ヒュンダイ・ソナタ 2.4GLS(FF/4AT)【試乗記】
クルマ界のヨン様に 2005.10.01 試乗記 ヒュンダイ・ソナタ 2.4GLS(FF/4AT) ……236万2500円 韓国で1985年にデビューし、5代目となるヒュンダイの中堅セダン「ソナタ」が日本上陸となった。「ソナタ」は、日本市場で”ヨン様”になれるのか。実は5代目
韓国ドラマ『冬のソナタ』に主演して、本国以上に日本で大人気の俳優ペ・ヨンジュンが、「ヒュンダイ・ソナタ」の日本でのCMキャラクターに起用された。これについて、ヒュンダイモーター・ジャパン広報部のTさんは「あまりにも直球なんですが……」とテレていた。確かに、どうせなら冬にデビューさせたかったくらいの直球勝負だ。
もしかしたら、日本でのドラマ人気に乗じてクルマの日本名を「ソナタ」にしたんじゃないかと思う人がいるかもしれないが、ソナタは1985年に既にこの名前でデビューしたヒュンダイの代表的車種。5代目となるこのモデルは、日本以外では昨年売り出され、韓国のみならず、北米市場で「トヨタ・カムリ」や「ホンダ・アコード」と販売台数でしのぎを削っている。日本には今回初めて導入された。
世界販売台数が約318万台で第8位(2004年)と、すでに一大勢力となったヒュンダイ。日本市場ではコンパクトカーの「TB」、2リッター級セダンの「エラントラ」、2.5〜3リッター級セダンの「XG」、SUVの「JM」、それに「ヒュンダイ・クーペ」を導入している。
新しくラインナップに追加されたソナタは、エラントラとXGの間を埋めるセダンとなるが、中間というにはボディサイズも2.4リッターという排気量も少し大きい。これではXGとかぶるんじゃないかと心配したが、XGはまもなく「グレンジャー」という名前になって、少し上級移行(3.3リッターV6エンジンを搭載)するため、このサイズでちょうどいいのだという。
高い安心感
ひととおりのレクチャーを説明会場で受けた後、外に停車するソナタをまじまじと眺めてみた。
うーん、いつかどこかで見たような……というのが第一印象。盛り上がるのではなく中央が少しえぐれた形状のボンネットなど、細かく見ると個性的な部分もある。しかし、全体を眺めると、具体的車種は思い浮かばないが、既視感が拭えない。
内装はひとことで言えば、シック。「GL」「GLS」の2種があるが、廉価版のGLは受注生産なので量販グレードはGLSになるだろう。試乗したのは、さらに17インチホイール、サンルーフなどを装着した「Lパッケージ」だが、基本的な構成はかわらない。内装がグレーのツートーンということもあり、質感は悪くないが、少々地味。外装色によってはベージュとウッドの内装もあるが、見る機会を逸した。カタログを見る限り、そっちの方が華やか。
ソナタは世界中で1台でも多く売りたい車種で、決して今はやりのプレミアムカーではないから、“奇抜”と紙一重の“個性”とか“華やかさ”は必要ないのかもしれない。そんなことを思いつつエンジンをかけて走り出した。
ダイムラー・クライスラー、三菱、ヒュンダイの3社が共同開発した、全グレード共通の2.4リッター4気筒エンジンは、特別存在を主張するような性格ではなく、実直にクルマを前へ押し出す。ただ最近は4気筒だからといってサウンドやフィーリングについて言い訳できないほどエンジンが進化している。ソナタのエンジンは、全域にわたって、もう少しスムーズで静かであってほしい。もうすぐ出る「三菱アウトランダー」にもこのエンジンが搭載されるはず。
ATが4段なのは、実用上はともかく商品の訴求力という面で辛い。ハンドリングはスポーティとは無縁だが、どんなコーナリングを試みてもアンダーステアを保つようにしつけられ、安心感が高い。
存在の主張が足りない
いろいろ書いたが、実用上、ソナタで困るシチュエーションなど想像できない。ソナタで峠を攻めようという人はいないし、ソナタでモテようと思って買う人もいない……、とはいわないが多くはないだろう。ソナタはヒュンダイが目指したであろう通りに、日常的シチュエーションで過不足なく働く、至極まっとうなセダンといえる。
しかし、惜しむらくは、その手のまっとうなセダンは日本にはあまた存在するということ。言い尽くされたことだが、日本における輸入車の存在意義は“よくできた国産車”にはない、何か突出したポイントにあるはずだ。グローバリゼーションが進む時代にそれでいいかどうかは別にして。だとしたら“よくできた国産車並みによくできたソナタ”が日本市場で存在を主張するには、何かもうひとつ、ヒュンダイにしかない魅力が求められるのではないだろうか。
ヨン様は、一見その辺にいるようなただの兄ちゃんに見えて、ある年齢層の女性をして「彼じゃなきゃイヤ」と言わしめる“何か”を備えている。ここはひとつ、ヒュンダイは彼をCMキャラクターのみならず、日本仕様開発のスーパーバイザーに起用してはどうだろうか。とマジメに思った。「このクルマじゃなきゃイヤ」と言わしめるように。
(文=NAVI塩見智/写真=河野敦樹/2005年9月)

塩見 智
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