フォルクスワーゲン・ポロGTI 3ドア(FF/5MT)【ブリーフテスト】
フォルクスワーゲン・ポロGTI 3ドア(FF/5MT) 2006.02.15 試乗記 ……228万9000円 総合評価……★★★★★ まもなく販売終了となる「ルポGTI」に代わるホットハッチとして、「ポロGTI」が発表された。はたして「ルポGTI」に勝る魅力を持っているのか?
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いい汗をかくなら、これしかない!
昨年のマイナーチェンジでやや愛嬌が薄まり、代わりにより大人びた印象になったポロ。だが、それをベースにしたGTIは、見るからに快活そうで逆に若々しさがみなぎっている。正直、乗る前には先代「ゴルフGTI」のパワートレインを押し込んだだけともいえる構成は安直と思えたし、まもなく販売が終了する1.6リッターNAの「ルポGTI」に、気持ち良さは及ばないだろうとも感じたが、実際その走りっぷりは外観同様、颯爽として若々しく、けれどフォルクスワーゲンらしく分別も効いた、ルポGTIとはもちろん現行ゴルフGTIとも明らかに違う実に魅力的なものに仕上がっていた。
ゴルフGTIは、サイズを見てもパフォーマンスからしても、もはやホットハッチとくくれる範囲を超えてしまった感が強い。なにせここ数十年で市街地やワインディングロードの道幅が広くなったなんてことは無いのだから。自分の手足を動かしてクルマを自在に操り、いい汗をかくためのクルマとして選ぶならば、今選ぶべきはこのポロGTIをおいて他にはない。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1975年に初代がデビューした、ゴルフの弟分にあたるコンパクトハッチ。日本には2002年5月に導入された4代目が、2005年9月にフェイスリフトが行われ、現在にいたる。パワートレインは、1.4リッターNAと、「GTI」向けの1.8リッターターボエンジン。それぞれ3ドアと5ドアのボディが用意される。
(グレード概要)
2005年10月の東京モーターショーでワールドプレミアとなった、ポロのスポーティモデルが「GTI」。日本では2005年12月にリリースされた。兄貴分である「ゴルフGTI」と同様、ブラックアウトされたハニカムグリルが外見上の特徴。150psを発生する1.8リッターターボエンジンは、5段MTを介して前輪を駆動する。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
メーターやセンターコンソールのシルバーのトリミングや、ディンプル加工レザー巻きのステアリング、シフトレバー&パーキングブレーキレバーブーツ等々が雰囲気を盛り上げているインテリア。クオリティも操作性も不満の出る余地は無い。改めて感じるのはステアリング、シフト、ペダル類などあらゆる部分のタッチがすべて軽く精度感高く、何よりライヴ感にあふれていること。より素手で触れているのに近い、そんな感触なのだ。思い出すのはゴルフII GTIのあのステアリングフィールである。
(前席)……★★★★★
ゴルフGTI譲りのスコティッシュチェック柄をフィーチャーしたシートは、硬めのクッションが体重をしっかり受けとめてくれ、疲れ知らずの心地よさ。張り出したサイドサポートはコーナリング時に身体が動くのを防ぎ、また気分も盛り上げてくれる。シートリフターは左右両席につくが、着座位置は基本的に高めで、またゴルフのようにインパネやドアトリムが妙に閉塞感をもたらす形状でもないため、周囲の視界は上々だし何より開放感があって良い。
(後席)……★★★★
3ドアといえども後席の広さは5ドアと一緒。前席と同じく高めの着座位置と立ちぎみの背もたれを持ち、肩まわりや足元にも十分な余裕を確保している。大人2名で座っても狭さを感じない。3名で並ぶのはさすがに短時間にとどめたいが、それでもきちんと中央席のヘッドレストと3点式シートベルトが用意されているのは、ヨーロッパ車では当たり前のことだ。なお、このシートベルトは前席ともども縁に赤いステッチが入れられている。後席も一緒にスポーツマインドを楽しんで、というわけだ。
(荷室)……★★★★
隅々までカーペットが敷き詰められた、ひとクラス上のモデルと変わらない上質感を持つラゲッジスペースは、ボディサイズからして奥行きはそれなりだが、幅、深さともたっぷりとしており、容量は通常時で270リッターを確保。左右40:60の割合で折り畳み可能な後席バックレストを倒せば、最大1030リッターにも達する。ちなみにこの後席は、まだゴルフのように合理化されてはおらず、ダブルフォールディング式とされている。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
朝、走り出してすぐに、不覚にもやっぱりスポーティなNAエンジンはいいな! なんて思ってしまった。いうまでもなく、搭載するのは1.8リッターターボ。つまり、それぐらいレスポンスがナチュラルなのだ。厳密にいえば、軽く踏み込んだ時には過給の立ち上がる瞬間の段付き感も伝わるが、実質的には何も問題は無い。全域でトルクは厚く、けれど豊かなトルクでというより豪快な回転上昇で速度を引っ張り上げるようなパワー感は文句無しにスポーティ。トップエンドのキレはさほどでもないが、5000rpmくらいでシフトアップしていけば十分以上に速い。5段MTの正確なタッチも秀逸だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
ハンドリングはサイズからは想像し難いほどの落ち着きを感じさせるもの。とはいっても退屈なわけではなく、運転操作にきわめて正確に反応してくれる、非常に懐の深い仕上がりだ。妙にキレの良さを演出したりはしていないから、熱くもクールにも思いのままに攻められる。限界がおそろしく高いわけではないが、リアの滑りなど挙動は非常に穏やかなので不安感も皆無だ。そのぶん、さすがに乗り心地は硬めで、特に後輪が左右いっぺんに段差を超えた時など、いっぺんに突き上げてはくる。だが、カッチリとしたボディのおかげで安っぽい振動などとは無縁。少なくともドライバー自身にとっては許容できる範囲内といえる。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:島下泰久
テスト日:2006年1月17日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:4499km
タイヤ:(前)205/45R16(後)同じ(いずれも、コンチネンタル)
オプション装備:--
テスト形態:インプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(6):山岳路(2)
テスト距離:289.7km
使用燃料:32リッター
参考燃費:9.1km/リッター

島下 泰久
モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。
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