プレミオ1.8X“Lパッケージ”/アリオンA20“Sパッケージ”/カルディナZ“S-edition”【試乗速報】
「走り」より、魅力的なものって? 2005.02.05 試乗記 プレミオ1.8X“Lパッケージ”/アリオンA20“Sパッケージ”/カルディナZ“S-edition” ……241万7100円/263万2350円/243万6000円 ミディアムサイズのセダンとワゴン、「プレミオ/アリオン」と「カルディナ」がマイナーチェンジを受けた。厳しい状況の続くセグメントに、トヨタはいかなる策を用意したのか。『NAVI』編集委員鈴木真人が、速報インプレッションをお届けする。トヨタの「走り」が変わった時期
「プレミオ/アリオン」は、2001年12月にデビュー。プラットフォームを同じくする「カルディナ」は、2002年9月に販売が開始された。その頃は、トヨタの各モデルが「走り」の質を飛躍的にアップさせていた時期だった。正直なところ、トヨタのこういったクルマには「走り」の部分はあまり期待していなかったので、試乗するたびに驚きがあったのを覚えている。
クルマの根幹となる部分に力を入れることで、魅力的なモデルに仕上がったのだが、残念ながらこういったミディアムサイズのセダン/ワゴンの市場は、あまり活発とはいえない状況が続いている。今回のモデルチェンジにあたって示された月販目標台数も、プレミオ/アリオンが各3000台、カルディナが2000台と、控えめな数字となっている。
プレミオ/アリオンには「高級感」を
プレミオ/アリオンは、伝統ある車名の「コロナ/カリーナ」を継ぐモデルとして誕生した。5ナンバーサイズは堅持しつつ、車内空間を広くしてユーティリティを充実させたのがウリである。リアシートはリクライニングするし、フロントシートをフルフラットにすることも可能だ。ミニバンの便利さに慣れてしまった人をセダンに呼び戻すためには、このぐらいの機能は不可欠というわけだ。
今回のマイナーチェンジでは、内外装のデザイン変更が主な変更点である。フロントバンパー、グリル、ヘッドランプ、リアコンビネーションランプなどの意匠を変え、プレミオはエレガント指向、アリオンはスポーティ指向という方向性の差を明確にしたという。
ただ、内装ではブラックのパネルが使われていたアリオンにも、プレミオと同様の「木目調」が採用され、むしろ差異は小さくなったように感じられる。販売に効くのはやはり「高級感」ということで、日本人の感性に響く木目をふんだんに使うことになったのだろうか。ATのシフトゲートがストレートからゲート式に改められたのも同じ文脈からだが、シルバーのパネルの質感があまりに安っぽいものだったのは残念だった。
試乗したのは、1.8リッターエンジンに4段ATのSuper ECTを組み合わせた「プレミオ1.8X“Lパッケージ”」と2リッターエンジンにCVTを組み合わせた「アリオンA20“Sパッケージ”」で、ともにFFモデルだった。ともに実用域での使いやすさは申し分なく、静粛性も高い水準だ。ただ、ちょっとスポーティな走りを試みると、やや興醒めなエンジン音が室内を席巻する。1.8リッターで動力性能は十分だが、CVTの恩恵か2リッターでも燃費にさほど差がないのは立派である。足まわりではダンパーの減衰力を変更することで、より乗り心地を重視する設定にしたそうだ。
カルディナはスポーティ+「上質感」
カルディナがデビューした時には、実用ワゴン然とした先代と打って変わってスポーティイメージを打ち出したことに目を見張ったものである。特に「ターボ+4WD」のモデルは山道でも目覚ましい能力を発揮し、「スバル・レガシィ」の牙城を崩すことが期待されていたはずである。しかし、スバリストとは頑固な気質を備えた人々なのだ。
カルディナの変更点も、内外装が中心だ。ヘッドランプ、グリル、リアコンビネーションランプなどのデザインを変え、スポーティなイメージに「上質感」をプラスすることを目指したという。明るめのカラーを採用したプレミオ/アリオンとは逆に、インストゥルメントパネルやシートの色をダークにすることで、質感の向上を図っている。
エンジンバリエーションは、1.8リッターと2リッターの自然吸気、2リッターターボの3種類。2リッターと2リッターターボには四駆モデルも用意される。乗ったのは1.8リッターのFFモデルで、組み合わされるのは4段ATのSuper ECTである。リアサスペンションメンバーを補強して操縦性を向上させたと謳われるが、街中だけの試乗ではその効果までは体感できなかった。
高級感、上質感が、この3台のモデルチェンジのキーワードになっている。確かに、購入の動機としては、そういった要素が大きな意味を持つのだろう。「走り」の実力も備えたモデルだけに、見た目の要素ばかりが強調されるのはもったいない気もするが、それも商品の魅力の一つではある。まだまだこのセグメントのマーケットに明るさは見えないが、真面目なクルマ作りを続けていれば必ず日のあたる時は来る、と信じたい。
(文=NAVI鈴木真人/写真=高橋信宏/2005年2月)
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鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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