第95回:ロータス・エリーゼ“POWERED by TOYOTA”海外試乗報告(その1)
2004.02.12 小沢コージの勢いまかせ!第95回:ロータス・エリーゼ“POWERED by TOYOTA”海外試乗報告(その1)
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■ロータスの“純粋性”の秘密
先日、「ロータス・エリーゼ111R」の海外試乗会に行ってまいりました。英ロンドン経由でフランスはニースへ。いやはや、ほとんど日帰りのハードスケジュールとはいえ、われながらいい身分です。
目玉は、エリーゼにトヨタ製エンジンを載せた「111R」。その実力もスゴかったんだけど、一番衝撃を受けたのは、元々のエリーゼの秘密。知ってる人は知ってる話かもしれないけど。
1995年のフランクフルトショーで発表されたエリーゼ。1996年には日本でも発表され、その前後に俺も乗ったんだけど、あまりの面白さに「なんじゃコレは?」とビックリした。マツダの「ユーノス・ロードスター」に最初に乗ったときも、あまりの「軽さ」「人馬一体感」にビビったけど、エリーゼはそれ以上だった。
しかも、当時のロータス社はマレーシアのプロトンに100%買収されて「ロータスどうなるの?」って思ってた頃だし、その前に出たFFの「エラン」にしても、パッとしなかったじゃない。ロータスも、もはや終りか?とも思ってたんだけど、エリーゼの登場は衝撃的、かつ不可解だった。なんでこんな楽しいクルマがつくれるの? 技術的アドバンテージは残っているの?と。そしたら、完全ではないにしろ、ナゾがすこしずつ解けてきました。
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■いい親会社
まず、マレーシアのプロトンという会社が、実にいい親会社だということ。
ロータスの買収が騒がれていた頃は、いろんな大メーカーからロータスに声がかかっていたらしい。ただし、買取額はともかく「技術部門と量産車部門を分けて買収する」とか、「もっとバラバラにする」など、トンでもない話が多かったそうな。つまり買収後、ロータスが伝統的にもつ“純粋性”を保てない会社構造になる恐れがあった、というわけ。
しかし、プロトンという会社からは、そういう注文がほとんどなかった。ロータスのスタッフいわく「金は出すけど口は出さない」、非常にいい会社なんだって。おかげで、1952年のロータスエンジニアリング創業(ロータスカーズとロータスコンポーネンツの設立は 1959年) 以来、脈々と息づく純粋性が残されたのだ。表面的には見えないが、他の自動車メーカーの先進的技術のいくつかは、ロータスが開発したものだという。
■エリーゼのポイント
肝心のエリーゼなんだけど、あれはロータスが開発した、接着剤によるアルミボディの成型がポイントだった。俺は接着剤を使った理由を、てっきり「作業の簡素化」「材料、設備の低コスト化」にあると思っていた。でも実は違うんだね。あれは「軽量」と「剛性」の両立が目的だったのだ。
その理屈は実にシンプル。チーフエンジニアのマルコム・パウエルさんが教えてくれたのだが、第1に、接着剤を使うことによって「素材の組織を破壊しない」。つまり、溶接の熱でアルミ部材そのものの剛性が弱まるのを防止する。第2 に、「接着面積が溶接に比べて格段と拡がることで、構造自体の強度が革新的に増す」。なるほど、そういやそうだ!である。だからアルミを使うとはいえ、7〜800kg台で一流のスポーツカーに足るボディ剛性を確保することができたのだ。さらに、接着だけだと、ある一定以上の衝撃が加わった場合に急激に剥がれる危険性があるので、ポイント、ポイントはリベットで留めてある。なんとも素晴らしい技術ではないか。
ハナシのついでに「今後のボディ構造はどうなりますか?」と、マルコム・パウエルさんに聞いた。「ポルシェ・カレラGT」や「メルセデスベンツSLRマクラーレン」のカーボンボディはどう思うのよ? と質問したのだ。
そしたら笑って「お客様が要望すれば」と答えたのだ。要するに「いつでもつくれますよ、値段が高くてもいいのなら」という意味。マジメな話、ポルシェ、メルセデスなど恐れるに足らず! って感じでした。
いや、ロータス。ハッキリいって、とっても面白い会社です。
(文=小沢コージ/2004年2月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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