スバル・フォレスター クロススポーツ2.0T(4WD/4AT)【試乗記】
魅力を高めたオールラウンダー 2005.12.15 試乗記 スバル・フォレスター クロススポーツ2.0T(4WD/4AT) ……300万3000円 スバルのSUV「フォレスター」にスポーティな装備をプラスした「クロススポーツ」。欲張りなユーザーの希望をかなえる都市型SUVに試乗した。欲張りなクルマ
「フォレスター クロススポーツ」のカタログを見て、なんと欲張りなクルマなのか、と思った。欲張りな顧客の希望を、努力家で気前のよいエンジンニアがすべてかなえてしまったかのようではないかとテスターの目に映った。どこが欲張りなのかといえば、フルタイム四輪駆動、ターボ付き2リッターDOHC16バルブの220psエンジン。そしてタフなオフロード4WDを都会的にアレンジしたかのようなボディながら、タワーパーキングにも入ることのできる1550mmの全高……、といった具合だ。
6月末にクロススポーツ2.0Tがさらに進化したというので、ドライブに連れ出した。
定評のある220psと31.5kgmを発生するターボ付き2リッターエンジンは、既に語り尽くされた感があるので、多くを語る必要がないと思う。スロットルペダルを踏み込むと、モリモリとパワーが高まり、ボクシーなワゴンと思えぬほどの身軽さで、胸の空く加速を味わうことができる。もっとも、個人的にはこれほどの大きなパワーを持たなくともいいと思っているので、昨今の省エネルギーを考慮し、ノンターボ版の「2.0i」のほうをセレクトしたい。
スバルのワゴンを買おうという人にとっては、ラインナップ中に選択肢はいくつかある。その中でクロスカントリービークルを求める人にとっては、ボクシーでタフな印象を得る「フォレスター クロススポーツ」と、都会的な雰囲気を備えるスタイリッシュな「レガシィ アウトバック」のどちらを選ぶかは迷いどころだろう。
良好な視界の持ち主
普段の足としてツーリングワゴン3.0Rを使っている筆者は、レガシィのワゴンらしからぬ低い着座位置には日頃から少なからず違和感を覚えていた。確かにワインディングロードを走るときには、その低く固められたサスペンションと、着座姿勢の恩恵を受けるが、市街地で使うには決して適しているとは思わなかったのだ。
その3.0Rから乗り換えたフォレスターでは、視界の良さと周囲の見切りのよさが印象に残った。着座姿勢は自然で乗り降りが楽だし、広い視界は混雑した市街地で使うには便利だ。
本来、ラフロードが専門のオフローダーを市街地で使う利点のひとつが、この見晴らしのよさだった。その利点を活かしながら、都市生活者にとって不可欠なタワーパーキングに駐車できるというフォレスターの存在は実に魅力的だ。さらにこのクロススポーツは、高い姿勢ながらハイウェイでのクルーズを考慮したサスペンションセッティングが施されている。スポーティな3.0Rから乗り換えても、ボディの動きにまったく不安を感じることはなかった。
フォレスターの北米市場での販売は好調だと聞く。自動車について厳しい目を持ったアメリカのユーザーにとっては、こうした万能選手ぶりが購買意欲に繋がるのだろう。顧客の欲張りなニーズが、オールラウンダーの魅力をさらに高めたという好例ではなかろうか。ワゴンユーザーにとっては、無視できぬ1台だ。
(文=SUPER CG伊東和彦/写真=峰昌宏/2005年12月)

伊東 和彦
-
スズキ・エブリイJリミテッド(MR/CVT)【試乗記】 2025.10.18 「スズキ・エブリイ」にアウトドアテイストをグッと高めた特別仕様車「Jリミテッド」が登場。ボディーカラーとデカールで“フツーの軽バン”ではないことは伝わると思うが、果たしてその内部はどうなっているのだろうか。400km余りをドライブした印象をお届けする。
-
ホンダN-ONE e:L(FWD)【試乗記】 2025.10.17 「N-VAN e:」に続き登場したホンダのフル電動軽自動車「N-ONE e:」。ガソリン車の「N-ONE」をベースにしつつも電気自動車ならではのクリーンなイメージを強調した内外装や、ライバルをしのぐ295kmの一充電走行距離が特徴だ。その走りやいかに。
-
スバル・ソルテラET-HS プロトタイプ(4WD)/ソルテラET-SS プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2025.10.15 スバルとトヨタの協業によって生まれた電気自動車「ソルテラ」と「bZ4X」が、デビューから3年を機に大幅改良。スバル版であるソルテラに試乗し、パワーにドライバビリティー、快適性……と、全方位的に進化したという走りを確かめた。
-
トヨタ・スープラRZ(FR/6MT)【試乗記】 2025.10.14 2019年の熱狂がつい先日のことのようだが、5代目「トヨタ・スープラ」が間もなく生産終了を迎える。寂しさはあるものの、最後の最後まできっちり改良の手を入れ、“完成形”に仕上げて送り出すのが今のトヨタらしいところだ。「RZ」の6段MTモデルを試す。
-
BMW R1300GS(6MT)/F900GS(6MT)【試乗記】 2025.10.13 BMWが擁するビッグオフローダー「R1300GS」と「F900GS」に、本領であるオフロードコースで試乗。豪快なジャンプを繰り返し、テールスライドで土ぼこりを巻き上げ、大型アドベンチャーバイクのパイオニアである、BMWの本気に感じ入った。
-
NEW
トヨタ・カローラ クロスGRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】
2025.10.21試乗記「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジに合わせて追加設定された、初のスポーティーグレード「GRスポーツ」に試乗。排気量をアップしたハイブリッドパワートレインや強化されたボディー、そして専用セッティングのリアサスが織りなす走りの印象を報告する。 -
NEW
SUVやミニバンに備わるリアワイパーがセダンに少ないのはなぜ?
2025.10.21あの多田哲哉のクルマQ&ASUVやミニバンではリアウィンドウにワイパーが装着されているのが一般的なのに、セダンでの装着例は非常に少ない。その理由は? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。