ルノー・ルーテシア ルノースポール シャシーカップ(FF/6AT)
掛け値なしに楽しい 2017.07.14 試乗記 ルノーのホットハッチ「ルーテシア ルノースポール(R.S.)」がマイナーチェンジを受けて登場。昨今話題の最新の運転支援システムは搭載されていない。しかし、それを補ってなお余りあるほどの、“プリミティブ”な運転する楽しさにあふれていた。記憶に刻み込まれるドライビングフィール
マイナーチェンジしたルノー・ルーテシアR.S.。こんなにしみじみ楽しいと思わせてくれたクルマに乗ったのは久しぶりだ。いいクルマはたくさんある。ダメなクルマのほうが少ない。だがクルマを降りた後も印象が残るクルマは少ない。メモを書き忘れたら二度と思い出せないようなクルマが少なくないのだ。
その点、今回試乗したルノー・ルーテシアR.S.は試乗後、何日たっても記憶に残っている。一応メモは書いたが、読み返さなくても書ける。十分な剛性を感じさせるボディーに載った、チューニングの高い1.6リッター直4ターボエンジンを、6段デュアルクラッチトランスミッションを積極的にパドルで操作しながら高回転まで回して加速、コーナー手前で減速、できるだけ速い旋回スピードを探りながらコーナーを回り、再び全開加速……という作業を、手に取るように思い出すことができる。刺激的な体験で、運転は楽しいなと久々に感じさせてくれた。
現行ルーテシアのR.S.は、2013年に日本に導入されて以来、ラインナップに変遷がある。当初は「シャシースポール」と「シャシーカップ」の2モデルがあった。スポールのほうが足まわりのセッティングがマイルドで、カップは相対的に硬い足をもつ。具体的にはカップはスポールに比べ、フロントが27%、リアが20%ダンピングレートが上がっている。フロントの車高も3mm低い。その後、仕様変更でカップに代え、より過激な「トロフィー」が投入された。車高がカップよりフロントで10mm、リアで20mm低められ、ステアリングレシオも10%クイックになり、スポールやカップのエンジンが最高出力200ps/6050rpm、最大トルク240Nm/1750rpmなのに対し、トロフィーのそれは同220ps/6050rpm、同260Nm/2000rpmとパワーアップされている。
そして今回、シャシーカップが復活し、3モデルが販売されることとなった。機関部分は以前のカップと変わらない。これまでスポールとカップか、スポールとトロフィーの2モデル態勢だったのに、モデルサイクルのおそらく後半になって、3モデル態勢に増やして大丈夫かと思わないでもないが、今回、ノーマルルーテシアのなかでは最もスポーティーな位置づけだった「GT」グレードが廃止となるため、スポールが従来よりも23万5000円下げた284万円というバーゲンプライスで、GTの代わりを務めるのだそうだ。