スバル・フォレスターX20(4AT)【試乗記】
NAが善戦するワケ 2002.09.13 試乗記 スバル・フォレスターX20(4AT) ……227.0万円 乗用車並みの動力性能と、SUVとしての走破性を併せもったクロスオーバーSUVを標榜するスバル・フォレスター。今回webCG記者が試乗したのは、2リッターNAエンジンの「X20」だった。ハイパワーのターボモデルに較べてやや地味めのNA、と思いきや、その実は・・・。約半分はNAモデル!
「フォレスター」ならターボが人気、と思っていたのである。先代が思わぬ(?)ヒット作となったのは、「速いSUV」コンセプトがウケたからなんじゃないかと。
ところが、実際の販売比率はターボが約55%、NA(自然吸気)が約45%。NAモデルも善戦している! ちなみに、先代のターボとNAの割合も、約6:4とイイ勝負だった。
なぜフォレスターもターボの方が売れていると思ったか? その理由は価格である。今回試乗したNAモデル「X20」(4AT)の車両本体価格は195.0万円。ターボモデル「XT」(4AT)の価格は、229.5万円。34.5万円の上乗せ(けっして安くはないですが)で、NAの83psと12.5kgm増し、220ps&31.5kgmのパワー、0-100km/hを7.0秒でこなす俊足を手に入れられる。それなら、個人的にはターボモデルを購入するのだが……。
スバルの広報担当の方にお話を伺うと、NAが売れる理由として、フォレスターユーザーは年齢層が幅ひろく、さらに女性ユーザーが多いことが挙げられるという。SUVは車高いので乗用車より見晴らしがいいし、ユーティリティー性もセダンより高い。かといって「220psじゃ速すぎる」人が、自然吸気を選ぶ。フォレスターは、“パワー・トゥ・プライスレシオ”だけが魅力じゃない、ということだ。
ターボのほうがイイ?
現行フォレスターは、2002年2月12日にフルモデルチェンジした2代目。先代の成功を意識してか、デザイン、パッケージとも、基本路線で大きな変更はない。いわゆるキープコンセプトで進化させたモデルだ。全長×全幅×全高=4450×1735×1590mmのボディサイズは、なんと全長が先代より10mm短く、全高は10mm高いだけだ。厳しくなる一方の衝突安全基準や、衰えることのないユーザーの要求(欲求?)に応えるべく、年々クルマが肥大化しているなか、基幹モデル「レガシィ」同様、フォレスターでもスバルの見識が発揮された。そのうえ、回転半径は0.1m短い5.3mになり、取り回しはさらに良くなった。
ニューフォレスターは、見えないトコロもしっかり進化した。ボディ剛性を高め、衝突安全性を向上させながら、エンジンフードやルーフレールをアルミ製にしたり、厚さの異なる鋼板を接合する「テーラードブランク」を採用するなどの工夫を重ね、重量は初代より30kg(ターボは20kg)も軽くなった。テスト車はサンルーフを装着するので、20kgプラスされているが。
2リッター水平対向4気筒エンジンは、出力、トルクとも先代と変わらない。しかし、最大トルクの19.0kgmを、従来より400rpm低い3200rpmで発生。実用域での走行性能を高め、10・15モード燃費は、0.4km/リッター向上して13.0km/リッター(4AT)となった。
なにはともあれ、乗ってみる。ディンプル処理が施されたダッシュボードや、シルバーメタル調のセンターコンソールなど、目に見えて質感がよくなった。灰皿のフタやカップホルダーはダンパーが付き、指でおせばスーっと“同じスピード”で開く。凝ってます。
標準内装は、グレードを問わず淡いグレーだが、テスト車はプラス10.0万円のインテリアオプション「フィールドパッケージ」を装着する。シナモンブラウンのファブリック&レザーシートが特徴で、ログハウスのような柔らかい暖かみがあって、フォレスターでは個人的に一番好きだ。アウトドアユースを意識して、シート表皮は撥水加工が施され、汚れたり濡れたりしてもすぐ拭き取ることができる。他に、ブラック内装でスポーティを演出する「ユーロパッケージ」も設定される。
想像以上
600mmの着座位置と、大きな四角いフロントスクリーンが、良好な視界を提供してくれる。隣の車線の「コロナ」を見下ろすと、頭1.5個分も高い。いくらなんでも高すぎるな……、と思ったら、シートがかなり高く設定されていた。新型はダイヤル式のハイトコントロールが備わり、高さ調節の幅が50mmに拡げられた。誰でも“眺めのイイ席”を味わえる。
“走り”はどうかというと、結論からいえば問題はなかった。いや、もとから問題はないんですが。プレス試乗会で乗ったターボモデルより、うんと遅いかと心配していたもので……。
杞憂でした。中低速重視のエンジンと、軽量化による恩恵か、想像よりよく走る。ATのロックアップ制御が低回転域にも拡大され、走行中のアクセルとクルマの動きも自然だ。
思い出すに、ターボエンジンもタービン径を小さくし、中低速トルクに振ったチューンが施されたが、それでも本領発揮までには若干のタイムラグがあった。低速域でのちょっとした加速は、NAのほうがキビキビしている。高回転ではノイジーだが、それはターボの怒濤の加速に未練を残したリポーターが、ことさらアクセルペダルを踏み込んだからです……。
改めて乗ったNAモデルにあえて文句をつけるとすれば、ターボよりも厚みのある、205/70R16サイズのブリヂストン「デューラー」を履くのに、突き上げが気になるシチュエーションがあったこと。ときに足まわりがバタつき、バネ下が重い感じがした。「M+S」のオールシーズンタイヤを装着していたためか、高速道路でロードノイズが耳に付いた。
パッケージは変わらないからあたりまえだが、使い勝手や機能面では、ターボもNAも違いはない。実際NAも売れているということは、「パワー」や「速さ」だけではなく、「乗用車とSUVのイイトコ取り」というフォレスターのコンセプトそのものが、選ばれているということだろう。
(文=webCGオオサワ/2002年8月/写真=難波ケンジ)
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大澤 俊博
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