トヨタ・アイシスL 1.8(4AT)【ブリーフテスト(後編)】
トヨタ・アイシスL 1.8(4AT)(後編) 2004.10.30 試乗記 ……231万1050円 総合評価……★★★★ 間口1890mmの「パノラマオープンドア」が特徴の「トヨタ・アイシス」。別冊CG編集室の道田宣和がいう“スポーツカー!?”とは。ベーシックな1.8リッター「L」グレードの試乗記、その乗り心地、ハンドリング編。【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
動力性能はごく平均的。実用にはまずまずだが、同じトヨタのクルマでも最新のパワートレイン、すなわち「アイシス」の2リッターモデルや「ヴォクシー」あたりの「ストイキD-4+CVT」あたりと比べると正直言ってやや古臭いし、扱いやすさの点でも見劣りする。
エンジンは6500rpmまでの守備範囲のうち、4000rpm弱から思い出したように力が湧くタイプで、かといってそのわりに長くは続かず、6000rpmが事実上の上限だ。
こうした非力なクルマにはやはり有段式のATより無段変速機の方が相応しい。例えば、メーター読みの100km/h(実速96.8km/hだった)はD(4速)で2200rpm、3速では3300rpmとかなりのギャップがあることが判明。当然シフトアップの前と後とで明確な加速の違いがあるし、シフトショックもそれなりに認められるが、これがCVTであったなら、まして最新式のシーケンシャル式7段固定レシオ付きなら、常時リニアでスムーズな加速が得られるはずだからだ。
回すとエンジン音がかなり高まるが、ノイズレベル自体はどの席でも概して均一で、ロードノイズも比較的低く抑えられている。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
「前編」で述べた“チグハグ感”をもっとも象徴しているのがステアリングである。チルトを駆使して高めにセットしてもまだ低めなうえに、見るからに径が小さめ。錯覚かと思って測ってみたら、なんとスポーツカー並みの365φだった。
ロック・トゥ・ロックは3.5回転でごく普通だが、当然ながらクイックに感じられてしまう。高速では時としてこれが若干過敏と感じられ、状況によってはストレートでも気を遣わせられることがあった。ファミリーカーとしてはすこしダルなくらいな方がノンビリできていいはずだ。
その代わりに、コーナリングでは一瞬メーターの針を疑いたくなるほどハイペースでスンナリと安定して回れてしまうのも事実である(メーター誤差は上述のとおり常識の範囲内)。タイヤ自体はそこそこスキール音を発するものの、シャシーのポテンシャルは意外に高いのだ。乗り心地も悪くない。ハーシュネスの類や姿勢変化がすくなく、ゆったりと鷹揚なところに好感が持てる。しかも、この乗り心地をどの席でもほぼ平等に愉しめるのがいい。
(写真=峰昌宏/2004年10月)
【テストデータ】
報告者:道田宣和(別冊CG編集室)
テスト日:2004年10月6日-10月8日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:1217km
タイヤ:(前)195/65R15 94S(後)同じ(いずれもグッドイヤーGT065A)
オプション装備:SRSサイドエアバッグ&フロントシート&SRSカーテンシールドエアバッグ(フロント・セカンドシート)(8万9250円)/アイシス・ライブサウンドシステム(G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーション)(31万2900円)/ETCユニット(1万8900円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(6):高速道路(4)
テスト距離:323.6km
使用燃料:32.82リッター
参考燃費:9.9km/リッター
トヨタ・アイシスL 1.8(4AT)【ブリーフテスト(前編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000015873.html
トヨタ・アイシスL 1.8(4AT)【ブリーフテスト(中編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000015875.html

道田 宣和
-
BMW M235 xDriveグランクーペ(4WD/7AT)【試乗記】 2025.9.15 フルモデルチェンジによってF74の開発コードを得た新型「BMW 2シリーズ グランクーペ」。ラインナップのなかでハイパフォーマンスモデルに位置づけられる「M235 xDrive」を郊外に連れ出し、アップデートされた第2世代の仕上がりと、その走りを確かめた。
-
スズキ・アルト ハイブリッドX(FF/CVT)【試乗記】 2025.9.13 「スズキ・アルト」のマイナーチェンジモデルが登場。前後のバンパーデザインなどの目に見える部分はもちろんのこと、見えないところも大きく変えてくるのが最新のスズキ流アップデートだ。最上級グレード「ハイブリッドX」の仕上がりをリポートする。
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”【試乗記】 2025.9.12 レースやラリーで鍛えられた4WDスポーツ「トヨタGRヤリス」が、2025年モデルに進化。強化されたシャシーや新しいパワートレイン制御、新設定のエアロパーツは、その走りにどのような変化をもたらしたのか? クローズドコースで遠慮なく確かめた。
-
トヨタ・カローラ クロスZ(4WD/CVT)【試乗記】 2025.9.10 「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジモデルが登場。一目で分かるのはデザイン変更だが、真に注目すべきはその乗り味の進化だ。特に初期型オーナーは「まさかここまで」と驚くに違いない。最上級グレード「Z」の4WDモデルを試す。
-
ホンダ・レブル250 SエディションE-Clutch(6MT)【レビュー】 2025.9.9 クラッチ操作はバイクにお任せ! ホンダ自慢の「E-Clutch」を搭載した「レブル250」に試乗。和製クルーザーの不動の人気モデルは、先進の自動クラッチシステムを得て、どんなマシンに進化したのか? まさに「鬼に金棒」な一台の走りを報告する。
-
NEW
スズキeビターラ
2025.9.17画像・写真スズキの電動化戦略の嚆矢(こうし)となる、新型電気自動車(BEV)「eビターラ」。小柄でありながら力強いデザインが特徴で、またBセグメントのBEVとしては貴重な4WDの設定もポイントだ。日本発表会の会場から、その詳細な姿を写真で紹介する。 -
NEW
第844回:「ホンダらしさ」はここで生まれる ホンダの四輪開発拠点を見学
2025.9.17エディターから一言栃木県にあるホンダの四輪開発センターに潜入。屋内全天候型全方位衝突実験施設と四輪ダイナミクス性能評価用のドライビングシミュレーターで、現代の自動車開発の最先端と、ホンダらしいクルマが生まれる現場を体験した。 -
NEW
アウディSQ6 e-tron(4WD)【試乗記】
2025.9.17試乗記最高出力517PSの、電気で走るハイパフォーマンスSUV「アウディSQ6 e-tron」に試乗。電気自動車(BEV)版のアウディSモデルは、どのようなマシンに仕上がっており、また既存のSとはどう違うのか? 電動時代の高性能スポーツモデルの在り方に思いをはせた。 -
NEW
第85回:ステランティスの3兄弟を総括する(その3) ―「ジープ・アベンジャー」にただよう“コレジャナイ感”の正体―
2025.9.17カーデザイン曼荼羅ステランティスの将来を占う、コンパクトSUV 3兄弟のデザインを大考察! 最終回のお題は「ジープ・アベンジャー」だ。3兄弟のなかでもとくに影が薄いと言わざるを得ない一台だが、それはなぜか? ただよう“コレジャナイ感”の正体とは? 有識者と考えた。 -
NEW
トランプも真っ青の最高税率40% 日本に輸入車関税があった時代
2025.9.17デイリーコラムトランプ大統領の就任以来、世間を騒がせている関税だが、かつては日本も輸入車に関税を課していた。しかも小型車では最高40%という高い税率だったのだ。当時の具体的な車両価格や輸入車関税撤廃(1978年)までの一連を紹介する。 -
内燃機関を持たないEVに必要な「冷やす技術」とは何か?
2025.9.16あの多田哲哉のクルマQ&Aエンジンが搭載されていない電気自動車でも、冷却のメカニズムが必要なのはなぜか? どんなところをどのような仕組みで冷やすのか、元トヨタのエンジニアである多田哲哉さんに聞いた。