドライブで分かった新型5ドアハッチバックモデルの実力と、BEVで気になる充電環境のリアルな今を報告する。
-
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.10.8 フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。
-
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】 2026.10.7 新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。
-
スバル・レヴォーグ レイバック プレミアムS:HEV EX(4WD/CVT)【試乗記】 2026.10.6 「スバル・レヴォーグ レイバック」にストロングハイブリッド搭載モデルが登場。高効率なパワーユニットが積まれたのはもちろんのこと、既存の純エンジン車とはデザインやボディーサイズも違っているというから興味深い。上位グレードの「プレミアムS:HEV EX」を試す。
-
NEW
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
NEW
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
NEW
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。 -
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15デイリーコラム光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。

































