マツダ・アクセラ23S(4AT)【ブリーフテスト】
マツダ・アクセラ23S(4AT) 2003.12.12 試乗記 ……234.5万円 総合評価……★★★★ 「Next Sports Compact」を謳うマツダの新型セダン「アクセラ」。フォードグループのなかで先陣を切って登場したコンパクトモデルに、『webCG』コンテンツエディターのアオキが乗った。
|
“走り”をもって
ボワンと贅肉がついた「ファミリア」変じて、筋肉質な「アクセラ」になったと思ったら、ボディサイズ、アクセラの方が大きいんですね。
テスト車の「23S」は、171psの2.3リッター直4エンジンを搭載するトップグレードにして、車両本体価格195.0万円はなかなか魅力的。
ドアを開ければ、サイドサポートが張り出したシート、3連メーター、いかにも慣性がちいさそうな3本スポークの革巻きステアリングホイール、と、“スポーティ”のてんこ盛り。実際、バランサーシャフトを備えたオールアルミユニットは、回転スムーズかつエンジンらしい(?)メカニカルなサウンドを発し、力強く、リニアにアクセラを加速する。硬いボディと平均的セダンとしてはハードなサスペンションがもたらすシャープなハンドリング。アクセラ23Sは、常にスポーツサルーンであることを主張する。
(クルマに関して)ノンポリ消費者は、23Sのアシをして「乗り心地が悪い」と評しかねないし、いまの世のなか、いわゆるクルマ好きよりノンポリ消費者の方が圧倒的に多いし、そのうえドライブフィールほど個性をもたない内外装からは「プロダクトアウト」なんて単語を連想したりもするけれど、でも、“走りをもって語らしむ”アクセラセダンはリッパだと思います。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2003年10月15日に発表されたマツダのコンパクトカー。「ファミリア」の後継にあたる。4ドアセダン「アクセラ」と、5ドアハッチバック「アクセラスポーツ」と、2種類のボディラインナップをもつ。「アテンザ(海外名Mazda6)」(2002年5月発売)、「デミオ(同Mazda2)」(2002年8月)、そして「RX-8」(2003年4月)に続く、マツダの次世代商品群の第4弾。欧州をはじめとする世界各国では「Mazda3」の名で販売される世界戦略車である。
新開発のプラットフォームは、フォードグループのボルボ「S40」や、次期フォード「フォーカス」と共有する。
エンジンでグレードが異なり、1.5リッター(114ps、14.3kgm)搭載の「15F」、2リッター(150ps、18.7kgm)の「20C」、そして2.3リッター(171ps、21.8kgm)を積む「23S」の3種類。トランスミッションは、マニュアルモード「アクティブマチック」付き4段ATが基本。5段MTの設定は、1.5リッターの最廉価モデルのみだが、2003年末頃、2.3リッターにも5段MT仕様を追加するという。駆動方式はFFのみ。
(グレード概要)
23Sは、「前後大型パンバー」「サイドスカート」「横桟グリル」などでスポーティに装うトップ・オブ・アクセラセダン。リアのコンビネーションライトのベースが精悍なブラックなのも、「赤」を用いる他グレードとの識別点。タイヤは、「205/55R16」を標準とし、「205/50R17」をオプションで用意する。フロントブレーキには、大径タイプが奢られる。
インテリアのガーニッシュには「カーボン調」、シート地には「ストライプニット」が用いられる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
樹脂類ほか、全体の質感は値段相応だが、スッキリ機能的にまとめられているのがイイ。メーターごとに大きなひさしをもつ3連メーターがわかりやすくスポーティ。ステアリングホイールは、チルト(上下)、テレスコピック(前後)機能を備える。ドライビングポジションの調整代は大きい。
意地悪く観察すると、意図的にか否か、メーターやエアコン吹き出し口にアルファロメオ、ダイヤル類や夜間のバックライトの演出にアウディの影響が見られるが、気になるのは性格の悪いリポーターくらいだろう。
(前席)……★★★★
厳しい予算で精一杯がんばったことが感じられるフロントシート。「ジャージ素材と、滑り止めも兼ねる赤いラインが入った畝をどう感じるか?」といった嗜好的課題は残るが、太股、臀部、背中をやんわりホールドする形状で、座り心地はいい。
シートには関係ないが、アクセラセダンは思いのほかハイバック(トランク部上面が高い)で、上半身をひねって振り返っても、後方視界が悪い。大きくなったボディサイズとあわせ、クルマを入れにくい駐車場をもつオーナーは注意が必要だ。
(後席)……★★★
車検上は3人座れるが、左右が別個に前に張り出したクッション形状からわかるよう、実質2人用のリアシートだ。センターでもヘッドクリアランスがギリギリながら大人が座れるが、ヘッドレスト、3点式シートベルトが左右にしか備わらないので、オススメできない。
アクセラセダンの、後ろに向かってゆるやかになだれ落ちるルーフラインはステキだが、後席乗員のヘッドクリアランスが削られるのが難点。それと、やや長さの足りない天井のせいで、後頭部のすぐ後ろからリアガラスがはじまるのも気になる。
(荷室)……★★★
これまた角度の寝たリアガラスのせいで、トランクの開口部はちいさい。ダブルバンパーを用いてリッドを支えているので、ヒンジが荷室に干渉することがないのが、せめてもの救い? 床面最大幅113cm、ホイールハウス間105cm、奥行き96cm、高さ56cm。凝ったリアサスゆえか、容量も「ボディサイズのわりに……」と思わざるを得ない。まあ、リアシートが分割可倒式になっているから、日常において容量が問題になることはあるまいが。トランクを閉める際に、内側に手をかけるパーツがないのは、さびしい。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
オールアルミの「MZR」エンジンシリーズ搭載。可変吸気&バルブタイミング機構をもつ最新のエンジンだが、回すだけパワーが出て、音も盛り上がる、古典的フィール(?)を残す。
4段ATは、1.5リッターとファイナルが同じという、性能重視型。大きくなったアウトプットを活かしてセカンドギアの守備範囲を広くする一方、トップギアに入れた巡航時でも、必要とあらば力強い加速を見せる。
シーケンシャルシフトはBMW流で、押すと「ダウン」、引くと「アップ」。クルマの性格を考えると、マニュアルモードより、アグレッシブなプログラムを組んだ「S」モードを設定した方がいいと、リポーターは考える。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
運転好きを「オッ」と思わせるシャープなハンドリング。ことさらスポーツ走行にトライしないでも、普通に街なかを走っていても感じられるスポーティな身のこなし。ステアリングを切ると間髪を入れずにノーズが反応して、ドライバーを喜ばせる。それでいて、かつてのマツダ車に見られた、ときにピーキーに感じる“ナマ”な動きが薄まって、いい案配だ。
乗り心地も、締まった足まわりで、かつハーシュをよく抑えたチューニング。通常の市販車で、今回のような新車の状態が長く続くなら、けっこうなことである。“ヴァリュー・フォア・マネー”は高いと思う。繰り返しになるが、以上は“運転好き”にとっての感想だ。
なお、テスト車はオプションの17インチを履いていた。タイヤサイズは「205/50R17」。
(写真=清水健太)
【テストデータ】
報告者:webCG 青木禎之
テスト日:2003年12月1−2日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:3781km
タイヤ:(前)205/50R17 89V/(後)同じ(いずれもブリヂストンPotenza RE040)
オプション装備:Sパッケージ(オートライトコントロール/レインセンサーワイパー/撥水ガラス+ドアミラー/スピーカーシステム/イモビライザー)(3.0万円)/DSC(6.0万円)/ダークティンデッドガラス(6.5万円)/DVDナビゲーションシスム+TVチューナー&ガラスプリントアンテナ(19.0万円)/ディスチャージヘッドランプ(5.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
走行距離:179.7km
使用燃料:25.3リッター
参考燃費:7.1km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】 2026.7.18 ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
NEW
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。 -
新型「アルピーヌA110」はどんなクルマに? グッドウッドを駆けたテストカーから読み解く
2026.7.17デイリーコラムアルピーヌが次期型「A110」を示唆する「A110フューチャー」を初公開。グッドウッドで走る姿を披露した。そこから分かる未来のA110の姿とは? 電動化がアナウンスされているが、エンジン車の設定はあるのか? 公式発表とテストカーの姿から深掘りする。 -
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】
2026.7.17試乗記「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。 -
写真で解説する新型「日産エルグランド」
2026.7.16画像・写真新型「日産エルグランド」は、日本伝統の美をデザインに生かしながら、同社独自の最新技術を組み合わせて“走りのよさ”も徹底追求したという意欲作。その見どころを写真とともに解説する。






























