スズキ・ワゴンR(FF/4AT)/ワゴンR RR-DI(FF/4AT)【試乗記】
成功と思われる 2003.10.17 試乗記 スズキ・ワゴンR(FF/4AT)/ワゴンR RR-DI(FF/4AT) ……99.0万円/140.0万円 ピーク時は3万台/月(!)、累計販売台数は190万台(!!)を超える、軽NO.1スズキの立て役者「ワゴンR」。3代目はキープコンセプトながら、新開発の直噴ターボをラインナップするなど、新技術も投入された。富士山を望む朝霧高原で開かれたプレス向け試乗会で、自動車ジャーナリストの笹目二朗が乗った。不満がないからイイ
スズキ「ワゴンR」は、1993年に初代が登場。特徴的な高めの車体、スペース効率のいい角張ったボディデザインをウリに、10年間の累計で194万3000台(!)を販売した。そしてこのたび、3代目となる新ワゴンRの登場となった。
ベストセラーカーのモデルチェンジは難しい。これまでのワゴンRは大きくイメージを変えず、使い勝手など細部にわたって改良を加え、完成度を高める手法で成功してきた。3代目も同様、キープコンセプトではあるが、直噴ターボエンジンなど新技術の投入も含め、以前にも増して意欲的な陣容を誇る。
朝霧高原で開かれた試乗会における短時間のインプレッションをお届けする。
まず、主力であるNA(自然吸気)エンジンの中核グレード「FX」に乗った。走り始めた第一印象は、フツウに走る日常性能が快適なことだ。
短時間でいろいろ試さなければならない試乗会では、いきおい、加速だとかコーナリングに注視しがちだ。しかし、Kカーにとっては日常性がもっとも重要である。ゆっくり発進して40〜60km/hで流すような場合、ワゴンRは乗り心地がよく、走りはスムーズだ。高めに座るシートからの眺めもよく、ハンドルやペダル類の配置も適切。気楽に転がすことができる。4ATの変速ショックはすくなく、勾配が急になれば自動的にシフトダウンするといった、当たり前のことが自然に行われる。特別な不満がないから、「ああ、コレはいいクルマだなー」と思うのだ。
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オススメはMターボ
唯一、問題がありそうなのは、サイドブレーキのリリース方法だ。足で踏むフット式(5MT車はレバー式)だが、2度踏みして解除する方式には不安が残る。
AT車の場合、左足でブレーキを踏む人はかなり増えたと思われるが、ブレーキペダルの隣にあるサイドブレーキを走行中に踏んでしまった場合、リリースするにはもう一度それ以上のところまで踏まなければならない。舵角が当たっていて路面ミューが低ければ、サイドブレーキ・ターンになってスピンの可能性がある。
また、サイドブレーキには、主ブレーキが失陥した場合の補助ブレーキの役目もある。2度踏みではブレーキが効きっぱなしになり、反復使用ができないばかりか、フェードをおこして止まらない可能性もある。これはトヨタ車にも多く採用されている方式だが、同様の欠点を孕んでいるといえよう。
次に、中低速トルクを重視した、M(マイルド)ターボ仕様の「FT」グレードに乗った。内外装をはじめ、サスペンションなどはNAモデルと同じ。軽く過給を加えて、54psから60psにチューンしたエンジンによる“余裕”がウリである。
NAと乗り比べると、2500rpmから4000rpm あたりの実用域のトルクが増強してあり、坂道などでも速度低下が少なく走りやすい。昔のターボエンジンのように、ある回転域から急にパワーが立ち上がるような悪癖もなく、極めてナチュラルな感覚で吹けあがる。日常的に人や荷物を多く積むような使われ方には、この仕様がベストと思われた。
進化が楽しみな直噴ターボ
最後に、一番過激な直噴ターボを積む「RR-DI」に乗った。軽市販車初を謳う直噴ターボは、気筒内の混合気分布を緻密にコントロールして燃焼効率を高め、19.0km/リッターのカタログ燃費と、超−低排出ガスをパスする環境性能を有する。ノッキングが起こりにくい特性を活かし、ターボにしては高い9.0の圧縮比により、低回転域のトルクアップを図った。
エンジンはたしかにハイパワーを発揮するが、3500rpmあたりから上のヴォーっというエグゾーストノートが、少々やかましいのが難点だ。しかし、これもNAやMターボと比較すればのハナシ。絶対値として許容しがたいほどではなく、スポーティモデルらしい“活気がある”ととれなくもない。
サスペンションは硬くセットされており、目地段差での突き上げは大きめ。ノーマルモデルより乗り心地はかなり悪いが、若者にはアピールするのであろう。商品性を考えれば、スポーティに特化したモデルとしての存在価値はある。
ターボは、従来と同じハイプレッシャー版「Sターボ」もラインナップする。出力特性は同じだが、こちらの燃費は18.0km/リッターと、直噴に較べて1km/リッター低い。環境性能を含め、新しいエンジンが今後さらに洗練されていくのが楽しみである。
というわけで、まずは順当な仕上がりの新型ワゴンR。3代目のモデルチェンジは成功と思われる。
(文=笹目二朗/写真=峰昌宏/2003年10月)

笹目 二朗
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