ルノー・ルーテシア ルノースポール2.0キットスポール装着車(5MT)【試乗記】
日常を忘れられるクルマ 2004.06.23 試乗記 ルノー・ルーテシア ルノースポール2.0キットスポール装着車(5MT) ……288万7500円 「ルノー・ルーテシア」のホットモデルである「ルノースポール2.0」を、さらにスポーティにするキットが登場。30台分しか用意されないという、そのキット装着車に、自動車ジャーナリストの生方聡が、富士スピードウェイショートコースで試乗した。30台のために
レースやイベントの取材でサーキットを訪れる機会はすくなくないが、自分で走るのはもう1年以上もご無沙汰である。先日も、とある走行会に参加するはずだったのに、急遽決まったイタリア行きでキャンセル! 「走りたいよう」と思っていた矢先に舞い込んできたのが、今回の試乗会である。
会場として指定されたのは富士スピードウェイのショートコースだ。本コースは現在工事中で、リニューアルオープンは2005年だが、全長880mのショートコースはこの2004年4月から営業を始めている。
試乗するのは、「ルノー・ルーテシア ルノースポール2.0キットスポール装着車」。名前は長いが、要するに、「ルーテシア ルノースポール2.0」に「キットスポール」なるパーツを組み込んだクルマなのである。
キットスポールは、オリジナルチタンマフラーとOZレーシング製16インチアルミホイール「スーパーレッジェーラ-1」、エルフの100%化学合成油「EXCELLIUM F1」が含まれ、さらに、ルノーF1チームのフェルナンド・アロンソとヤルノ・トゥルーリのサイン入りキャップがおまけに付くという貴重なもの。価格はというと、6月1日以降、ルーテシア ルノースポール2.0を購入した方30名にプレゼント! つまり無料である(ただし、パーツの装着は実費負担となる)。
それにしても30台のために試乗会を開くとは、ルノージャポンもなかなかやるじゃないか。
乾いたサウンド
さっそく試乗する。試乗車はナンバー付きのノーマル車で、とくにサーキットを走るための装備が施されているわけではなく、シートベルトも標準の3点式がそのまま付いている。まさに日頃乗っているクルマで走行会にやってきた……というノリである。
しかし、最高出力169ps、最大トルク20.4kgmの2リッター直列4気筒DOHCユニットに火を入れれば、オリジナルのチタンマフラーが太めのサウンドを放ち始める。
そしてスタート。まずはコースを確認するためにペースを抑えながら走るが、もっとアクセルペダルを踏めといわんばかりに、エグゾーストからの乾いたサウンドがキャビンに響きわたる。
最終コーナーを抜けたところで、アクセルペダルを全開にした。約330mのメインストレートは5%の下り勾配のため、思いのほかスピードがのっていく。圧倒的な速さはないものの、4000rpmを超えたあたりからの力強さは車両重量の比較的軽いこのクルマをストレスなく加速させるから、実に気持ちがいい。3速が吹けきったところでブレーキング、ちょっとオーバースピードでコーナーに侵入してしまったが、なんとかコース上にとどまることができた。
安心して楽しめる
比較的Rの小さいコーナーが続くセクションでは、丁寧にブレーキングしてステアリングを操作するとクルマは面白いようにノーズをインに向ける。レーシングカーではないから、それなりにロールを許すが、安定感があって、限界もつかみやすい。うっかりコーナー途中でアクセルペダルに載せた右足に力を入れると、アンダーステアが顔を出すから、コーナーの出口にさしかかるまではガマン、ガマン。反対に、タックインを利用すれば強引に向きを変えることができるわけで、コースに慣れてくれば、右足とステアリング操作で、意のままにクルマを操れるようになる。そうなると、俄然コーナーが楽しくなる。
途中5分ほどピットストップの時間があったものの、約20分の走行時間はあっというまに過ぎた。その間、ブレーキが音を上げることもなく、安心してサーキット走行が楽しめるとは、ルノースポールの名を与えられているだけのことはある。
そんな実力のルノー・ルーテシア ルノースポール2.0は、サーキットまで行かなくても、たまの休みにワインディングロードへ向かうには格好のクルマかもしれない。日常を脱出するための手段として、278万2500円のプライスタグは、決して高くないと思った。
(文=生方聡/写真=清水健太/2004年6月)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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