「フライバイワイヤって何ですか?」
2001.08.10 クルマ生活Q&A エンジン「フライバイワイヤって何ですか?」
最近、「フライバイワイヤ」という言葉を聞きますが、この意味を教えてください!(OAさん)
お答えします。フライバイワイヤとは電子スロットルのことです。ご質問のなかにもあるように、たしかに最近、ハイパワー車や高級車に多く使われるようになっています。ひとことで言うと、アクセルの踏み込み量を電気的な信号に変えてモーターによってエンジンコントロールするというシステムです。
フライバイワイヤは、そもそも航空機の世界で使われだした言葉で、ロッドのような物理的な素材を排して、かわりに電気信号と油圧アクチュエターを組み合わせるという技術です。自動車ではF1から使われるようになりました。国産車では、1985年に登場したいすゞアスカ「NAVI5」が量産車第1号です。
フライバイワイヤ(電子スロットルともいいます)が自動車で使われるようになったのは、駆動力の制御と、燃費の向上、さらには排出ガス中の有害物質の低減などをめざしてのことです。電子スロットルならば、精密モーターをコンピューターによって最適制御することが可能になるのです。
従来のメカニカルなワイヤータイプは、安全性能や環境性能の面で、制御が十分にできません。トラクションコントロールが働いたときは点火系がカットされてしまうので、車両の挙動が急激になったり、スロットルの細かい制御ができないので、燃費が安定しなかったり、濃いガスが燃焼室に送りこまれて有害物質が多く排出されてしまったり、という問題を抱えています。それを改良すべく開発されたのが、電子スロットルなのです。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。