ボルボV70オーシャンレースリミテッド(FF/5AT)/ボルボXC70オーシャンレースリミテッド(4WD/5AT)/ボルボXC90オーシャンレースリミテ
青いボルボは海を目指す(前編) 2005.10.28 試乗記 ボルボV70オーシャンレースリミテッド(FF/5AT)/ボルボXC70オーシャンレースリミテッド(4WD/5AT)/ボルボXC90オーシャンレースリミテッド(4WD/5AT) ……495万円/618万円/685万円 「ボルボ」が主催するヨットレースをモチーフにして、海のブルーをイメージした限定モデルが発売された。「V70」「XC70」「XC90」の3車種に設定された「オーシャンレースリミテッド」に、能登半島で試乗した。風雲急を告げる試乗会
空を見上げると、強風であおられた黒雲が高速で流れていく。大型台風は直撃コースにはならなかったものの、羽田空港ではフライトスケジュールのモニターに「canceled」の文字がいくつも表示されていた。試乗会が行われる金沢に向けての便の搭乗がようやく始まったが、「この飛行機は天候によっては途中で引き返す可能性があります」とアナウンスが流れた。しかし、行かねばならない。だって、ボルボの魅力的な限定モデルが待っている……というのはもちろんであるが、もうひとつ秘めた理由があったことを小声で申告しておこう。
多少揺れが大きめではあったが、飛行機は無事に小松空港に到着。翌朝は台風一過で素晴らしい晴天となった。鮮やかなブルーに染まった「オーシャンレースリミテッド」にとって、これ以上ないシチュエーションである。試乗コースには海辺を走る道も用意されていて、波をバックにいい絵が撮れそうだ。しかし、我々はまず海とは反対の方向を目指した。目的地は、「ハニベ岩窟院」である。
大分で行われた「S60 2.4 Sport Edition」の試乗会では、オオサワに頼んで「善徳院」の巨大な合掌門の前で撮影してきてもらった。仏教ファンならば一度は詣でたいと願う、珍寺の聖地である。地面から突き出た金色の手のアーチの前に佇むS60は、凛々しさが20パーセントほど増し、プレミアムが際立っていた。やっぱり、いいクルマには珍寺が似合う。だから、今回も善徳院に勝るとも劣らないスポットを用意して、その前にボルボを置いてみたいと思ったのだ。
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畑の中に巨大な仏像が!
オーシャンレースリミテッドには、3種のモデルがある。「V70」、「XC70」、「XC90」である。このうちV70とXC90の2台を連ねて、憧れの地を目指した。カーナビの指示のとおりに進んでいくと、畑の広がるのどかな田舎の風景が続く。しかし、コーナーを抜けると突如驚くべき光景が出現した。巨大な仏像が地中から立ち上がろうとしている!
肩から上という中途半端なスケールなので、どうしても地下に下半分が埋まっているように見えてしまう。でも、実はこの仏像は建造の途中なのであって、完成すると堂々たる座像になるらしい。未完成であっても、高さ15メートルという常軌を逸した偉丈夫ぶりである。燦然ときらめく釈迦如来の尊顔をバックに、さわやかに青いボルボ2台を並べてみた。狙いどおり、アルカイックな笑みとの対比で、都会的なフォルムがさらに引き立った。撮影する高橋カメラマンも、興奮を隠せないようである。
ハニベというのは、「埴輪を作る人」という意味だとか。初代院主が世界平和を願って大仏建立を思い立ち、現在は二代目が遺志を継いでいるそうである。ただ、初代とは少々方向性を異にしているようで、仏頭の裏山の洞窟にある岩窟院におどろおどろしくもキッチュな「地獄めぐり」なるものをこしらえている。俗世で悪事を働いた報いで陥る恐ろしい地獄のさまが塑像で表現されているのだが、鑑賞眼のない身にはその芸術性を十分に理解できなかったことが悔やまれてならない。また、事前の情報では「ノーパンしゃぶしゃぶ地獄」「毒入りカレー地獄」などというきわめてアクチュアルなテーマを扱った像があるということだったのだが、さる事情で先頃撤去されてしまったのも惜しいことであった。
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「海のパリダカ」を主催
後ろ髪を引かれながら、岩窟院を後にする。ルームミラーに映る巨大な仏陀の頭は、田畑の中で大いなる異物感をみなぎらせている。周囲にはごく普通の民家が建っている。毎朝起きるたびに巨大な異形の像を目にする住人の気持ちはいかばかりのものか。
非日常から現実の世界に戻ることにしよう。能登半島の西側のヘリに沿って北上する。ここで、オーシャンレースリミテッドの概要を見てみることにする。V70、XC70、XC90の3モデルに用意される特別限定車である。3モデルともに大海原をイメージした限定色の「オーシャンブルーパール」を身にまとい、インテリアもブルートーンアルミニウムパネルを装着している。そして、ホイールやシート、ステアリングホイールなどにも特別な装備を用意し、さまざまな豪華オプションを付けてリーズナブルな価格で提供するというものだ。
そもそも、なぜボルボが海なのか。実は、ボルボは「海のパリダカ」と称されるヨットレースの「ボルボ・オーシャンレース」を主催している。およそ8か月にわたって世界を1周するという過酷なもので、「海のF1」たるアメリカズカップと並んでヨットレースの最高峰と目されているのだ。4年に1度開催されるこのレースが今年11月に開幕するのに合わせ、特別仕様車が企画されたということである。
今回試乗したのは、限定モデルであると同時に、さまざまな点で仕様変更が行われた2006年モデルでもあった。主にV70に乗って能登半島を巡ってみた。(後編へつづく)
(文=NAVI鈴木真人/写真=高橋信宏/2005年10月)
・ボルボV70オーシャンレースリミテッド(FF/5AT)/ボルボXC70オーシャンレースリミテッド(4WD/5AT)/ボルボXC90オーシャンレースリミテッド【短評(後編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000017361.html

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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