BMW330i セダン M-Sport(5MT)【ブリーフテスト】
BMW330i M-Sport(5MT) 2001.02.19 試乗記 ……643.5万円 総合評価……★★★★★M2.5
M3(クーペ)のココロイキとセダンの実用性を兼ね備えた330i(MT仕様)の出現を、ワタクシ道田宣和は歓迎し、勝手ながらここに「M2.5」と命名する。もしかしたら325iや320iだってそれなりにいいのかもしれないが、あいにく現状で「直6+マニュアル」の組み合わせは330iだけ。本格的なスポーツセダンを名乗る以上、そしてもともと素性のいいBMWだからこそ、MTトランスミッションは欠かせないポイントだ。少数ながら、熱狂的なBMWファンの声がようやくにして届いたのである。
ボディは家族持ちにも便利な4枚ドア。一夜ステアリングを預けた『Car Graphic』のスタッフは、出社して来るなり、「ほとんど理想に近い」と感嘆の声を上げた。
そう、このクルマを本当に欲しがっているのは、われわれモータージャーナリスト自身なのかもしれない。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
BMW各車に共通するキーワードは「スポーツセダン」。たとえそれがクーペであってもカブリオレであっても、セダンを基本にする以上、意味合いは同じである。なかでも代表格となるのが同社最大の量販モデルであり、かつコンパクトなボディをもつ3シリーズだ。現行のE46型は、1998年3月にジュネーヴショーでデビューした。以来、今日に至るまでクーペ、カブリオレ、ツーリング(ワゴン)、そして究極のスポーツモデルたるM3(クーペ)と次々バリエーションを増やしてきた。新型M3の日本導入はまだだが、残るは事実上、2001年内に投入が予定されているニュー「ti」ことハッチバックモデルのみである。
(グレード概要)
理想は理想に終わるのが世の習い。どうせ乗るならM3のパワーが憧れだが、730.0万円(E36型/生産終了)から786.0万円(E46型/入荷待ち)という価格はやはり高嶺の花。「実用車は4ドアでなくちゃ」というオトーサンの信条にも反する。かといってオートマチックしかないセダンの6気筒ではイマイチかったるい。しかし、待てば海路の日和ありだ。そんな欲張りなドライバーにもドンピシャの車が現れた。エンジンはノーマル系最強の3リッター231ps、初めて設定されたMT(ただし、M3と異なり5段)を選べば、自動的に車高がノーマルモデルより15mm低い「M-Sportパッケージ」となり、“中年暴走族”の理想形に限りなく近づく。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
オートマチック(5段AT)には右ハンドルも用意されるが、マニュアルは左ハンドルだけ。画竜点睛を欠くともいえるが、9割方の望みは叶えられたのだからもうこれ以上、「ないものねだり」はすまい。これまでモデルごとに各種使い分けられてきたダッシュボードのアクセントパネルには、新たにカーボン調の素材が試されているが、全体にゴチャゴチャした印象は払拭できていない。メモリー付きパワーシートなど、装備は豊富である。
(前席)……★★★★
もともと低めのドライビングポジションが、サスのローダウンでさらに強調される。雰囲気充分。乗降性など、実用面の犠牲も少ない。ヘッドクリアランスは確保される。オプションのフルレザー・スポーツシートはヒーター付きの豪華さ。見るからに上質でサポートに優れ、快適である。
(後席)……★★★
スペースは標準的。さほど広いわけではない。しかし、意外に居心地は悪くない。前席より相対的に着座位置が高く、閉所恐怖感を免れているほか、走行中はロードノイズや風切り音が前席より低め。
(荷室)……★★★
「フラットなフロア」「バンパーレベルから開くリッド」「集中ロックでの開閉」「トランクスルー」とひととおりの持ちワザはあるが、容量自体は平凡。tiと比べると、独立したトランクの存在によりピタリ50:50の前後重量配分を実現したことや、後突への安心感がメリットになる。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
BMWストレート6ならではの「シルキースムーズ」は、いまも健在。駆動系の洗練度は依然他の追随を許さない。回すにつれ官能的になるところは、ドライビングファンの極みといえる。絶対的なパワーは新旧のM3に対して100ps前後及ばないが、一般的には充分以上。なかでもトルクは排気量相応で、新型M3との対比でも8割以上を確保する。低速ギアでは6300rpmのリミットまでアッという間に吹けるが、ちょうど100km/hでバトンタッチされてからのサードは文字どおり底なしの伸びで、ドライバーを愉しませてくれる。1速と2速に僅かな引っかかりが認められるものの、全体としては素早い操作にも対応、ギアチェンジそのものが悦びとなる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
スポーツサスペンションとロープロファイルタイヤのため、さすがに低速では硬さを感じるが(特に前席で)、不快さとは無縁。むしろ高速でのロードホールディングの良さとフラットさが光る。ステアリングは当初頼りないくらいの軽さだが、飛ばすと理想的な保舵力と操舵力に。しっとりとしかもシャープな切れ味は機械の域を超えて、生き物のよう。そう、330iは機械の集合体というよりもそれぞれが互いに関連し、アシストし、より一層の高みに導く有機体なのである。ブレーキも優秀。制動力、バランスとも文句ない。
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:二玄社別冊単行本編集室 道田宣和
テスト日:2001年1月19日から23日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:9845km
タイヤ:(前)225/45ZR17/(後)245/40ZR17(いずれもContinental ContiSport Contact)
オプション装備:電動ガラスサンルーフ(13.0万円)/シートヒーター付きフルレザートリム(25.0万円)/電動リアブラインド(3.5万円)/ナビゲーション&コミュニケーションパッケージ(40.0万円)/メタリックペイント(7.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(5):高速道路(4):山岳路(1)
テスト距離:624.0km
使用燃料:74.3リッター
参考燃費:8.4km/リッター

道田 宣和
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