マツダ・トリビュートGL-X(4AT)/LX Gパッケージ【試乗記】
マツダ・トリビュート「ちょい乗り」試乗報告 2000.11.06 試乗記 マツダは2000年10月30日、「ドライビングエンタテインメント」を謳うSUV「トリビュート」を発表、11月30日から販売を開始する。フォードと共同開発されたニューモデルに、テストコース内という限られた範囲ながら、web CG 記者が乗った。山口生まれのアメリカントリビュートGL-X(4AT)……254.8万円
「モノコックボディ」「エンジン横置き」「オンディマンド型4WDシステム」「4輪独立懸架」という街乗りヨンクの特徴を備えたトリビュート。廉価なアメリカンV6を搭載して、3リッターモデルながら、車両本体価格254.8万円。トヨタ・ハリアー3.0Fourと単純比較すると、38.7万円も安い!
地上から着座位置まで73.6cmと、乗り込みに苦労はいらない。クッションが厚く、柔らかいベージュのファブリックシートが、アメリカン。山口県は防府製だけど。
インパネまわりのデザインに「タフ」な演出はない。コラムシフトを採用、パーキングブレーキがうんと運転席に寄せられたので、前後席のウォークスルーが可能だ。
203ps/6000rpmの最高出力と27.0kgm/4700rpmの最大トルクを発生するクリーブランド製3リッターV6はなかなかライブリィ、つまりエンジン音が大きくて、これまたアメリカンSUVを彷彿とさせる。
一方、乗り心地は4輪独立懸架が効いて、クロカンというより大型ワゴン。ワラワラとボディ後部が揺すられることもない。
トリビュートV6モデルは、山口生まれのアメリカン。ちょっとアシのいいヤツ。
ちなみに、トリビュートと並行して開発された二卵性双生児、フォード・エスケープも、右ハンドル仕様は防府工場でつくられる。つまり、かつての英連邦圏で走るエスケープは日本製。一方、左ハンドルのトリビュートは、北米はカンサスシティで生産される。
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賢い廉価版トリビュートLX Gパッケージ(4AT)……216.1万円
トリビュートの2リッターモデルは、FF/4WD=179.8/199.8万円と、トヨタRAV4 5ドア(199.3から236.8万円)といい勝負。「Gパッケージ」は、アルミホイール、ボディ同色ドアミラーなどを追加装備した仕様。
LXは、オーバーフェンダーが省略されてちょっぴりショボイ……失礼、スリム。オバフェンモデルより35mm幅が狭い。
スペアタイヤを背負うことをやめ、荷室床下に収納したため、スッキリとした後姿。リアゲイトは、ガラスハッチのみ開閉することも可能だ。ゲイト全体とガラスハッチ用と、オープナーが左右に並んで用意されるという親切設計。
室内は、ステアリングホイールが樹脂製になるほかは3リッターモデルと同じ。
後席は、座面を引き起こしてから背もたれを倒して平らな荷室床面をつくる「ダブルフォールディング」が可能。抜いたヘッドレストを座面に差せる、という芸の細かさを見せるが、ときどき倒す座面が外れるのはご愛嬌。
最高出力129ps/5400rpm、最大トルク18.7kgm/4500rpmを発生する2リッター直4ユニットもフォード製。動きはじめこそ、V6のトルク感には負けるが、走り出してしまえば車重1400kgと40kg軽いこともあって、充分な出力。ハンドリングも「視点の高いワゴン」といった安定感。ま、実際そのとおりなんですが。
2リッターモデルには、多板クラッチ式センターデフを装備した4WDモデルより、さらに70kg軽量なFFモデルも用意される。車両本体価格179.8万円。雪国に住んでいたり、訪ねる必要のない方には、最も賢い選択だ。
(web CG アオキ/写真=清水健太)
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【特別付録】インフラができるまで
フォード、マツダの共同開発モデルとして、今後の両社、特にマツダ車の行方を占う指標となるトリビュート。開発を担当したマツダ主査本部の井上 寛主査にお話をうかがった。
web CG : なぜ共同開発することになったのですか?
井上 : 1994年ごろからライトSUVの企画が、フォード、マツダ、別個に進んでいたんです。それなら一緒に開発しようということで、96年からプロジェクトがスタートしました。
web CG : どうしてSUVを?
井上: 日本では、96年当時、年率20から25%の割合でライトSUVの販売台数が伸びていて、ユーザーの方からの要望も強かった。一方、フォードは、SUVは揃っていたんですが、トラックベースのものばかりだったので、新しいSUVが欲しい、と。
web CG: 開発の分担は?
井上: クルマ全体をマツダが、エンジン、トランスミッションといったパワートレインはフォードが担当しました。スタイリングは、それぞれ独自にデザインしました。
web CG : トリビュートとエスケープは、ルーフ以外のパネルがすべて違うということですが、機関的には違いがありますか?
井上: 乗り味が違います。マツダは「正確でしっかりとしたハンドリング」を求めます。「キビキビと」するために、ステアリングギアはトリビュートの方がクイックです。もちろん、アシまわりもセッティングが違う。ロールセンターは低く、フロントにスタビライザーを入れて、ロール剛性も高めています。一方、フォード車は、「ユッタリした」乗り味が要求されるようです。
web CG: 共同開発で苦労されたことは?
井上: たとえば、水温が何度まで上がっても大丈夫か、といった細かいことから基準が異なる。クルマづくりには、それぞれの自動車メーカーの歴史が培ってきたノウハウがつまっていますから、いわば両者の「常識」に違うところがあったことです。
「共同開発以前の、『相互理解のインフラ』ができるまでが大変でした」と井上さん。フォード流のトップダウン式の意志決定にも当初は面喰らったという。「ずいぶん忍耐強くなりました」と笑う。
(収録:2000年10月6日)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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