トヨタ・ハリアーAIRS(5AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ハリアーAIRS(5AT) 2003.04.22 試乗記 ……438.3万円 総合評価……★★★グッとアメリカン
レクサス「RX300」としてアメリカで大ヒットした「ハリアー」のフルモデルチェンジなので、新型はグッとアメリカンに仕上がっている。見た目はSUVっぽいけれども、乗っては乗用車という狙いは達成された、と思う。おそらく、アメリカでのヒットも継続されるだろう。
でも、僕ら日本人のクルマ好きにとっては、なんとも中途半端な印象しか残らない。トヨタは「SUVと乗用車の魅力を兼ね備えたクロスオーバー」と定義するが、結局“アブハチ取らず”ではないか。ハリアーより優れたSUVはあるし、これより魅力ある乗用車も少なくない。「本格SUVは重荷だけど、背が高くて大柄な乗用車が好き」な人にオススメとしか言ない。
新型ハリアーの目玉たる、新開発のパッシブセーフティ機構「プリクラッシュセイフティ」はよくできている。ただし、35.0万円のオプショナル。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1998年に登場した乗用車ベースのSUV。北米ではレクサスRX300として販売され、大ヒットとなった。現行モデルは、2003年2月17日にフルモデルチェンジを受けた2代目。ベースは、先行して販売された「クルーガーV」。
新型は、リアハッチゲートの傾斜を強め、スタイリッシュを演出。ボディサイズは拡大され、全長×全幅×全高=4730(+155)×1845(+30)×1680(+15)mm、ホイールベースは2715mm(+100)(カッコ内は先代との差)の堂々たる体躯となった。エンジンラインナップは従来と変わらず、2.4リッター直4 DOHC16バルブ(160ps/5600rpm、22.5kgm/4000rpm)と、3リッターV6 DOHC24バルブ(220ps/5800rpm、31.0kgm/4400rpm)の2種類(北米は、3.3リッターV6のみ)。3リッターにのみ5段ATが組み合わされ、2.4リッターは従来通りの4段ATとなる。駆動方式はFF(前輪駆動)と、4WDが用意される。
新型の目玉技術は、衝突時の被害を軽減する「プリクラッシュセーフティ」(AIRSにオプション設定)。フロントのミリ波レーダーが前方障害物への衝突可否を判断し、不可避なら前席シートベルトをモーターで巻き取り、乗員をシートに固定。ブレーキペダルの踏み込みと同時にブレーキアシストを作動させる。衝突ダメージを最小限に食い止めるという。
(グレード概要)
新型ハリアーのラインナップは、ベーシックな「240G」、3リッターV6を積む「300G」と、トップグレード「AIRS」の3種類。それぞれにFFと4WDが設定され、240Gと300Gには、装備が充実する“Lパッケージ”と“プレミアムLパッケージ”が用意される。
「AIRS」は、ハリアーのなかで唯一エアサスペンションを装備するモデル。オートレベリング機能に加え、車高調整機能を備え、標準の「Nモード」、車高を30mm高めて悪路走行に対応する「Hiモード」、車高をNより15mm下げ、ワインディングなどのスポーツ走行に適する「Loモード」、そして車高を30mm下げ、乗降性を高める「乗降モード」と、4つのモードが用意される。他にAIRSのみの専用装備として、ステアリング舵角と車速に応じてロービームの照射軸を変化させ、夜間の視界を補助する「インテリジェントAFS」がある。また、新開発のパッシブセーフティ機構「プリクラッシュセーフティ」がオプション設定されるのもAIRSのみ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
車内は、いい意味で“バタ臭い雰囲気”に演出される。特に、ブラック、アイボリー、ライトグレーと3色設定された内装色のうち、アイボリーとライトグレーが、ラクシャリーなクルマのキャラクターともマッチしていて好感がもてた。オーソドックスなブラック内装にしても、本革の他に「ジャカード」と「トリコット」2種類のファブリックが、グレードごとに用意される。こんなに内装色の設定に凝った日本車を、私は他に知らない。
空調、オーディオ、ナビゲーションを挟むかたちのアルミ調V字型パネルがインテリアデザインのアクセントになっていて、それがイヤ味にならない程度に個性を形づくる。カジュアルで上品な造形と雰囲気は、日本車というよりもちょっと高価なアメリカ車のようだ。トヨタの狙い通りの内装に仕上がっているといえよう。
(前席)……★★★★
大ぶりなシートは、見た目は平板だが、コシがあってしっかりと身体を支えてくれる。座面も背面もサイド部分が過度に張り出しておらず、リラックスできるうえ、乗り降りの際に邪魔にならなくてよい。Aピラーが視界の邪魔になることもあるが、ノーズ先端の左右も把握しやすい運転ポジションがとれる。総じて、心地よい空間だ。
(後席)……★★★★
4対2対4に分割できるリアシートは、スライドもリクラインも可能。商品性の高さはトヨタの得意技で、もちろん、フルフラットにもなる。シート自体の造りはまっとうで、シートバックが平板でもなく、かけ心地も悪くない。居住空間も十分にある。
(荷室)……★★
ストラットサスペンションの張り出しは大きく、新型はテールゲートの傾斜角度も強められた。荷室の床が高いので、大きな荷物は積みにくい。ボディの大きさの割には、積載量も423リッターと多くない。もともと、たくさん荷物を積むことを第一義に考えて設計されていないのだろう。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
3リッターV6は、回転フィールなどが自然で好ましい。とはいえ、旧型からのパワーアップがなされていないので物足りない。それでいて、テスト車の車両重量はオプションを含めて1880kgもあるから、どこでも活発に走るというわけではない。大人3人乗車で上り坂に差しかかると、急にカッタルくなった。パワーはギリギリ、か。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
試乗したAIRSグレードは、ストラット式の電子制御エアサスペンションを装備する。乗員数や荷物の積載量の多寡にかかわらず車高を保つ「オートレベリング機能」や、走行状態に応じた車高調節機能を搭載し、優れた操縦性と乗り心地の実現をその狙いとする。
たしかに、路面の大きな凹凸やうねりなどに対しては、車体をフラットに保つことが確認できた。しかし、目地段差のビシビシッという鋭いショックに対しては、オーソドックスな金属製スプリングからの大きなアドバンテージを認めることはできなかった。大径で太いホイールが上下動する際に、ドタバタする振動がそのままフロアに伝わってくるのだ。
今回のテスト車ではないが、金属製スプリングを装備した300Gは、クルマの挙動がエアサスよりも明瞭にハンドルから伝わってくるという点で、むしろ好ましい。だがやはり、荒れた舗装路面などではてきめんにアゴを出し、ショックをうまく吸収し切れていなかった。惜しい。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:金子浩久
テスト日:2003年2月21日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:--km
タイヤ:(前)235/55R18(後)同じ
オプション装備:ホワイトパールクリスタルシャイン/7JJ×18アルミ(スーパークロームメタリック)/電動マルチパネルムーンルーフ/バックガイドモニター/フロント&サイドモニター/レーダークルーズコントロール/SRSサイドエアバック&カーテンシールドエアバック/DVDボイスナビゲーション・TV付きEMV)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(5):高速道路(4):山岳路(1)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

-
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】 2026.8.31 フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
スズキeスカイ プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2026.8.24 スズキが満を持して世に問う、軽規格の新型電気自動車「eスカイ」。軽乗用車の本質である、生活の足としてのちょうどよい性能を追求したという一台は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 2026年秋の正式発表を前に、プロトタイプモデルに試乗した。
-
NEW
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。 -
NEW
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】
2026.9.2試乗記BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。 -
スポーツカーに未来はあるか?
2026.9.1あの多田哲哉のクルマQ&A年々、開発環境が厳しくなるといわれるスポーツカーは、この先も存在しうるのか? トヨタのエンジニアとしてさまざまなスポーツカーを開発してきた多田哲哉さんに“未来のスポーツカー像”を聞いた。 -
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】
2026.9.1試乗記2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。 -
“自然を連想する車名”の名車特集
2026.9.1日刊!名車列伝暑さが和らぐ一方で、台風シーズンとも呼ばれる9月。その風をはじめ、星座、景観など自然を連想させる名前が与えられた、世界の名車を日替わりで紹介します。 -
興味があるのはたったの3割!? 自動車業界を揺るがすSDVやAIって本当に必要なの?
2026.8.31デイリーコラム自動車も、スマホのように機能がアップデートできるようになる! ……ということで注目されるソフトウエアディファインドビークル(SDV)だが、日本のユーザーの多くが「いらない」と思っていることが判明! 急速に進むデジタル技術の、必要性について考えた。











































