「ダブルクラッチってなんですか?」
2001.03.25 クルマ生活Q&A トランスミッション「ダブルクラッチってなんですか?」
旧車の試乗記事などで、「ダブルクラッチ」という記述が時折あるのですが、どういう操作なのでしょうか? また、現在のMT車にも必要な操作なのでしょうか?(埼玉県戸田市・STさん)
お答えします。一度クラッチペダルを踏んでギアポジションをニュートラルにしてから、アクセルを踏んでエンジン回転を上げ、もう一度クラッチペダルを踏みギアを入れる。この一連の作業(を素早く行うの)がダブルクラッチです。
エンジンの回転が一定である場合は、シフトアップするごとに速度は増していきます。いっぽう、1速から2速、さらに3速へとシフトアップしたときエンジン回転が下がります。これはギヤ同士の差があるためで、ギヤ比というものです。逆にシフトダウンした場合は、回転が上がります。
トランスミッションではシフトするとギザギザ同士のギヤがかみあいますが、回転に差があるとかみあいにくく、無理にすると、ギーとかいやな音が出ます。そこでギヤ同士を円滑にかみあわせ、チェンジするためには、この回転の差をなくしてやらなくてはなりません。そのための装置を、隣のギヤと同調させることからシンクロナイザーと呼んでいます。しかしシフトダウンのとき、特に回転差が大きい3速から2速、2速から1速へは特に入りづらく、シンクロナイザーも傷みやすいのです。これを補うためにダブルクラッチで回転を合わせることが必要になるのです。
最近のMTは、シンクロナイザーも2重3重と強化されており、ダブルクラッチを踏まなくてもナチュラルなギアチェンジが可能になりました。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。