トヨタ・マークX300Gプレミアム(6AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・マークX300Gプレミアム(6AT) 2004.12.23 試乗記 ……392万1750円 総合評価……★★★ 2004年11月9日にフルモデルチェンジした「トヨタ・マークX」の最上級グレードたる「3.0Gプレミアム」。「クラウン」と同じ心臓を持つ俊足モデルに、『NAVI』編集委員の鈴木真人が乗った。大命題を担ったクルマ
リアエンドにくっきりと段差をつけた造形を配し、サイドからフロントにかけても意識して立体的な面を浮かび上がらせている。最近のトヨタ車でおなじみとなった、メリハリのあるデザインが「マークX」にも取り入れられている。加えて三つ目ランプのテーマがフロントとリアに反復され、ちょっと悪そうな迫力を生み出している。「チェイサー」「クレスタ」と3兄弟を名乗っていた頃の平板な表情からは、まったく別な生き物へと進化したようだ。
クラウンと同じシャシーとエンジンでというのは確かにウリになるのだが、どうやって差別化を図るかがトヨタにとっては課題となる。欧州セダンに伍して恥じないことを大命題とし、日本でのセダン不人気をどう打開していくか。大きな責務を担って登場したクルマなのだ。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
デビューは1968年で、「コロナ・マークII」として誕生した。その後「コロナ」がとれて「マークII」となり、10代目となった今回のフルモデルチェンジで「マークX」と名を改めた。9代目は「プログレ」をベースにしていたが、「マークX」はクラウンと同じアーキテクチャーを採用する。2850mmのホイールベースやエンジン縦置き/後輪駆動、前ダブルウィッシュボーン/後マルチリンクという構成は同じ。それでいて、全長×全幅=4730×1775mmというディメンションは、それぞれ110mmと5mmちいさい。エンジンはV6 2.5/3リッターの4GR-FSE/3GR-FSE型と、チューンまで含めてこれもまったく同一。バリエーションはシンプルで、250G、同Four(4WD)、300G、同プレミアムの4種。あとはそれぞれに「Fパッケージ」「Lパッケージ」「Sパッケージ」が適宜組み合わされる。
(グレード概要)
テスト車は、3リッターエンジンを搭載し、各種豪華装備&安全装備が標準となる最上級グレード。VSC&TRC(ヒルスタートアシストコントロール付き)、インテリジェントAFS付きディスチャージドヘッドランプ、スマートエントリー&スタートシステム、SRSサイドエアバッグ(運転席・助手席)&SRSカーテンシールドエアバッグ(前後席)などが備わる。シートはスエード調トリコット、ステアリングホイールは本革巻き+木目調となり、天井大型イルミネーションも標準装備だ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
木目調パネルは相変わらずトヨタの得意分野で、高級感を醸し出す仕上がりだ。大型モニターのまわりとオーディオコントローラーのカバーにはメタル調の素材が使われ、この組み合わせは若返りを意識しているため年配層には少々気恥ずかしく感じられるかもしれない。ナビ、オーディオ、エアコンなどの操作スイッチは、目新しさがない代わりに使いやすさには熟成されたものがある。エアコンのセンター吹き出し口にはプラズマクラスターのインジケーターがあり、自動的に除菌を行っていることを示している。
(前席)……★★★
座っての印象は、「さあ、やるぞ!」という威勢のいい姿勢ではなく、少し偉くなったようなゆったりした気分。大きめのシートには肌触りのいい素材が使われており、グリップ性よりも快適性を重視した作り。運転席、助手席ともに、クッション長の調整もできるのはありがたい。
(後席)……★★★
天井大型イルミネーションの恩恵を受けられるのは、むしろ後席。広さは十分で、ゆったりとした姿勢でくつろぐことができる。座り心地は少々硬め。センタートンネルもあることだし、カップホルダー付きのアームレストを引き出して、4人乗車を基本と考えたい。
(荷室)……★★
開口部はあまり広くないので、ゴルフクラブなどの長尺ものを積むには多少工夫がいる。しかし、クラブ4セットを収納できると謳うとおり、奥行きはかなりのもの。リアシートは6:4の分割可倒式なので、荷室の拡張も可能。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
車両重量は、同じエンジンを搭載するクラウン3.0アスリートよりも70kgも軽い。だから、最高出力256ps/6200rpm、最大トルク32.0kgm/3600rpmという数値は十分以上のものである。ただ、加速感は暴力的なものではなく、マイルドなフィール。Dレンジにして放っておくとどんどんシフトアップしていってしまうので、スポーティな走りをしたい時にはマニュアルモードに切り替えることが必須。その際もインパネに表示されるのは選択されているギアではなく、そのときとりうる最大値が示されるだけなので、山道で汗をかくよりは高速道路をハイペースでクルージングするほうが得意だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
16インチホイールで扁平率が60のコンフォート系タイヤを履き、「インチアップ・インフレ」がエスカレートする現在のセダン界では相当おとなしめな構えだ。そのおかげで、高速での乗り心地はとても滑らかなものだった。ことによると、クラウンよりもマイルドかもしれない。その代わり、コーナリングでがんばろうという気にはあまりさせない。やはり柔らかいタイヤを介して路面とつながっているという感じは伝わってきて、ダイレクト感は乏しい。ただし、操縦性はとても素直で、FRの美点が感じとれる。
(写真=高橋信宏/2004年12月)
【テストデータ】
報告者:鈴木真人(NAVI編集委員)
テスト日:2004年11月18〜22日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:1179km
タイヤ:(前)215/60R16 95H(後)同じ(トーヨーPROXES J33)
オプション装備:G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付EMV/インテリジェントパーキングアシスト/有料道路自動料金支払いシステムETCユニット(37万2750円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(1):高速道路(8):山岳路(1)
テスト距離:545km
使用燃料:61.4リッター
参考燃費:8.9km/リッター

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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