トヨタ・マークXの「ライバル車はコレ」【ライバル車はコレ】
プレミアムサルーン対決 2005.07.14 試乗記 トヨタ・マークXのライバル車はコレ 長く伝統のある歴史に終止符を打ち、「マークII」より生まれ変わった「マークX」。自動車ジャーナリストの河村康彦が、そのライバル車2車種と比較した。トヨタ・マークX(3リッター= 323万4000円から384万3000円)
「古臭いイメージが漂う『マークII』の名前はもうヤメにして貰いたい」――あろう事か、全国の販売店から沸き起こったというそんな声に応えるカタチで、36年間に及んだ伝統のネーミングをついに改めたのがこのモデル。もっともそうは言っても“マーク”というフレーズを残したところに「せっかくの歴史を捨てられない」という未練もちょっぴり感じられる。
いずれにしても、マークIIシリーズの実質的な10代目モデルというキャラクターの持ち主がこのクルマだ。
フロントのオーバーハングを切り詰める一方で、前輪後方部分とドアとの間に“間合い”のスペースを設け、「FRならではのルックス」を演じようというのが、このクルマのプロポーション上のひとつの特徴。
ボディの前後端だけでなく、ホイールベース間での平面絞りを強く行い、プランビュー(俯瞰)で“骨格美人”をアピールするのも、これまでのマークIIには見られなかった取り組みだ。フロントフードがこんもりと盛り上がって感じられるのは、そこに当節話題の歩行者保護構造という要素も盛り込まれているからだ。
そんな単一のセダンボディに搭載されるのは、2.5もしくは3リッターのV型6気筒エンジン。歴代マークIIがセールスの核としてきた2リッターモデルが存在しないのは驚きだが、そこはトヨタだけに抜け目のない戦略を展開。
すなわち、このクルマの場合、「従来型2リッターの価格で、新型2.5リッターを手に入れられる」というのが開発初期から課せられた重要な必須条件との事。なるほど、パワーパックをはじめとする多くのメカニカル・コンポーネンツに、新型クラウンとの共用アイテムが用いられているにもかかわらず、マークXの価格はクラウンのそれよりも、ひと声80万円から100万円ほども安いのである!
【ライバル車 その1】日産ティアナ(3.5リッター=340万2000円)
■温かみのある高級セダン
マークXも買い得感の高いモデルながら、それに負けじと頑張るのがライバル日産のティアナ。3.5リッターエンジンを搭載しながらおよそ340万円という価格は、3リッターエンジン搭載のマークXのシリーズ中間帯にしっかり食い込むもの。ベーシックモデルでは、V型6気筒の2.3リッターエンジンを搭載と、ラインナップ中の排気量の差幅が、マークXよりもずっと大きいというのがティアナのひとつの特徴だ。『モダン・リビングの感覚』が売りのティアナのインテリアの雰囲気は、確かにマークXのそれとは見事なまでに異なる。比べると、より温かみを感じられるのがティアナのインテリア。
一方でマークXのそれは、ワイドTVのようなデザインのセンターパネル部などからよりクールな印象が強く漂う。
ただし、どちらにも共通して言えてしまうのは、「安っぽい部分はちょっとびっくりするくらいに安っぽい」という事実。ティアナの大きな売りである木目調パネルは、それが大面積で用いられている事もあって「本木目ではなくイミテーションの素材を使用中…」とその“調”の部分が目立ってしまうし、マークXはと言えば、ロック解除の途端にカパンと開くルーフコンソールのサングラス・ケースなどが、アリエナイという印象。そもそもマークXの場合、この期に及んでトランクオープナーがワイナー式(!)というのにもびっくり。そこまでしてコストダウンをやりたいものなのか?(やりたいんだろう…)。
走りの点では、トラクション能力の不足感やフル加速時のステアリングフィールなどに、“大排気量エンジン+前輪駆動”という図式の限界が見え隠れしてしまうのがティアナのウイークポイント。かと言って2.3リッターモデルの走りはやはり迫力不足。というわけで今のティアナに欲しいのは、2.7〜3リッター程度のエンジン設定か。
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【ライバル車 その2】日産スカイライン(2.5リッター=262万5000円から278万2000円)
■並のセダンとは一線を画する
FRという記号性に拘るならば、同じ日産車でもクローズアップされるのはスカイライン。ただし、デビュー後それなりの時間が経過しているだけに、マークXに比べると、存在感がより希薄な印象も。個人タクシー御用達(?)のスタイリングからも、今ひとつスポーツセダンらしい躍動感を受け取りにくいもの。
全くのブランニュー・モデルとして開発されたクルマに、歴史的なブランドである『スカイライン』のネーミングを与えるという戦略は、やはり少々ムリムリだったか…。
そうは言っても、その開発には並々ならぬエネルギーが注ぎ込まれたモデルであるだけに、クルマ自体の完成度はすこぶる高い。BMW車同様、前後重量配分の最適化に拘った“フロント・ミッド・レイアウト”の採用で、その走りの感覚は、確かに並のセダンとは一線を画する事を走り出すと即座に実感出来る。
パワーパックを可能な限り後ろ寄り搭載とした、そんなレイアウトを採用しながら、リアの居住空間とトランクスペースを、想像以上に稼いでいる点も見所。
なるほど、これならば“個人営業車”のオーナーにも人気者になりそうと納得。となると、やっぱりいよいよ惜しいのはそのルックスとなりそうで…。
乗り心地のしなやかさでもトラクション能力でも最新のマークXに負けないスカイラインだが、2.5リッターモデル同士だと動力性能はマークXが有利。エンジン出力にも車両重量にも大差はないものの、いまだ4段に留まるATが、6段ATという敵の最新アイテムに完敗だ。
(文=河村康彦/2005年7月)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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