ボルボV40 T4(FF/6AT)【海外試乗記】
プレミアムハッチの新潮流 2012.09.16 試乗記 ボルボV40 T4(FF/6AT)かつてボルボの小型ワゴンに使われた「V40」の車名が、プレミアム路線のハッチバックとして復活。その実力はドイツ勢を脅かす? イタリア・ヴェローナからのリポート。
箱型デザインも今や昔……
盛況のプレミアムコンパクト・セグメントにボルボが投入する「V40」の名は、以前には今の「V50」に連なる小型ワゴンに使われていたものだ。それがあまり違和感を覚えさせないのは、ロングルーフのフォルムが単なるハッチバックというよりはワゴンにも通じる雰囲気を醸し出しているからだろう。ボルボが車名に「V」の字を使う以上、ちゃんと意味があるのだ。
ハッチバックともワゴンとも取れる、つまりはこのセグメントの強力なライバルたちのどれとも似ていないスタイリングは、V40の強力な武器と言っていいだろう。とりわけ後方に向けてなだらかに上昇していくショルダーラインと、逆に下降してくるルーフラインが、リアエンドできれいに収束していくサイドビューの美しさは、他にはちょっとないものだ。しかもキャビン後端は左右にも強く絞り込まれており、斜め後方から見るとフェンダーのボリュームがこれでもかと強調されているのだ。このあたりも、本当に巧みである。
ボルボといえば箱型だったのは、そんなに昔の話ではないのに、いざやるとなれば、こんな流麗なフォルムを描いてくるのだから、スカンジナビアン・デザインまさに恐るべし。それでいて、一目でボルボと分かるアイデンティティーもしっかり継承されているのだからうなるほかない。「S60/V60」もボルボの新しい魅力を引き出したスタイリングが魅力だが、V40はそれらよりもいい意味で力が抜けた感じで、さらに多くの人から受け入れられそうに思われる。
設定されるガソリン5種類、ディーゼル3種類のエンジンの中から、メインの試乗車として用意されていたのは最高出力180psを発生する1.6リッター直噴ターボエンジンを積む「T4」。ギアボックスはパワーシフトと呼ばれる6段DCTで、これにハンドリング重視の仕立てで車高が10mm低くなる「スポーツ」シャシーと18インチのタイヤ&ホイールが装着されていた。